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名家の4男として生まれた俺は、他の兄達よりも随分劣っていたので母親からも父親からも、もちろん、兄からも愛情を注がれたことがなかった。そしていつからか、一人で生きるようになった。
何に対しても独学で努力の末、全てこなせるようになったんだ。
だから、
「なんでもできてカッコイイ!」や、
「才能だな」
なんて言葉がこの世でいちばん嫌いだ。
例え愛に恵まれなくたって生きていけるのだから、その辺のネットで自分自身を晒している承認欲求の塊は苦手。
効率悪い行動しか出来ないから、
友達なんていらないと思っていたのに。
なぜ今になって。
午前8時00分。キクが門を潜る時間だ。
「………」
「グッドモーニング、キク!」
菊に話しかけたつもりだが、隣の茶色いヤツが先に口を開けた。
「えー!菊って会長と友達だったのー!?やめときなよ!こんな人!!」
「あ”!?ンだテメェ、馴れ馴れしくキクと話やがって…」
なんだこいつ。俺を貶すようないいかたしやがって…!
「わわわわぁ!!ごめんなさいごめんなさいぃいい!!!!!!」
「ヴェーー!怖いよぉ!!」
「どうして、あなたが、、!」
「だって俺ら、友達…だろ?」
「…っ………話しかけないでくださいと言いましたよね、私」
「失礼します…!行きますよ、フェリシアーノくん」
「う、うん…!!」
ギロッ、と茶色いのを睨むと情けない声をあげて去っていった。
はて、アイツの何がいいのか。
ハイスペックの俺の方がいいというのに。
■■■■
なんなんですか、あの人!
早速約束を破っているじゃないですか!!
もし私が、汚い人だと友達に知られてしまったら……………
嫌われるに違いない。
ああ、嫌われるのが怖い
愛されていたい、ずっと。
「…菊?」
「……あ、いえ。なんでもありませんよ。」
私はいつまでこの恐怖という束縛をされ続けなければいけないのだろう。
しかし、アーサー・カークランドは妙に珍しい人間だ。
私はこんなにもかわいいのに他人にアレを言いふらそうとしている。トガってヤンキーのような性格をしているのに、意外とツンデレ……
友達に憧れている様子…?友達がいなかったから??愛を知らない?
愛を知らないなんて、
まさか、
そんな。
私みたい
「んー…………」
「なになに、そんな声なんか出して。悩み事?マユゲが濃すぎて好きな子にでも振られた?」
「そんなんじゃねえよ!!!……友達ってなんだよ…契約とか交わすのか?」
「はあ!?友達!?!お前に!?できたの!?」
「うっせ、友達が出来て何が悪い」
「ずーーっと栄光ある孤立とかイキってたのに……」
「死ね!!!!!」
「…なんかよくわかんないけど、初手から距離つめすぎんなよ。かと言って控えめなのもNGだけどね。 」
「ほう」
「あとは相手が嫌がることしちゃダメ。まずは相手を受け入れることね、そうしたらだんだん相手も心開くから」
「………さんきゅ」
言いたくは無いが、為になったので礼は言っておく。
「お兄さんさぁ、お前のその上からの態度ムカつく…!!!」
何にキレてんだか。
───
時は経ち、放課後。
「すまない、俺もフェリシアーノも先生に呼び出しされていてな…。今日は一人で帰ることになるが…」
「構いませんよ。それでは、また明日」
「うん!またね!」
軽く会釈して帰る。
さて、帰りはコンビニでも寄って甘味を食べて帰りましょうか───
「キク」
振り返るとそこには…
「あ、さーさん…」
会長がいた。
「一緒に帰らないか?俺たち、友達だし…」
「え、ええ……いいですけど、コンビニ寄りますよ。」
「別に構わん。」
「…そうですか。」
本当は会長とは帰りたくないが、一人で帰っていたら何かと「ボッチ」と思われそうなので今回だけ妥協して一緒に帰る。
「コンビニで何買うんだ?」
「…えと、どら焼きでも…」
「どら焼き…暑いからアイスにしないか?俺が奢る。」
「いや…そんな……では私もどら焼きを奢ります」
「えーー肉まんにしようぜ」
「高いので無理です」
「待て、たっっったの1円の誤差だろ!?」
「1円て作るのに3円かかるんですよ…、?」
「だからなんだよ!!!」
■■■■■
「ね、アーサーさん。”愛”とはなんだと思いますか」
「…………アイ…?お前それ、アイスに掛けてるのか…?」
「ふざけないで下さい。……ほらはやく、真面目に答えて。」
「…愛、か………なんだろな。俺も愛を注がれてないから分かんねえ。けど、自然と『守ってやりたい』とか、『大切にしたい』とかって思うのが愛なんじゃねえの?」
「…………そうですか。…じゃあ愛してるなんて軽く言うもんじゃないですね。愛って重い思いが込められていますから。」
「うわお前っ笑…面白いと思ってんのか笑」
「…殴っていいですか。」
「あ、そうだ。公園、いこーぜ」
公園に着いて、3時間くらい話していた。
「好きな人とか、できた事ねーの?」
「ないです。だって、愛を知らないんですよ?」
「そうか…そうだな」
「アーサーさんもそうでしょう?」
「ああ。…なんか俺ら、似たもの同士だな」
「……………そうですね」
「!嫌がると思った」
「私もそう思いました…が、」
「全くその通りなので言い返せなかったです。…アーサーさんになら、何を言っても理解してくれそう笑」
初めて見た、彼の笑顔
やわらかい、かわいい、守ってあげたくなるような。包み込んであげたくなるような。
そんな笑顔
ん、これって俺、
すき、ってことか?
「なあ、俺、お前が愛を見つけれるまでそばに居るよ。」
「…え?」
「お前に幸せが訪れるように、な、いいパートナーだと思わないか?」
「………ほ、本気で言ってます…?」
「冗談だと思うか?」
「ええ」
「即答やめろ。……やっぱり嫌か?」
「…嫌というか…むずがゆいです。急に真面目モードに入るのやめてください。…ですが、悪い気はしません。私もあなたに何か貢献出来ること…」
彼の額にデコピンをする
「いたっ…!」
「いいんだよ、俺は。お前と一緒に新しい価値観の愛、見つけるから。」
「そう、ですか………では、よろしくお願いします、相棒」
「ああ、よろしくな。」
そこから2人の冒険が始まった