石化後のお話
グイグイくるスタンリー
甘々なスタンリーがいます
女の子は日本人
捏造多々あり
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流れ星を見に行った数日後、雑談と称してゼノにあった事を話すと珍しく目をまん丸に見開いた。
「僕が昔あれ程誘ったのに来なかったスタンが?」
「え、そうなの?寧ろお部屋まで迎えに来たよ?」
おお、珍しい事もあるものだ。いや、それ程君に夢中ということかな?だなんて仰々しく笑ったゼノにもはや返す言葉も無い。この間あれから眠りこけそうになった私を抱き上げお部屋まで運んでくれたのはスタンだったし、なんなら今日も朝から「好きだ」「愛してる」「今度また星を見に行こうぜ」と言って頬にキスをしてくる。以前よりも過激になったスタンに朝から肝を抜かれたものだ。それを今までゼノに話せなかったのは私自身が消化しきれていなかったからだ。でも、もうそろそろ向き合うべきだとも思っている。
「それで?流れ星は見られたのかい?」
「うん!とっても綺麗だった!」
「それは良かった」
「それにしても、あんなに興味無さそうにしていたのにどうして連れて行ってくれたんだろう?」
「ああ、それなら─」
「アンタが見たそうな顔してたかんね」
いつも通り話に入り込んで来たのは昨日一緒に流れ星を見たスタンリー・スナイダー。どうやら見回りの帰りらしい。
「え、そんなに分かりやすかった?」
ゼノに問えばかなり分かりやすかったよと言う。恥ずかしい、でも!日本じゃ流れ星なんて見られなかったし仕方ないよね!と勝手に結論付けた。
「あんなんでアンタが喜んでくれるならお易い御用だ」
「うっ……昨日は本当にありがとうスタン」
いつの間にやら隣に来ていたスタンに告げれば気にすんなと煙草を吹かす。
「まぁ、これで早く俺のハニーになってくれんならいいんだけどな」
「君達まだ恋人になっていなかったのかい?」
ゼノはきょとんと私とスタンを交互に見る。それにニヤリと笑ったのがスタンだ。ああ、嫌な予感がする。
「そうだよ。聞いてくれゼノ
このハニーはいつまで経っても返事をしやしねぇんだ」
「おお、スタン!君が珍しく苦戦しているのか」
あーだこーだと私の頭上で会話をする二人は時々私をニヤニヤと見ながら話しているのがわかる。
「うるさい!!この馬鹿幼馴染み共が!!」
堪らず叫べば、英語でもう一回言ってみ?とスタンは言う。どうやら、また日本語で話していた上に言葉は分からずとも罵倒された事はわかったらしい。知らない知らない!もう言ってやるものですか!次に言ったらゼノに怒られる!現に今だって静かにこちらを見ている(正確には見下げている)けど眉がピクピクと動いていらっしゃる。
「…っもう!いい?スタンよく聞いて」
「ん?」
「『月が綺麗ですね』」
私はそれだけ言うと扉に手をかけて
逃走した。
ゼノとスタンが何かを言っていたがそれすら振り切るように走った。
ああ、遂に言ってしまった…が、恐らくは通じる事は無いだろう。いくらゼノが日本語を話せるかと言っても、かの夏目漱石の有名な『I love you』の日本語訳まで知っている訳が無いだろう。
夏目漱石は日本人が『愛してる』と直接的な表現はしないと言い『月が綺麗ですね』と訳した有名な話だ。そう、日本人ならば誰しも一度は必ず耳にしたことがあるであろう科白。そう!日本人ならば!でも、彼等はアメリカ人!よっぽど日本に詳しくないと知っている訳ない!
私は見事な言い逃げをしたのだ。しかも、誰にも気付かれないように。
やった!逃げてやったぞ!とニマニマと笑いつつ外に向かおうとした所、いきなり浮遊感が私を襲う。
「アンタ、逃げ足速いね」
「ス、スタン……?」
どうやら、私はスタンに背後から抱き抱えられたらしい。いつもより視線が高いが少し不安定であるのがその証拠だ。
「言い逃げなんていい度胸してんじゃん」
「な、なんで、わかったの……」
幾らゼノだって分からないと踏んだのに……。
ゼノは理解してしまったのだと言う。
なんという事だ。
あぁ、これ以上無い逃げ方だと思ったのに…。
「日本じゃ有名な訳し方なんだって?」
「…ハイ。ゼノは何故知っているんでしょう…」
「ア?知らね。
どっかの本で読んだんじゃねぇの?」
恐るべきゼノ。
一体どこで知りやがった。
今はゼノの知識に恨むことしか出来ない。
「俺はアンタの口から聞きたい」
「え、いや、えっとね、スタン」
「なに?」
甘い蕩ける様な声で囁く彼にクラリとしてしまうが何とか耐えて言葉を紡ぐ。
「今、この世界はやることが沢山あるでしょう?…だからね、色恋に現を抜かしている場合では無いと思うの」
「ふぅん。愛してんのに我慢しろって?全部俺が守ってやれるのに?」
「うっ……」
捨てられた犬のような瞳を見せられてしまえばもう、言い返す気にもなれない。
私が折れるしか無いのか、とガックリ肩を落とす。
「スタン、愛してる」
チュッと頬にキスを落としてやればニンマリと口角を上げ、スタンはそのままクルクルと私を抱き上げたまま回り出した。
「ハハッ!今ならどんな標的も撃ち抜ける気がすんね!」
「きゃっ!ちょっと!スタン!」
上機嫌なスタンは私を意にも返さない様子で私にキスを落としたり、頬を擦り寄せたり好き放題だ。
「もう!ちょっと待って!」
「…ンだよ。こちとらようやくアンタに触れられるようになったってのに」
前々から好き放題してなかったか??と思ったのは間違いでは無いだろう。
とまぁ、こんな調子で付き合い始めた私達は、一日で周りにバレ散々囃し立てられたのは言うまでもないがスタンは牽制が出来たと満足そうに笑っていた。
「愛してるスタン」
「俺もだよ。俺だけの愛」
私達はまた人知れずキスを交わした。
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・女の子
ゼノを見くびってた
まさか知ってるとは思わなかった!!!!
なんで知ってるの!!?
グイグイくる甘々スタンリーにころりと堕ちた
これからもっと堕ちる
・ようやく手に入れた男スタンリー・スナイダー
懐に入れた途端今まで以上に甘やかす
遠回しのやり方にちょっとムッとしたけどそれはそれで可愛いから許した
可愛くて仕方無いので頻繁に連れ歩くし部下には一切触れさせない
・MVP受賞ゼノ
お前ファミリーネーム長いから省略な()
実は知ってた男
知ってそうじゃない?日本語話せるし(?)
どこで日本語知ったのか不思議でたまらん
今まで幼馴染みから愚痴という名の惚気を聞かされててウンザリしてた
これからも続くよどこまでも
漸くくっついたかとホッとしてる
コメント
2件
楽しみにしてます!
待ってますーー!!!