【参加型】吉田武史、再び闇へ

夜の街に、冷たい風が吹き抜ける。

吉田武史は、無言のまま路地を歩いていた。背中には見慣れた古い鞄。

——終わらせる。俺が、すべてを。

ふわり、と風に混じる甘い香り。

「お兄ちゃん、そんな怖い顔しないでよぉ。」

日哉の声が背後から響く。吉田が振り返ると、そこには月明かりに照らされた弟の姿があった。

ふわふわの髪、柔らかい笑顔。けれど、その手には鈍く光る刀。

「…どこから見てた？」

「ずーっと見てたよ。」日哉はくすくす笑う。「だって、兄さんがどんな顔するか、ずーっと楽しみだったんだもん。」

「…日哉。」吉田は静かに呼んだ。「やめろ。」

「やだ。」日哉は首を傾げる。

次の瞬間、空気が変わった。

ヒュンッ。

日哉の刀が一閃。風を切る音。だが吉田は、ぎりぎりでそれを避ける。

「さっすが、元最強の殺し屋さん！」日哉は満面の笑みを浮かべた。「でもさぁ、兄さん。もう昔の、戻ってないんじゃない？」

「試してみるか？」

吉田は鞄から、傘を取り出した。

「…その余裕、いつまで持つかな？」

日哉の目がギラリと光る。

カンッ。カンッ。

刃と刃がぶつかり合う音が、夜の闇に響いた。

——その頃、LINEは大騒ぎだった。

「ご主人、やばくない！？」霧島蓮が叫ぶ。

「…あいつ、死ぬ気か？」白川結那の声は冷静だったが、その目はどこか焦っていた。

「父上を助けに行かないと！」美咲が立ち上がる。

「…いや。」翔太が静かに言った。「これは、親父と…あの人の問題だ。」