7話
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私たちが見つけた古びた地図は、森の奥深くへと続く道筋を示していた。
地図の端には、かすれた文字で
「真実を求める者、鐘の音に従え」
と記されていた。
「この地図が示している場所に行けば、何か分かるかもしれないね。」
リルが地図を広げながら言う。
「でも、また森の中だよね……。」
リンは少し不安そうに顔を曇らせた。
「怖い気持ちは分かる。でも、これを見つけたのは偶然じゃないはず。」
私は拳を握りしめ、仲間たちを見渡した。
その瞳には迷いがなかった。
吏都も静かに頷き、地図を指差して提案した。
「みんなで行こう。今回こそ、失踪事件の真相に近づけるかもしれない。」
森への再突入
次の日の早朝、私たちは再び森へ向かった。
村の人々が提供してくれたランタンや防寒具を手に、教師たちも同行する。
紫塚先生は地図を解析しながら道を確認し、ノア先生が周囲の安全を確保していた。
「静空、前回より緊張してる?」
吏都が隣を歩きながら声をかけた。
「少しね……。でも、みんながいるから大丈夫。(笑」
私は微笑みながら答えたが、胸の奥ではどこか不安が膨らんでいた。
森に足を踏み入れるたびに感じる、この奇妙な感覚。
まるで何かに見られているような気がしてならない。
「ここが地図に記された場所のはず……。」
紫塚先生が足を止めた。
私たちは周囲を見回し、古びた石碑と朽ちた鐘のようなものを発見した。
鐘はひび割れ、何十年も使われていないように見える。
金の謎
「これが“鐘の音”に関係するもの?」
リルが鐘を調べながら首をかしげる。
黄島先生は鐘の内部を覗き込んだ。
「この鐘、音を出す部分が欠けている。でも、この付近に残されたものがあるかもしれない。」
私は周囲を歩きながら、土に埋もれた小箱を見つけた。
鍵が壊れていたため、中を開けると一冊の古いノートと、
小さな鐘のパーツが入っていた。
「このノート……誰かの日記みたい。」
私が声を上げると、リンがノートを手に取り、表紙をめくった。
日記は鐘を作った職人のものだったようで、
失踪事件に関わるような記述が所々に見られた。
新たな手がかり
日記には、こんな一節が書かれていた。
「鐘の音が鳴るとき、真実は姿を現す。だが、その音を聞く者には、犠牲が伴う。」
「犠牲……?」
リンが不安そうに顔を上げる。
「この鐘の音を再現するには、このパーツを使えばいいはず。」
紫塚先生がパーツを取り出し、鐘に取り付けた。
しかし、鐘を鳴らすにはまだ何かが足りないようだった。
「残りの部品も探さなきゃいけないってことか。」
吏都が肩を落とす中、黄島先生が提案した。
「この森のどこかに、鐘の部品が隠されている可能性が高い。地図の他の場所も探そう。」
失踪の影
森を出る直前、私はふと奇妙な視線を感じた。
振り返ると、誰もいないはずの茂みが揺れていた。
「静空、?どうしたの?」
吏都が問いかけるが、私は首を振った。
「なんでもない。ただ…誰かが私たちを見ているような気がして……。」
その言葉に、みんなの表情が険しくなる。
森には、何か得体の知れない存在が潜んでいるのかもしれない。
――そんな不安が私たちの胸に影を落とした。
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7話 終
next~8話
【深まる謎と仲間達】
コメント
1件
本当に先が想像できない、 犠牲っていうのがまた不安をいっそう掻き立てるよね