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体育館には予想外に人が集まっていて、すでにテストを受けた人もいた。合格、不合格は割とシビアに分けられている。
不合格者は早々に体育館を追い出されていた。ダンスサークルだけが体育館を使えるわけじゃないからね。
歌やダンスは嫌いじゃない。自分は人並みだと思うからこそ表立って言わなかっただけ。カラオケでも聞き手に回ってた。
入学前の春休み、シオンから歌ってみろよって言われてみんなの前で初めてカラオケで歌った。
「お前うまいじゃん、もっと歌えよ」
僕の友達はみんな優しい。僕のすることをすべて肯定してくれる。すごく恵まれてるなって思う。だからどんどん前向きになれる。
「よろしくお願いします」
入部希望の理由について、去年の文化祭を見てこのサークルに入りたいと思った、ダンス経験は浅いけれどここで教えてもらいたいと正直に書いた。
どの曲でどんな振り付けをするか、部員が軽くお手本を見せてくれた。できるかどうかわからない。でも自分なりにやってみるだけ。
テストが始まる寸前、入口の方で女子の黄色い声が響いた。気にしちゃいられない。不合格でも、また挑戦すればいい。
ミュージック、スタート。