コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
世の中には様々な学校がある。小学校、中学校、高校、大学、専門学校、もう少し崩すなら男子校、女子校……。こんな風に分かれると思う。そして、そのうちの小学中学は義務教育というということで誰もが通る道だ。そこから先は子供たちの気持ち次第だろう。高校に行く人もいれば家庭の事情でそうでないこともあるだろう。大学に行くという点で見てもそうだ。ここまで話してきて大半の人はだからどうした?という感想を抱くだろう。もちろん私も聞き手側に立っていたら同じことを思い口ずさんだろう。だが、これらはすべて前座に過ぎない。というのも今話したこれらを聞き手はみな『人間』として考えていただろう。これから話すことは人間ではなく、いわゆる幽霊や妖怪といった非現実的な存在が通う学校のことを語るのだから……。もちろん信じてくれなくても結構だ。しかし、これだけは皆に伝えたい。幽霊も妖怪もみんながみんな怖いわけではなくいい奴や面白いやつもいるということ、そしてそれらは私の大切な生徒だって言うことを……。
時は遡り数年前、そこから私の教員人生が大きく変わった。当時の私はまだまだ新人の教師で生徒からもなめられていたそんなころだった。私が最初に担当したのは中学二年の国語の担当であった。授業の作り方に四苦八苦したり、生徒全員の名前を覚えたりと大変だったのを今でも覚えているがそれ以上に覚えていることがある。それが、転勤である。勤めてまだ一年たってない私が突然の転勤を言い渡されたのだ。現状に理解できていない私に校長はお構いなしというようにすらすらと言葉を並べていく。確かに私は新人でうまくいかないことばかり、ミスだって多発していて自分でも情けないと思ってはいたがそれにしてもいきなり飛ばすとは人の心はないのかと声を大にして言いたいところだ。まぁ、結果として私は納得できなくて気が付いたら口に出ていたらしく問答無用で飛ばされた。そして飛ばされた先が見るからに廃れた昭和感じる木製の校舎であった。しかも悲しいことにこの学校人が近寄らないとある山の中の学校とのこと。
一年と経ってないがお世話になった学校を出るとき私の教育係を務めていた『雪代霊華』さんから渡された資料にそう書いてあった。何ならほかにもいろいろと物騒なことは書いてあるが一旦は目を瞑りボロボロの校舎にと歩み始める。校舎に入りまずは職員室にと足を運ぶ。最低限必要な荷物をここに置いてほかの教員にあいさつしないといけないのだから。正直私はすぐにでも帰りたいし何なら辞めたいまである。
というのも別に私は教師に憧れを抱いていたわけではない。学生時代私は俗にいうおバカちゃんでそれ故にいじられてきた。まぁ、おバカちゃんなのは事実なので否定しようにもできないから受け入れてきたがそれがだめだったらしい。馬鹿にしても怒らないからと私のいじりがエスカレートしていきそれに私が我慢の限界で一度切れたことがある。そしてその時に誓ったのが、こいつらよりもいい人生を送ってやるということだった。その第一歩としてまず散々馬鹿にしたこの学力を底上げし、教員になり見返してやろうと考えたのだ。これが私が教員になるきっかけの話である。結果として教師にはなれたがその初陣でこうもずっこけたのである。そりゃもうネガティブになるのも仕方ないだろう。もとより情熱もクソもないから別に何時でも辞めれるが、それは思うだけで結局はズルズルと続けるだろう。なんせ、再度就職とかやってられないからだ。
そんな鬱屈とした気持ちをぶら下げて職員室の扉を開ける。するとそこには見たことのある顔のの人物が一人立っていた。
「……あれ?雪代……さ、ん?」
「あら?随分早く来たのね『幽華』ちゃん」
なんとそこには以前お世話になった学校で教育係としてついてくれた雪代霊華その人が立っていたのだ。
「な、なんであなたがここに?まさか、私と一緒で飛ばされたんですか?」
「いやぁねぇそんなわけないでしょ?私自ら校長に話してあなたの元に来たのよ。」
「???なおさら意味が分かんないんですけど……。」
「まぁまぁ、それはこの後分かるから今はゆっくりしてね。」
とりあえず持ってきた荷物を自分のデスクに置いて整え始める。その作業中雪代さんと雑談をして時間をつぶしていた。それから少しして突然雪代さんが私の手を取り職員室を出る。困惑する私はシカトしてとにかく走る。そして行きついた先は校長室であった。あぁなるほど。挨拶はまだしていなかったからそれをしに来たってわけか。確かに挨拶ナシは社会人としてふさわしくないということだろう。走ったため少し行きも上がり身だしなみも崩れたため整えてから私は入ろうとしたが、雪代さんはお構いなしに校長室に入っていく。もちろん私の手を取ったまま……。つまりは着崩れた身だしなみのまま私は校長と会うことになる。これがどれだけ無礼な事なのか礼儀知らずのの私でも分かるが時すでに遅し……。もう校長室に思いっきり入ってしまったのだから。これで私の第二の教師人生も終わりを告げるそう覚悟していたが……。
「『鬼ちゃん』来たよぉ♪」
「!?ゆ、雪代さん!!校長先生に向かってなんて……。ん?鬼ちゃん?」
「おぉ!久しいなユキちゃんや!その子が話していた『視える子』なのかい?」
「そうそう!しかも肝っ玉も据わっててここで働くのにベストかなって思ってさ!」
「本当は面談なりが必要じゃが、ユキちゃんが連れてくる人間にはずれはいないからな!快く歓迎するぞ!!」
「えっと……。話についていけないんですが……。」
雪代さんが鬼ちゃんといった相手は間違いなく校長先生であろうが、その校長先生は人ではなく呼んだとおりの鬼であった。それはもう童話とかで聞いたあの鬼である。赤い肌に黄色二本の角。そして鋭い犬歯。確かに人ならざる姿をしているが……。それ以外があまりにもおじさんなのだ。確かに赤いし角あるし鋭い犬歯だけど身長は恐らく170cmはない。小太りで白いちょび髭みたいのを生やして白髪のくりっとした可愛い目をしたおじさんがそこにいた。
「あっ!ごめんごめんユウカちゃん!そういえばちゃんとした説明してなかったよね!あなたが飛ばされた学校はここ『黄昏幽妖学園』って場所で、彼は校長の『鬼塚大智』さん。通称『鬼ちゃん』て呼ばれてる赤鬼だよ!で、私は知ってるだろうけど『雪代霊華』で鬼ちゃんからは『ユキちゃん』て呼ばれてる雪女なんだよね♪」
「……。ちょっと待ってくださいね?情報量が多くて処理できないかもしれないです。」
どうやら私が飛んできた学校はとんでもない場所なのかもしれない。