キセキの世代トリオがわちゃわちゃハロウィンを楽しむだけ。
CP無し。同僚で同期で兄弟みたいなキセキの世代に夢を見ています。
私は登場人物が多い小説を書くのが苦手なため、少し読みにくいかもしれません。ご了承ください。
⚠最後に衣装捏造イラストがあります。
🏺…破天荒だが本人は至って真面目。基本的に問題の発端。2人に比べてあまり表には出さないが同期には心を開いている。
🐬…天真爛漫で元気いっぱい。賢さと天然さが共存している。たまにしれっと毒を吐く。同期が特別大好きで大切。
🍄…落ち着いていて振り回され気味。ツッコミはするが暴走は止めない。むしろついていくノリの良さ。同期の中では兄ポジ。
10月31日。Halloweenの日。
ロスサントスの街並みではオレンジと紫の装飾が施され、至る所でジャック・オ・ランタンが飾られている。
ハロウィンの起源には様々な説があるが、現在のハロウィンは仮装をしたり秋の味覚を楽しんだりすることがメインだろう。
例に漏れずこの街でも、飲食店がハロウィンメニューを出して、住民たちは自由な仮装で交流をしている。
そんな中で、いつもと変わらない制服で警察業務に勤しんでいた花沢まるん。
イベント事に乗る気がない訳ではないが、あれやこれやと仕事をしていると何の準備も整わないまま31日になってしまったのだ。
特に誰かと過ごす予定も無いし、見てるだけでもいいか…。
そんな風に考えながら、署の駐車場に停めておいた愛用のオレンジジャグラーに乗り込む。…つもりだったが、近くで見るまでもなく異変に気がついた。
「…なんじゃこりゃ。」
オレンジジャグラーに、カボチャやオバケのステッカーが貼られている。元々の色も相まって、完全にハロウィン浮かれまくりパトカーが爆誕していた。
こんなことをする輩の心当たりが残念ながらこの街にはありすぎるのだが、犯人は堂々とジャグラーの後部座席に座っていた。
まるんは呆れてため息をつくも、その顔は笑っていた。
「つぼ浦、オルカ、やってくれたねぇ。」
運転席に乗り込むと、まるんの同期であるオルカ・トヴォロとつぼ浦匠がやいやい騒ぎ出す。
「どうだまるん!匠と一緒にめちゃくちゃオシャレにしといたぞ!」
「警察車両を出しっぱなしにしてると、誰に何されるか分かんないぜ?」
「すぐ戻ってくるつもりだったんだよ。…それで、二人はなんでここに乗ってたの?」
すると、オルカがキラキラした目をしながら身を乗り出した。
「今日はせっかく同期が揃ってるんだし、三人でハロウィン楽しみたいんだ!」
「あー、確かに。いいねそれ。そうしよっか。」
まるんが誘いに乗ると、オルカは嬉しそうに笑った。それだけで周囲の空気をパッと明るくさせる魔法の笑顔だ。
「うっし、まずはどこ行くか〜。今日は色んな飲食店やってるぞ。」
飲食店巡りが趣味のつぼ浦も、マップを開いてウキウキしている様子だ。
「待ってくれ匠。ハロウィンといえば、最初にやるべきことがある。」
「そうなのか?俺あんまり詳しくねぇや。」
「まるん!服屋に向かってくれ!」
「アイアイサー。」
ポップなハロウィンパトカーは、サイレンも鳴らしていないのにワイワイと騒がしく走り出した。
「よっし。オルカこれにするぞ!」
試着室の鏡の前で、オルカはくるっとターンした。紫のフリルがついた黒いスカートが華のように開く。
三人は服屋にハロウィンの仮装をしに来ていた。
各々好きな服を選んで…にするつもりだったのだが。つぼ浦がいつもの服に鶏頭を被って「ほら、チキンの仮装。」と言ったので、オルカはう〜んと唸り声をあげた。
「ちょっといつもの匠すぎるぞ。」
「ダメか?」
「ダメだ!もっとハロウィンらしいのにしよう。」
「ハロウィンらしいか…。」
今度はつぼ浦が腕を組んで唸る。すると、少し離れたところからまるんが二人に声をかけた。
「ここ、ハロウィンコーナーみたいだよ。」
「あ!匠これがいいんじゃないか?」
「なんだ?これ。」
「いいから着てみてくれ!」
首をかしげながら試着室へと入っていくつぼ浦。その後、まるんとオルカも衣装を選んでそれぞれ試着してみることになったのだ。
オルカは紫のリボンが付いた魔女を彷彿とさせる黒い衣装を選んだ。頭には小悪魔のような小さなツノを付けている。
試着室のカーテンを開けてみると、まるんが既に着替え終わっていた。
「お!まるんカッコイイぞ!」
「ありがと。オルカもよく似合ってるよ。」
まるんはヴァンパイアの仮装をしていた。ピシッとしたシャツの上には襟の大きな黒いコートを着ており、一見すると純黒のマントを纏っているように見える。
二人が互いの衣装を褒め合っていると、試着室のカーテンがシャーッと開けられてつぼ浦が出てきた。
「とりあえず着たけど、これなんの仮装なんだ? 」
そう首を傾げるつぼ浦の目前には、特徴的な帽子に貼られた御札がぶら下がっている。
黄色を基調とするチャイナ服に、顔の前に御札。
「それはキョンシーって言って、中国のゾンビみたいな化け物の仮装だね。」
「オルカの見た目通りだ!よく似合ってるぞ、匠!」
「へぇ〜。まぁこの服は動きやすくていいな。悪くないぜ。」
つぼ浦はブンブンとバットを素振りした。いつでも犯罪者をぶちのめせそうな動きやすい服装に満足したようで、うんうんと頷く。
「こんなによく動くキョンシーがいてたまるかって感じだけどね。」
「こんなに血色のいいゾンビがいてたまるかって感じでもあるな。」
「さて、仮装も終わったことだし!街にいる人たちに有名なあの言葉を言ってまわればお菓子が貰えるかもしれないぞ!」
「あー、あれだな!デッドオアアライブ。」
「つぼ浦、トリックオアトリートね。それだと生殺与奪の権握っちゃってるから。」
「よーっし!一旦本署に戻って、警察のみんなからお菓子貰いに行こう!」
こうして、キセキたちの愉快なハロウィンは始まったのだ。
「なぁなぁ、三人で声合わせて『トリックオアトリート!』って言う練習しよう!」
「お、いいよ。」
「まぁ簡単だろ。オルカ〜合図頼んだ。」
「いくぞ?せーの…っ」
「トリ」「トリッk」「と」
…絶望的に合わなかった。
「もー!ズレすぎだぞ!」
「ごめん。まさかここまでとは。」
「クソッ、もう一回頼むオルカ!」
「よし、いっせーのせ…トリッ」
「「待て待て!!!」」
「ん?」
「”せーの”だよね?オルカ今”いっせーのせ”って言ってたよ?」
「急に変えんなよ分かんなくなるだろ!」
「すまん!もう一回!…せーのっ」
「「「トリックオアトリート!」」」
そうして三人は、様々な住人にハロウィンの合言葉を唱えた。
「どうしたんだろうと思って見てたけど、そういうことね。」
ミンドリーはくすくす笑いながら、店で買ってきたという美味しそうなクッキーを渡した。
「イタズラは嫌だから、これで見逃して欲しいな。」
「うーん、お菓子か〜…これしかないけど許して。」
青井はポケットに手を突っ込むと、若干シワの入ったのど飴を渡した。
「おい、今おっさんくさいなって思っただろ。」
「何故我が民に菓子を施さねばならんのだ。」
皇帝はそう言って何も渡さなかったので、三人にに包帯をぐるぐる巻かれて強制ミイラ男にされた。
「オイ!!これ動けないんだが!!ちょっ、置いてくなー!!!」
「ふむ、100点だ。」
キャップはカラフルなキャンディーが入ったお菓子袋を渡した。…渡したけど何故かつぼ浦にミイラ男にされた。
「つぼつぼ!?なんで私はイタズラも受けてるんだ!?お菓子渡しただろ!!!おい!!!」
「三人ともいい仮装だな!似合ってるぞ。」
署長は自分の子供を見る親のようにほっこりした顔で、小さな袋に入った駄菓子セットを渡した。
「え?皇帝とキャップが廊下で宙吊りにされてるって?またまたそんな………いやされてるーッ!?え!?あれイタズラなの!?怖ッ!!!」
「結構みんなお菓子くれたね。豊作だ。」
「匠、なんでキャップもぐるぐるにしたんだ?」
「ん?なんとなく。」
署内をひとしきり騒がせた後、三人はロスサントスの街中へと車を走らせた。
道中でアドミゲス・ハンとハイライトに出会った。
ハンはたらふくお菓子が入った大袋のお菓子セットを渡した。…オルカにだけ。
可哀想な野郎共にはハイライトがいつものようにご飯を配ってくれた。
レギオンでキングスターダイヤモンド・ズズに出会った。
お菓子を持っていなかったので、三人で顔に落書きをしやった。
しばらくするとマクドナルドが近づいてきたので、話が長くなる前に車に乗って逃げた。
その後もメカニックや救急隊、飲食店なども回った。仲良くお菓子をもらう三人は、傍から見れば仲の良い兄弟のようであった。
空がジャック・オ・ランタンと同じくらいのオレンジ色になる頃、三人は本署に戻ってきた。
「うーん、このぐるぐるのペロペロキャンディ、美味しいけど舐め終わるのに何年かかるんだ?」
「俺さっきそれ面倒くさくなって噛み砕いたぜ。」
「…なんか俺、会う人会う人にきのこの山貰ったんだけど。たけのこ派なんだけどな。」
「まぁまるんだしな。」
「まぁまるんだからな。」
「どういうこと?それ。」
署内に入ると、つぼ浦は大きく伸びをした後ソファにドカッと腰を下ろした。
「あー、流石に疲れたな。」
「そうだな。オルカもちょっと休憩だ〜。」
そう言うと、オルカはつぼ浦とソファの肘掛けの間に挟まるように座る。
「おい、なんでここ座るんだよ。あっちに一人用のやつあるだろ。」
「まぁまぁ。」
「まぁまぁじゃねぇ。」
そんな平和な同期のやり取りを見て、まるんは思わずほほ笑みを浮かべた。普段直接伝えることは無いが、同期という存在に支えられることは多く、日頃から感謝が耐えない。
彼らといる時間は、どんなお菓子よりも心を満たしてくれる。
「じゃー、俺はこっち座ろっかな。ほらつぼ浦もっと詰めて。」
「まるんもかよ!クソッ、狭ぇぜ。」
「ふぁ〜ぁ…匠がぽかぽかしてるからオルカ眠くなってきたぞ…。」
「ほんとだ。キョンシーに有るまじき温かさ。」
「おう、南国刑事だからな。」
「それが理由なの?」
「あ、キャップじゃないか。何を見てるんだ?」
「しーっ、馬ウアー静かにしろ。」
キャップの視線の先には、ソファにぴったり並んで座りながら眠るキセキの三人が居た。両サイドの二人はつぼ浦の肩に頭を乗せており、とても穏やかな寝顔をしている。支柱になっているつぼ浦も腕を組んだままぐごーっとイビキをかいている。
子供が遊び疲れてそのまま寝てしまったかのような光景は、見る者に温かな親心を抱かせる魔法がかかっているように思えた。
「えっ…?うちの署員天使すぎ…???」
「あぁ、流石に100点だな。」
馬ウアーは無線をつけると、少し声のトーンを落として言った。
《みんなー、しばらく本署のロビーは静かに通るように。》
《なんでですか?》
《来て見れば分かる。尊いものが見られるぞ。》
多くの署員に穏やかに見守られながら、キセキの三人は平和な夢を見るのだった。
𝐹𝑖𝑛.
👻🎃HAPPY HALLOWEEN🎃👻
数ヶ月ぶりにしっかり絵を完成させることが出来て満足です。
コメント
7件
同僚で同期で兄妹みたいな関係のキセキとっても可愛かったです🎃たしかに🍄さんの車はハロウィンステッカー貼ったら浮かれポンチハロウィンカーになりますね。似合いすぎる。 イラストのお陰で脳内イメージがはっきりと形になったので最初から容姿を思い浮かべながら読み返しちゃいました。 🏺の爪が黒く塗られてるので、🐬か🍄さんが塗ってあげたりしたのかな?と衣装が決定するまでの3人のやりとりが気になっちゃいました。🏺はまだ爪が乾いてないのにバットを握ろうとかして止められてそうですね。 素敵なお話とイラストをありがとうございました…!
ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛がわいい😭 兄弟みたいなキセキ、最高です👍 みんなでソファー座るの大好きマンです。ありがとうございます👏👏 絵もお上手なんですね🫶3人の顔はもちろんよろしすぎますし、🎃の顔もいとうつくしです〜👍🏻🎃👍🏻