ライアはふざけたように、薄笑いを浮かべながら結那を見つめていた。軽蔑と興味が交じり合っている。
結那はただ見返すことしかできなかった。彼女の心は今、葛藤していた。ライアを殺せば、吉田の命令を果たすことができる。
しかし、ライアが示すこの無慈悲な心が、どこか彼女の中で揺さぶりをかけていた。
「お前、ふざけてるんだろ。」
結那の声は意図せずライアに問いかける形となった。それに対し、ライアはゆっくりと首を横に振りながら、無邪気に笑った。
「ふざけてる? いや、俺は本気だよ。」
その言葉と同時に、ライアが結那をさらに強く掴んだ。結那はその手から、まるで何かが漏れ出すような感覚を覚えた。
力強さ、冷徹さ、そしてどこか狂気を感じさせる圧迫感に、彼女の心はさらに揺れ動く。
「お前も、本当にそうしたいのか?」
ライアが、結那をさらに混乱させた。彼女には、忠誠心が根付いていた。
結那は深呼吸をして、意識を集中させる。手にしたナイフが冷たく、重い。しかし、その手に込められた力は揺るがない。
「俺を殺せると思ってるのか?」
ライアの言葉が耳に響く。結那はそれを無視することはできない。彼女が目指すべき未来が、すぐ目の前にある。
「お前が、どんなにふざけていても、私は命令を果たさなければならない。」
そう言って、結那は足を踏み出した。ナイフがライアに向かって突き出される。
ライアの目が鋭くなり、動きを予測するように体を少し後ろに引いた。だが、結那はその一瞬の隙間を見逃さなかった。
「死ね。」
ナイフが突き進むと同時に、ライアが手を振り上げ、結那の攻撃を弾いた。
結那の力では到底敵わないというように、ライアは悠然とその攻撃をかわし、次の瞬間には結那の背後に回り込んでいた。
「本当にそれでいい?」
ライアの声が耳元でささやかれる。結那が冷たくなる。彼女は一度もライアの目を真っ直ぐに見返すことができなかった。
けれども、ライアの言葉には、結那を試すようなものが含まれていた。
結那はふと、ナイフをしっかりと握り直し、意識を集中させる。その目には、決意の光が宿っていた。これが最後だ。
彼女が命令を全うするための、最後の試練だ。
「お前がどんなにふざけていても、役目は変わらない。」
結那は足を踏み出し、再びライアに挑んだ。
コメント
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うん,ライア気絶(( あのね,ナイフ以外にも増やしたかったよ!?(?)