「おはよッッ!」
ビクッ
いつもと変わらない挨拶で一日が始まる。五十嵐 愛(いがらし なる)は親友の成瀬 陸(なりせ りく)の声で体をビクリと跳ねらせた。
「なんだよ…。陸かよ。」
「なんだよってなんだよー!」
陸の声をスルーしながら、愛は音楽室に向かった。誰もいない音楽室に、愛のピアノと陸の歌声が響く。これが2人の日常である。
愛はこのセカイを当たり前の事だと思っていた。この時までは………
キーンコーンカーンコーン
チャイムの音とほぼ同時に入ってきたのは担任の青木先生と綺麗な女の子だった。
「相原 宙(あいばら そら)です。好きな物は苺です。このピンはお母さんが作ってくれたの……可愛いでしょ?よろしくね!!」
そういうと宙は前髪についているピンを見せた。
「綺麗な女の子だね。陸はああいう子……ッ。」
「…。」
愛が喋るといつも入ってくる陸はただ、宙のことを見ていた。
チクリ
愛の胸の辺りに何かが刺さった。
「よろしくね!陸くんと愛くん!私のことは宙でいいからね!!」
「「よろしく~!」」
すぐに3人は意気投合し仲良くなった。
しかし数日後、、、
「久しぶりだな二人きりでの昼飯」
「そうだな……。」
「「……。」」
今日は宙が休みのため愛と陸は2人きりだ。久しぶりだからか会話が弾まない。
「なぁ、愛。」
最初に話し出したのは陸の方だった。
「お前は宙のことどう思ってる?」
予想以外の質問に愛は戸惑いが隠せない。
「え……は?……ん?え?どう……して……って友達として好きだよ。。」
「そうか…。俺、、実は、宙のこと好きみたいなんだよなぁ。」
「え、、、。」
ズキン
陸の言葉で愛の胸の辺りが痛くなっていく。
「俺のために応援してくれよ!宙が俺のこと好きになってくれるように、、、な!」
ズキンズキン
「分かった……、。」
ズキンズキン
「ありがとな!やっぱり持つべきものは頼りになる親友だよな!!」
ズキンズキン
「うん、任せろよ、!」
ズキンズキン
ただ胸の辺りが痛くなる。愛はこと気持ちの正体が分からなかった。
ただ今すぐここから逃げてしまいたいと思った。愛はなんともいえない気持ちが怖いと思った。
変わらなかった日常が少し変化してしまった。
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