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16回目の夏、
私は最初で最後の恋をした
『 ねぇねぇ君絵好き?』
「え」
先輩 とはこんな会話から始まった
この先輩は美術部の部長らしい。
「まぁ好きですけど。」
『じゃあ美術部入ってよ!』
「絶対に嫌です」
『そんなに拒否る?』
「絶対に嫌なんで」
「もう勧誘してこないでください」
『お願いだよ~』
『美術部部員足りなくてさ』
『もうちょっとで部室イラスト部に奪われそうなんだよ〜』
「ほぼ一緒じゃないすか美術部とイラスト部」
「もういっその事くっつけたらどうすか」
『いや!それはだめだ!!』
『俺のプライドが許さない!!』
「まぁそんなことはどうでもいいですけど」
「もう勧誘してこないでくださいね」
こんな態度をとってたらもう諦めるだろ
そう思っていた
『君〜!!』
『美術部入らない?』
『いや〜やっぱり美術部がいいと思うんだよなぁ』
思ってた以上にしつこい!
「なんで私なんですか」
「他にもいるでしょ」
先輩はやっと興味を持ってくれたと思っている顔だ。興味とか1ミリも持ってないのに。
『君以外はもう部活入ってる子しか居ないんだよ~』
・
・
・
そんなことある?
私以外部活やってるってことは帰宅部わたしだけってことだよね
「ちょっとどういう意味か分かんないっす 」
『とにかく!』
『興味持ってくれたんだよね!?』
『これ!資料渡しとくから今日の
放課後来てね!!』
先輩は元気に手を振って帰っていった。
元気だなぁ
ん?
勝手に話進められた?
しかもさらっと私が
部活体験することになってる?
先輩の流れに乗せられた、、、
まぁ体験行った時に断ればいっか
入部させられた
それから私は、やるからにはやろうと
精一杯頑張った
そこから1年が経った頃
先輩の姿が見えなくなった。
他の先輩に聞いても
「知らない」
「分からない」
の一言だけ。
顧問の先生だけが何も言わず黙っていた。
そこからちょっと後に
顧問の先生から言われた
「直樹さんは」
「天国に行ってしまったんだ」
お葬式にみんなで行った。
私が先輩への言葉を
言わせてもらう事になった
直樹先輩へ
私は直樹先輩のお陰で今の私がいると言っても過言ではないでしょう。
私はずっと先輩に助けられてきました
先輩が亡くなったこと
今でも信じられません
一生懸命な先輩を見てわたしはいつも勇気を貰っていました。
先輩に恩返ししたかったです
美術コンクールの結果発表、私が出した絵なのに先輩がハラハラしすぎて倒れそうになったのも、他の先輩たちに○○先輩がめっちゃ怒られてたのも、全部が全部私たちの中にずっと残ってるし、絶対忘れない宝物です。
今も部室に行ったら笑顔で笑っている先輩がいそうで、廊下を歩けば先輩が声をかけてくれそうな気がします。
先輩がいつも言ってくれてた「ありがとう」が
大好きでした。
○○先輩、どうか安らかにお眠り下さい。
ボロボロに泣いた。
こんなに泣いたのはいつぶりだろうか
私はこの時に初めて気づいた
先輩に恋をしてたってことを
もっと早く気づいたかったなぁ。
もっと早く気づけてたら、先輩に思いを伝えることもできたかもしれないのに
いや、私は弱虫だから
先輩がまだ生きてたとしても伝えることは無かっただろう。
そんなことを思ってたら
《あの、、桜さん?》
「はい。そうですが。。。」
《息子からお手紙預かってるの》
先輩のお母さんだった
「え?」
【俺が死んだら桜って後輩にこれ渡しといてほしいんだ】
《ってさ笑》
《あの子ずっと家でもあなたのこと話してたのよ笑》
「そ、そうなんですか?」
《ええ》
《これ》
《息子からのお手紙》
《中身は貴方しか読んじゃいけないって》
《私も内容は知らないの》
《何となく予想はついてるけどね笑》
「ありがとうございます。」
家に帰って部屋にこもった
お手紙を開くと先輩とは思えない字が書かれていた。震えて書いたような、書きなれていないような文字で。
俺ね、ずっとずっ~と桜のことが好きだったんだ。
君の全部が全部可愛くて、面白くて
いつの間にか惹かれてた。
もうこんな文字しか書けなくなっちゃったし
君に何かをしてあげることも出来ない
君を幸せに出来るかもわかんない。
でもこんな僕で良かったら
付き合ってください。
「 !!」
「、、!、泣」
こんなにも嬉しい事があってもいいのだろうか。
あともう1文あった
その文字はもう終わりにすると物語っているような文字だった。
あと、俺はいつまでもどこに行っても、君が特別ってこと。 覚えていて欲しい。
先輩なんで先にいっちゃったんですか
生きてたら、普通にデートして、普通に恋人して、普通に暮らせたのかもしれないのに。
「私こそ、先輩のこと大好きですから」
「そっちに行ったら直接伝えます」
「楽しみしててください、、泣」
そう言ったら先輩は少し照れながら
笑ってくれるんだろうなぁ。
その笑顔を早く恋人として見たい。
先輩
私は先輩のせいで
もう恋が出来なくなりました。
あなたが私の最初で最後の想い人です。