【速報】
《中層で確認された“魔物性ウイルス”について、保健統制機関が正式に声明を発表》
ホログラムニュースが街頭を飛び交う。
「現在、中層において“魔物因子”に類似する未知のウイルスが拡散中です。当該ウイルスに感染すると、生体の一部が魔物化、または発症者周辺で異常個体が出現するケースが確認されています。現時点では“人から人”への感染も否定できません。よって、中層を完全封鎖し、下層との交通を遮断いたします。」
市民たちは悲鳴を上げる。
店は閉まり、学校は封鎖され、警備ドローンが街を巡回する。
中層は、すでに“実験区”と化していた。
──そして、その発表は当然ながら、上層貴族たちの間で話題となる。
白く光る天蓋の下、貴族たちが集まる応接ホール。
金の指輪を嵌めた指がグラスを持ち、笑い声が響く。
「いやはや、“魔物性ウイルス”とはね。中層はやっぱり野蛮な土地だ。どんな教育をしているんだか」
「ふふ、それでも我々の“教育者”がいなければ、この文明も保てませんから」
「それにしても妙ですねぇ、あの少女……“夜咲 叶霊”とか言いましたか。認証データにも載っていない。誰の推薦枠かも不明」
「つまり……『どこか』から差し込まれた、というわけか」
沈黙。
グラスが卓に置かれる音が、妙に重い。
「では、我々も“処理”を急ぎましょうか。白階は、上の顔色をうかがう暇などありませんから」
「えぇ、処理しましょう。彼女と、ウイルスごと、全部ね」
上層は静かだ。
中層の絶望とは裏腹に、何もなかったかのように。
それが彼らの“統治”のあり方。
だが──
その監視ドローンの一つに、何者かの“視線”が宿っていた。
「……叶霊。やっぱりお前は、厄介な存在になったな」
コメント
1件
今回も神ってましたぁぁぁぁぁぁあ!!!!! 中層...まさにカオスだなぁ... だってウイルスってやばいじゃん!?(?) 中層の人達が無事であることを祈るよ...あ、でもその迷惑行為者の1人にうちの子もいるのか() 次回もめっっっっさ楽しみいいいいいいいいいいぃ!!!!!!!!!