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置いていかれるのも、捨てられるのももう嫌だ。この先、誰からも切り捨てられない様に、寂しく無い様に、そして本当の僕を知られない様に、僕自身を僕が守っていこうと決めたんだ。
何気ない日常が大切だった。
誰かにも振り回される事も無く、自分も振り回されないように、『人生』という名前がついたこの暇潰しゲームの世界を生きていく為のルールを決めた。
僕がプログラムしたこの世界のルールは単純だ。
必要な時に必要な時間を他人と共有すれば良いだけ。
だけ…。だった筈なのに。
久しぶりにお気に入りの夜景を見に来た。
ずっと一人で見に来ていたこの景色は、千景と一緒に見た思い出が上書きされた。また誰かを好きになる事がずっと怖かった。僕が誰かを好きになっても、人を深く知るのは今の僕にとって何よりも怖い事で、自分の熱量が相手の想いと同じなのか分からない事がとても怖かった。不確かな想いに手を伸ばす勇気が今の僕にはもう残っていない。
ずっとこのままで良かったのに、なんで気付いちゃったんだろ…。でも独りぼっちはやっぱり寂しくて、結局誰かを求めて生きる事しか出来なかった。
ジュリと壮一、ニ人にはとても感謝している。僕の生き方を否定せずにずっと肯定してくれていた。暇潰しゲームの協力者。二人とは身体の関係で繋がっているけど、もしそれが無くなった時には友達になってくれるかな…。願いが叶うなら友達になって欲しい…。長い付き合いになって、会えば濃い時間を過ごした優しい二人には、ついそんな期待をしてしまう。
久しぶりに今の自分と向き合うと、どれだけ周りの人達に助けられていたのかを実感する事が出来た。知らないうちにみんなが僕の人生の一部になっていた。
僕って本当に大バカ野郎だ。顔を上げれば世界はこんなに暖かかったのに。
そうやって少しずつ僕の心の視野が広がった時、僕は千景が何で怒っていたのかに気付いた。
君は昔から明るくて、よく笑っていたよね。かと思えば急に恥ずかしがったりして表情が豊かだった。君と再会して、君に会う度に、記憶の欠片が一つずつ合わさって、尚人に会ってしまって倒れた僕の看病をしてくれた君の笑顔が昔の君と重なった。
たぶんだけど、君が怒っていたのは、僕が尚人を傷付けてしまったからかな…。昔からお兄ちゃんが大好きだったからね。千景、すぐに気付いてあげられなくてごめんね。だって、君、ものすごく雰囲気が違うから、とてもじゃないけど気付けなかったよ。怒っていたけど、本当の事を言わないところは君の優しさだったんだろうね。
怒っていたのも、寂しそうな顔をするのも、僕を抱く腕が優しいのも君が『千景』だったからだったんだ。本当に気付いてあげられなくてごめん。
もうこの気持ちに名前を付けて認めてしまえば、いつでも君の笑顔を思い出してしまうくらい、千景、僕は君の事が好きだよ。
このまま一緒に居たらどんどん君を好きになっていくと思う。だけど、君にもし嫌われてしまったら…。そうなったら…。もう、僕は耐えられそうにない。
思い返してみたら始めからずっと君だったかも。たくさんいろんな場所に連れ行ってくれてありがとう。
君の正体に気付いてからも身体の関係を持っていたのは君に気付けなかった罪悪感からだったけど、気付いてしまったからこそ、ちゃんと千景自身を知ろうと思った。でも、好きな気持ちが芽生えてしまった僕は……。
千景、今の僕には、君との楽しかった思い出ばかりが身体の中いっぱいに詰まっているよ。