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教会の外は、青空の下、夏の日差しが充ちていた。
再び始まった重機の作業音が響く中庭をぬけて三人は診療所に戻った。
話を聞いたドクターは、すぐにユリの旅立ちを了承した。
「タクヤ様には必要な処置だ。一日一回は続けてくれ。そして王の元に戻ったら、おまえたちからじきじきにここで起こったことを説明するといい」
ドクターに言われて、まだ今日の祈りをしていないことに気がついたユリは、旅立ち前にしておきましょうとタクヤに言ったが……
「いや、ありがたいんだけど、正直、汗まみれでグタグタ。昨日からまだシャワーもあびてないんだよね。大人しく祈りを受ける気分じゃない」
「たしかに。教会では疲れてぐったりでしたものね」
「でね、ユリ、いいかな?」
「なにがですか? シャワーならご自由に」
「いや、そうじゃなくて」
タクヤが目を輝かせ、窓の外を指さした。
「ほら、君と会ったところ。入江のところは、泳ぐのにもよさそうだよね」
「はい、もちろん」
「じゃあ、泳ぎに行っちゃおう!」
「タクヤ……」
「ごほん、ワタクシは、旅立ちの前に、わが王宮の海を、この身で体験しておきたいのじゃ。だめかの?」
「だめじゃないよ。全然だめじゃない。ゼン、あなたも、いこ」
「えー、オレはシャワーの方がいいな」
「あ、こやつ、仕事さぼる気だな。王子の身になにかあったら、即おまえのせいな」
「なんなんだよ、その言い方。てか、むしろ気をつかってやってるのに」
「はあ? ゼンちゃん、君が、僕たちに気をつかって遠慮してくれている、と?」
「笑いごとかよ。言っとくけどな……いや、まあ、いいか。ここに水着とかないよな?」
「ないけど心配なく。水中メガネはあるの。うち、診療所だけど、夏の売店もかねてて。あと、もどって来たときは乾くまで白衣でいいでしょ。天気いいからすぐ乾くよ。だから下着で泳いでOK。私もよくそうしてる」
「そうしているの……?」
タクヤは目をぱちくりした。
なんか、新鮮だ、それ……