『burst』
海辺にいた絵師に聞いた話。
__倒壊した世界は、今もまだ生きている。
🍴
からりと晴れる冬の空。
今日とて苔むしたコンクリートを踏みしめる。
闇売買に足を運んだことは何度かあったものの、商品であるニンゲンを買ったことは一度もない経験だった。
売買人から必ず付けるようにと渡されたチョーカーが起爆装置だと知った時は正直あまり驚かなかった。
”こうやって”縛りつけるのか、と。
チョーカー内に付属された起爆装置を取り外し、試しに彼に付けてみるとどうだ。
彼はわざと距離を離して見せた。
最初こそ、そこまで自分に縛られるのが嫌かと疑ったがよくよく考えると彼は”鬼の子”だ。
死ぬに死ねない、生きる”呪い”。
「縛られるなら」ではなく「死なないから可能性を見出したい」という志しだろうか。
外出することが好きなのか、彼は幾度か荒廃した世界を見に出掛けるようになった。
何日か面倒を見てやると壊れたガラクタたちを家の中へ運んでくるようになった。
持ってくるなと、捨てろと言っても首を振るばかりで彼は部屋へ戻って行く。
個別で部屋を用意するべきではなかったか。
ふと、足元に落ちたガラクタたちに一目する。
大きく共通点が見られるそれに少し不安が募った。
物静かに濁光沢を魅せる、
アクセサリーばかりだった。
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