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3人目の被害者――少女、17歳。
その目は、自分が何をしているのか分からないまま死んだようだった。
「何も知らない“素人”に、念を与えるなんて…」
ミラが言った。
「能力者にとって“念”は武器。でも、素人にとっては“呪い”よ。」
「念を教えるには、命を奪う覚悟が必要。」
「それを乱用する者は、私たちの“狩り”の対象」
潜入先は、廃ビルの地下にある“スキルショップ”。
表向きは「異能相談所」と名乗っているが、
裏では違法に“念”を教える闇の塾だ。
中には、5人の客。
全員、念の知識ゼロ。
だが、“何か”を求めていた。
「力がほしいんだ。誰かをぶっ飛ばせるくらいの、強い力が…」
「大丈夫よ」と声をかけたのは、女――ララ。
色気と狂気が混ざった目をしている。
教えるのは「念能力」ではない。「使い方」だけだ。
「これが“発”ってやつ。イメージして。そう…誰かを、殺すって想像しながら…」
天井の梁に張りついていたレイは、その言葉に反応した。
「なるほど、“念を教える”んじゃなくて、“発を模倣させる”ってわけか」
念の操作系能力で声を反響させながら、下に降りる。
「悪いが、その遊び、ここで終わりだ」
ララの顔が歪んだ。
「……来たのね。あんたら、裏のハンター」
レイは「幻想の刃(メンタル・ダガー)」を右手に発現。
ララは念獣を発動――猛毒を含む蛇型のビジョンが床から出現した。
「“念”ってやつは、ちゃんと育てないと暴走するんだ。
テメェは、それを面白がってるだけだろ」
戦いは数十秒で終わった。
ララの念獣は、制御不足により自壊。彼女自身の脳にも逆流し、気絶する。
だが、レイの表情は晴れなかった。
「……こんな連中が“教える側”に立てる時代かよ」
地下室の片隅で、まだ力を持たない少年が震えていた。
レイは彼に近づき、静かに言った。
「お前の“力が欲しい理由”が正しいなら、いつかまた会おう。
……そのときは、ハンター試験を受けてこい」
▼次回予告
「名前のない能力(ナマエナシ)」
念を与えられて暴走し、廃ビルごと人を殺した“実験体”の少女。
彼女の能力には、“名前”がなかった。
そして、レイは自分の「発」の意味を問い直す。