『 ん…、 』
岩本 「 歩! 」
『 …ぁ、 』
目が覚めると、ツンとした独特の匂いが走った。
目の前には照くんが座っていた。
それで、全部思い出した。
『 … 』
岩本 「 歩、 」
『 ごめ、なさい、泣 』
『 ごめんなさい…、泣 』
布団の中に潜って、謝った。
口を開くと謝罪ばかり。
だけど、それ以外の言葉が思いつかなかった。
『 ごめん、泣 』
『 ごめんなさいっ、泣 』
岩本 「 歩! 」
『 ぅぁっ、泣 』
岩本 「 大丈夫。 」
岩本 「 歩は何にも悪くないよ。 」
『 ごめっ、泣 』
『 ごめんなさいっ、泣 』
岩本 「 … 」
岩本 「 あ、ゆみ、大丈夫だから、! 」
『 ごめんなさい、っ、泣 』
『 ごめんなさいっ、!泣 』
照くんが落ち着けようとして言ってくれた言葉も届かず、謝罪。謝罪、謝罪、謝罪。
岩本 「 歩、 」
岩本 「 歩は悪くないよ 」
岩本 「 今まで全部 」
岩本 「 大丈夫、大丈夫だよ。 」
『 ぅあっ、泣 』
『 ひか、く、泣 』
岩本 「 うん、 」
岩本 「 大丈夫。隣にいるよ。 」
隣にいてくれる人がいる。
そう安心したのも束の間、病室のドアがバンッと音を立てて開いた。
岩本 「 え、は、? 」
警察 「 村上 歩、麻薬違法所持の疑いで現行犯逮捕する! 」
『 え、待って、 』
岩本 「 ちょっ、 」
警察 「 動くな! 」
『 ヤダっ、! 』
『 な、で、!泣 』
岩本 「 ちょ、待ってください、! 」
岩本 「 どういう意味ですか?! 」
警察 「 村上歩のカバンから大麻が検知されました 」
『 知らないっ、! 』
『 離して、って、! 』
岩本 「 なんでいきなり、! 」
警察 「 村上歩がホテルに連れ込んだ男性からの通報です 」
『 な、で…、 』
岩本 「 歩! 」
『 … 』
もう、声を出す気力も無くなった。
岩本 「 絶対助けるから! 」
岩本 「 ちょっとだけ、 」
岩本 「 ちょっとだけ待ってろ! 」
『 ひ、かるくん、泣 』
『 助けて、泣 』
無理やりパトカーに押し込まれて、強面の男性に挟まれた。
警察 「 病院に逃げ込んだのにな 」
警察 「 残念だったな。 」
『 …… 』
もう、どうでもいい。
なんでこうなったかなんて、もう、どうでもいい。
『 …… 』
こんな場所、ドラマでしか見たこと無かった。
まさか、自分が入ることになるなんて。
警察 「 まぁ、快適に過ごしな? 」
『 … 』
何日経っただろうか。
渡されたご飯も喉を通らなくて、あれだけ痩せたくても痩せれなかったのに、今はガリガリ。
警察 「 村上歩 」
警察 「 面会だ 」
『 … 』
警察 「 立て 」
『 … 』
警察 「 立て! 」
なんで、こうなるんだ。
ただ、皆と活動が出来てたら良かったのに。
ドアが開かれると、ガラスの奥に会いたかった人達がいた。
岩本 「 歩! 」
『 … 』
深澤 「 あ、ゆみ、? 」
『 … 』
岩本 「 ごめん、思いっきり抱きしめたいんだけど、 」
『 …照くん、ふっかさん、 』
岩本 「 …ん、? 」
『 私、脱退する 』
深澤 「 え? 」
『 もう、迷惑掛けたくない 』
岩本 「 ダメだよ歩 」
岩本 「 逃げちゃダメ 」
『 もう、何が起きてるか分からない 』
『 私は、本当にやってないのに、泣 』
岩本 「 辛いと思うけど、耐えて、 」
岩本 「 あと少し、あと少しだから 」
警察 「 時間です 」
『 照くん、 』
岩本 「 ん? 」
『 お兄ちゃんは、元気、? 』
岩本 「 …寂しがってる。 」
『 そっか、 』
岩本 「 歩、大丈夫だからな 」
警察 「 歩け 」
『 … 』
深澤 「 歩!絶対助けるから! 」
深澤 「 ラウールと仲直りしよう! 」
深澤 「 な! 」
『 …ありがとう、 』
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コメント
3件
すごい辛いお話 、、🖐️🏻💧
悲しすぎます〜😭