——アメリカ某所、廃墟と化した町。
月は赤く染まり、朽ち果てた建物の影が長く伸びる。風が砂塵を巻き上げ、不吉な静寂が支配していた。
その中央に立つのは、白銀の刃のような美貌を持つ女——美々華。
彼女は、膝に乗せた愛刀「千華繚乱」を指でなぞりながら、じっと遠くを見つめていた。
「ライアを殺した罪……しっかり償ってもらいますよ、霧島さん。」
美々華の声は甘やかでありながら、氷のような冷たさを孕んでいる。
そして、瓦礫の向こうからゆっくりと現れた男——霧島(きりしま)。
黒ずくめのコートを翻し、肩で息をしながら、それでも鋭い視線を向けていた。
「……つかれた。」
ぽつりと呟く霧島。
「ライアを殺した報い、しっかり受け取ってくださいねぇ。」
「はあ……めんどくせえ。」
霧島は額をかきながら呟く。しかし、その目は一瞬たりとも美々華を外さない。
「でも……やるしかねえか。」
——刹那。
美々華が消えた。
「千華繚乱——開花。」
無数の花弁が舞うように、美々華の姿が空間に広がる。どこにいるのか分からない。全てが美々華。全てが偽物。
「……また、ややこしい異能だな。」
霧島は舌打ちをしながらも、冷静に周囲を見渡した。
「でも……見破るさ。」
彼は静かに目を閉じる。そして、異能演舞が再び目覚める。
「狼、目覚めろ。」
霧島の背後に、巨大な狼の影が浮かび上がる。その瞳は闇を貫き、全ての誤認を斬り裂く。
「見えてるぜ、美々華。」
「……っ!?」
美々華の表情が一瞬にして固まる。
——次の瞬間、霧島の拳が彼女の頬をとらえた。
ドゴォッ!!
吹き飛ばされる美々華。しかし、空中でくるりと回転し、華麗に着地する。
「へえ……やるじゃないですか。」
だが、その目は楽しげに光っていた。
「じゃあ、これはどうです?」
美々華が刀を振る。刹那、霧島の視界が歪む。
「……っ!!」
次の瞬間、霧島は自分の体に無数の刃が突き刺さる幻覚を見る。
「誤認の応用——痛みすらも、感じさせてあげますねぇ。」
「……ああ、これは……やばいな。」
血を吐きながらも、霧島は苦笑する。
「でも……俺には、まだ奥の手がある。」
再び、彼の異能が進化する。
「シートン動物記——獅子、目覚めろ!」
「——なっ!?」
空が裂け、炎を纏う巨大な獅子が現れる。その咆哮は、全ての誤認を焼き尽くす。
「さあ、決着だ、美々華。」
「……上等です、霧島さん。」
そして、二人は再びぶつかり合った。
——夜空に、火花が舞う。
コメント
16件
今回も神ってましたぁぁぁぁ!!!!! 霧島っちやっぱすげえわ、、体力お化けかな???? あれ、もしかしてそんなに??( 平和お姉さんはね、本当に世界の平和とライアを1番に思ってるただの美少女ですから!!!!(? 安心してくれ霧島っち^^(((( 次回もめっっっっさ楽しみンゴ!!!!!!
ちょもう好きよ どこまで私を尊死させるのかしら(?) もう死んでいいかしら!? てかあなた学生よn(((殴殴殴殴