そういえば私、保科くんにもう「好き」と伝えてしまっていた。
(な、なんてことを……)
あのときは保科くんの隣にいたい気持ちをどうにかわかってもらおうと必死で、
自分がどんな大事なことを言っているのか意識していなかった。
思い出すと、ずっと機会を待っていた大事なことをあっさり口にしていて……。
焦りと恥ずかしさで、じわじわと顔が熱くなる。
(こんな形で伝えるはずじゃなかったのに……)
ちゃんと何を話すか考えて、準備していたのに。
口を半開きにして、テンパっていると、
「矢野さん?」
とおそるおそる名前を呼ばれた。
あっ、と意識を引き戻されて隣を見ると、懐かしさを覚える目と目が合った。
眉根にきつく力が入っている――あの告白のときを思わせる、保科くんの目だった。
「あ、えっと……」
突然話すことになるとは思っていなくて、頭の中がぐちゃぐちゃだ。
(あんなに考えてた。。。