注意!
・適当に思いついたのを書くだけです。欲望のままに書くのが一番楽しいんですよねぇ!!!()
・実は一回最後まで書ききる直前で全消えしてます。死ぬほど萎えましたが最初っから書くことで万事解決((
・枢軸しか出てきません。枢軸らぶ。
詳しい内容はネタバレ防止の為言えませんが、この作品を読み終わった後に文句を言われたとしても、私天原は一切責任を取りません。
地雷さんはご自衛ください。
では本編Go。
追記:イタ王初っ端から死んでます。
イタ王が裏切った。
「………っ、は……」
目の前に横たわる、美しい…私の最愛の人。
そんな彼を、私―――…ナチスは、見てしまった。
何を見るにもキラキラと輝いていたオッドアイは、もう既に生気を失っている。焦点の合わない乾ききったその目で空をぼんやりと捉えていた。
全身が脱力し、もうどこにも生きる力が残っていないのは明白。
「……イタ王…そうか、そういう選択肢を……」
イタリア王国は、連合国に降伏したのだ。
だから彼は“イタリア王国”としての役目を失い、そして事切れた。今はまだイタリア王国という名こそ残っておれど、その名が地図上から消えるのはもはや時間の問題だろう。
「………イタ王……」
イタ王の上半身を抱き起こす。指で瞼をそっと閉ざしてやれば、安らかな死に顔がイタ王の顔に浮かんでいた。
そして、軍服に包まれたその体躯は、骨と皮しかないのかと見紛うほどに軽く、細い。
私達の前ではよく食べていたような気がするが、彼の性格上私達の目の前以外では食物などほとんど食べていなかったのだろう。
纏っていたマントを取り外し、そのマントでイタ王の体を包む。そして、そのままイタ王を両手で抱き抱えた。
華奢とよく言われる自分ですら軽々と持ち上げられるのはいかがなものかと思うが、今の状況ならば都合が良い。
「……イタ王……いえ、…“イタ王様”」
「…帰りましょうか、私達の家に。」
私はイタ王様を抱えたまま、帰路に着いた。
その口元には、ほんの少しの微笑みを浮かべて。
ナチスがいつの間にか帰ってきていたらしい。
「…実験室に灯りが点いてる…」
私―――…日帝は先程までずっと枢軸との連絡事項の書類をガリガリと手書きで片付けていたのだ。物音がしたような気がして玄関の方へ向かえば、さっきまでは無かったはずのナチスの黒い革靴が今はきっちりと揃えられて整然と並んでいる。
そして、実験室に灯り。恐らく、外でなにか面白いものでも見つけてきたのだろう。
一瞬だけ声をかけようかと悩んだ。しかし、私はすぐにその考えを打ち消した。
ナチスは自分の実験を邪魔されることをこれでもかと嫌がるからだ。昔は実験に夢中になって一切ご飯を食べないこともあったのでよく実験室に突撃していたのだが、最近は昔の言葉がようやく心に沁みたのかキリの良いところで切り上げてご飯をきちんと食べてくれるようになった。それに加え、綺麗好きなナチスのことだからきちんと掃除もしているだろうし、その部屋から害虫が出た試しも無い。
だから私も実験室に入るのはできるだけ控えるようにしている。事実ナチスから出来るだけ入らないでくれと釘を刺されているのもあるからな。
「……5時か」
時計をふと見れば、針は午後5時を差している。今から作り始めれば、恐らく6時頃には全て出来上がるはず。ついでに温め直しが容易なものを作っておけば、仮にナチスの実験が長引いて夜遅くなっても手軽に食べられるだろう。
そう思って、キッチンに入ろうとしたところ。
「……日帝」
世界で一番聞いたと言っても過言ではない、低音の声。
「…あ、ナチス…」
振り返ると、やっぱりナチスが立っていた。
実験の最中のようで、ワイシャツの上から白衣を羽織っている。酢酸オルセインでも使っていたのだろうか、まくっている袖に少しずつ赤い染みが出来ていた。
ナチスが首を傾げて口を開いた。
「…日帝、今から何をしようとしてたんだ?」
「え?…嗚呼、夕食を作ろうかと思って…」
「そうか。…日帝、今日は俺に作らせてくれないだろうか?」
「…へ?」
思わず目をパチクリさせると、ナチスはふんわりと笑みを浮かべた。
「今日、伝手で食材を手に入れたんだ。だから、日帝が良ければ傷んでしまわないうちに食べようか、と思ったのだが…」
「あ、そういうことか…。…ふふ、なら今日はナチスに甘えて作ってもらおうか」
「嗚呼、任せろ!ありがとう日帝!」
ナチスが嬉しそうな感情をいっぱいに顔に出した。実際ナチスの料理の腕はとても上手い上、日本育ちの私でも食べやすいように調理してくれるので、昔…まだ戦争が始まっていなかった頃はナチスとイタ王と私とで3人で食事当番を回していたくらいだ。
「…あ、そうだ…日帝。私が作っている間に風呂でも入ってきたらどうだ?今日は事務仕事で疲れただろう、早めに入って疲れを根こそぎ落としてきたら良い」
「確かにそうだな…。…わかった、ならお言葉に甘えて…お先に失礼させてもらうことにする」
「嗚呼。気を付けてな」
「ありがとうナチス。そちらも火の扱いには気をつけろよ」
ナチスにお辞儀をしてから、私は身を翻して風呂場へと向かう。
風呂場と言っても、勿論この時代に浴槽なんて贅沢なものはない。なので代わりに排水機能の付いた部屋でたらいにたっぷりと水を張り、木綿の布を水に浸して体を拭くのだ。私も日本人だから、たまには昔の…熱々の湯をたっぷりと張った浴槽に全身浸かりたいとは思うのだが…まぁ、それを語るのはまた次の機会にしよう。
そういえば、ナチスは私が風呂場に入るまで随分と長いこと見守ってくれていたようだった。
風呂場から上がると、キッチンから顔を覗かせたナチスにちょいちょいと手招きをされた。
「どうしたんだ?ナチス」
「丁度夕食を作り終わったものでな。風呂から上がったばかりだが、食べられそうか?」
「嗚呼、食べられるぞ。気にしてくれてありがとう、ナチス」
滴る水滴を布で拭ってからダイニングへと入る。
そして、ダイニングテーブルの上に並んでいた、数カ月ぶりに見る―――…肉料理に、視線がまっさきに行った。
数秒間停止した後、私は思わず叫んでしまった。
「……はぁ!?お肉料理!?」
「っは、良い反応だな日帝…っ」
それもそのはず。
戦争中は中々手に入らない貴重食品である肉が、それなりの大きさで白磁の皿の上に乗っていたのだ。
私の心の底からの驚きが面白かったのか、珍しくナチスが腹を抱えて笑っていた。
「はは、どうだ日帝。良い肉が入ったものだから、腕によりをかけて調理してみたんだ」
「す、すごいとしか言いようが…!!」
ナチスの料理のスキルに、ただ私は呆然とするだけだった。
「…まぁまぁ、日帝サマ。驚くのは食ってからでも遅くない。
席に着こうじゃないか」
「…嗚呼……」
促されるままナチスの向かいの席に座る。まじまじと近くで肉料理を眺めれば、ナチスの腕がどれほど良いのかよくわかる。
肉はよく焼かれたウェルダンで、肉の上には赤いソースが掛かっており、照明を反射してきらきらと光っている。
ご丁寧にテーブルの上にはナイフとフォークも置かれ、それだけでナチが良いところの育ちであると知らされる。
「さ、どうぞ日帝。召し上がれ」
「い、頂きます……」
まるで明治時代に西洋へと訪れた際に出された洋食のようだ。今の戦争の時代にこんな贅沢なものを食べられるというのは少し気が引けるが、気晴らしも大切だろう。
ナチスに促され、ナイフとフォークを手に取る。一口サイズに肉を切り分けた後にソースをたっぷり絡め、そして頬張った。
「………、………?」
一瞬だけ、プチ、と繊維の切れるような感触があったような気がした。
しかしそれもすぐに美味しい味で打ち消され、久しぶりに食べる肉の味に私は浸った。
ハーブがかなり強いが、それでも日本人が食べやすいように工夫してくれていて、私はすぐに二口目を頬張った。
そんな様子をナチスがニコニコしながら見てきていた。
「…味はどうだ?日帝」
「ぁ…すごく美味いぞ、ナチス…!!久しぶりに食べるからだろうか、美味しい…!」
「そうか、なら良かった…!」
そう笑顔で答えるナチスは、私が食べ始めているというのに一切ナイフもフォークも手に取らない。さらには、机の上のグラスの水ですら手を付けていない様子だった。
私は不審に思い、首を傾げた。
「…?
ナチス、食べないのか?」
「……嗚呼、すまんな。少々肉独特の臭みが強かったからハーブをたくさん入れて…それで、味がおかしくないだろうかと不安になっていてな」
「なるほど、そういうことか。…味は問題ないから大丈夫だぞ?」
「日帝がそこまで言うのなら大丈夫だな」
けれど、まだナチスは一切ナイフとフォークを手に取らない。
そして、しばらく食べ進めていた私は、とうとう気づいてしまった。
「……なぁ、ナチス。イタ王は今日はどうしたんだ?」
なんでもない質問だった。
イタ王が遅くなる日でも私は絶対に3人分のご飯を作っていたし、それはきっとナチスも例外ではない。今日帰ってこれないとなったなら、真っ先にイタ王は連絡をくれるはず。そう思って、ただ尋ねただけなのだ。
だが、私の意図とは反しナチスの表情から感情が消えた。
そして、そのまま口を開く。
「…イタ王か?……イタ王はな。」
「……は?」
思わずフォークとナイフを置いた。けれど、ナチスは目の笑っていない笑顔で続けた。
「勝手に単独で降伏して、そしてイタ王は事切れた」
「……待て、何故そんな重要な事柄を先に話さない!!」
私は机の上に手のひらを叩きつけて立ち上がった。その衝撃で、グラスの中の水がゆらゆらと揺れる。
それでもナチスは不気味なほどに笑っていた。
「…なぁに、日帝。
お前が心配せずともイタ王はここに帰ってきて、わたしたちと共に在るじゃないか」
「………は?」
一体何を言い出すのか、さっぱり理解できなかった。
私が混乱していても、ナチスの話は止まらない。
そうして、笑顔で彼はこう言ったのだ。
「なぁ、日帝。どうだった?」
ゾッとするほどに美しい笑みで、目の前の彼はそう言った。
「ゔ、お゛ぇぇッ……!!!」
その言葉の意味を理解した瞬間に、私は反射的に吐いた。
バチャバチャと床が嘔吐物で汚れ、胃の中身を出し切ってもなお、体は拒否反応から胃液を吐き続けようとする。
「何をしているんだ日帝、折角の貴重な肉を……勿体ないだろう?
それに何より、お前は美味しそうに頬張ってくれてのに吐くだなんて…酷いなぁ、日帝?」
「っあ゛、ぁ…ゔ、あ……ッ、」
背中をさすられた。前は安心感を覚えていた手つき。だが、今となっては嫌悪感しか湧き出てこない。
なぜだ。
なぜ、ナチスはこんな狂気的なことを、こんな眩しいほどの笑顔で出来るんだ。
(……逃げなければ)
本能でそう悟った。
こんなところにいては、私の身も危ない。
すぐに口元を袖で乱雑に拭い、走ってダイニングの扉にしがみついた。
(開け、開け、開けって……!!)
私の望みは天に一切届かなかったようで、いくらノブを回したところで無慈悲なことに扉は一分たりとも開かなかった。
「日帝」
真後ろから聞こえる、ナチスの声。全身から血が引いていく音が聞こえるようだった。
「日帝、お前もまた“俺”を裏切るのか」
「もう、裏切られることは疲れたんだよ」
「だからな」
「居なくなったら自分も死んでいいと思えるほどに大切な人間は、先に全部裏切らないようにしておこうと思うんだ。」
「……なぁ、日帝……」
Fin.
大切な人を失い、狂ってしまったナチスによるカニバリズムのお話でした。
コメント
21件
読むの遅れてしまった… やば、え、え?やば、めっっっちゃすごい なんか…短編だけど満足感()パナすぎてやばい、え、文うますぎまじこれもう死んでいいかも
ウゥッ、、、肉が出たところからそうなるとは思ってたけど、、、これはナチの恨みなのか、、、はたまた行き過ぎた愛情なのか、、、
おおおお……案外、こういう系行けるタイプだとわかったわ…… ……やっぱ、構想とか……全部凄いわ