私が目を覚ましたのは、私に似つかわしくない程に整った白い部屋の中であった。
先ほどまで、大切に、絶対に放さないようにと抱えていた”彼”はおらず、腕のなかに空虚感までもを憶えていた。
厭になるほど整頓したリズムを奏でる機械達は、まるで新入りの私のことを面倒に思っているかの様であった。
一体、私を誰がここまで助けたというのだろう。
また義務上の行為なのだろう。どうしようと、私はここの数字でしかないのだから。
…私の小さな世界を突き破る音がする頃には、そんな想像は終わりになっていた。
私の世界を強引にも抉じ開けた彼女の顔は、ひどく心配したような表情を浮かべていた。
然れども、きっとあれも本心では無いのだと、私の心に言い聞かせるように、脳はただ動いていたのだ。
──…やはり、彼女が勝手にも「人形」と形容した”彼”は、私の大切なものであった。
「駄目だったのだ」、そういった思考が浮かんでしまったのは、私が未だに甘えている証なのであった。
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#オブフィリはいいぞ #人間不信はいいぞ