⚠︎prologueの注意書きを読み、理解した上でお楽しみ下さい
「射抜いたものは」 第二話
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shk side
総統室の上のダクトから、中の様子を覗き込む。
見えにくいが、恐らく机の上の書類と睨めっこしているのが総統のnkだろう。
写真で見るよりも、芯の強そうな、整った顔立ちをしているのがよく分かる。
胸に、複雑な感情がよぎった。
shk「…ッ」
頬をつねって、目を覚まさせる。
大丈夫。さっきと同じようにやれば、きっと上手くいく。
──────やるしかない。
俺はそう決心して、ダクトから飛び降りた。
思ったよりも小柄な体が、素早くこちらに反応する。
shk「……ッ!」
俺は短刀に力を込め、心臓に狙いを定めた。
相手を確実に仕留めるための投擲術。
血の滲むような訓練の果てに習得した攻撃が、
─────キィン
甲高い音を立てて、防がれた。
目の前には、肩上で短剣を構えた総統、nk。
状況を理解することが出来なかった。
────刹那、俺の背中は壁に打ちつけられた。
目の前には、俺の両腕を頭上で壁に押し付け、俺を拘束する総統、nkの姿。
shk「ッ放せ!!」
俺は全力でもがき、拘束を解こうとする。
…が、全く抜け出せない。
nk「ちょ…っ、ごめんねっ!」
そう言って、nkは俺の鳩尾に膝を打ち込む。
shk「…っぅ!?ゲホッ、ゲホッ!」
激しい痛みが襲い、呼吸が一瞬出来くなった。
しかし、俺は暴れるのをやめなかった。
nk「暴れないでよ…ッ」
さらに拘束する力を強くし、インカムに手を当てるnk。
nk「一回みんな総統室に集合。krは、筋弛緩剤持ってきて」
暴れ続ける俺を押さえつけながら、nkが口を開いた。
nk「君さ、本当に僕らを殺す気あった?」
shk「…は?」
nk「君が最初に殺そうとした奴さ、まだ生きてるよ」
nk「smのときも、俺のときも、心臓を外して狙ったみたいだね。わざとかどうかは知らないけど」
shk「…え」
nk「さっき殺されかけたときに思ったんだ。君の攻撃は、本心からのものなのかなって」
shk「さっきから、何言って…ッ」
俺の言葉は、ドアを激しく開ける音に遮られた。
その中には、俺がさっき殺したはずのあいつもいた。
肩に布を巻いているが、生きている。
br「nk!大丈夫だった?」
sm「…読みが当たったか」
nk「うん。sm、助かったよ」
kn「nkなら、奇襲でも死ななそうだけどね」
kr「そんなことより、コイツ、早く捕らえたほうがいいだろ」
俺の体が、うつ伏せの体制で押さえつけられる。
金髪眼鏡の男───kr が、暴れる俺の首筋に何かを打った。
チクリとした痛み、そして
──────全身の力が抜ける感覚。
これ、知ってる。
俺の脳裏に、最悪な記憶が蘇る。
「軍人の適性有り」と判断され、暫く経った頃。
俺は、”特別な訓練”を受けさせられることになった。
俺は奴らに目を付けられていた。
他の奴よりも殺人術を身に付けるのが 早く、上官でさえ殺せるレベルに達していた俺が、裏切って牙を剥くのを恐れたらしい。
訓練の内容は、いつもの訓練を数十倍厳しくしたようなものだった。
奴らが「やれ」と言われたことは、何があってもやらなければいけない。
体が限界に達し、奴らに出された課題を達成出来なかったら、”お仕置き”をされた。
そうだ。”お仕置き”の時は、決まってこれが使われていた。
力が抜け、何も抵抗できない状態で行われる”お仕置き”。
殴られ、蹴られ、辱めを受け、罵詈雑言を浴びせられ、抱かれ、犯され、上の奴らの好き放題にさせられる。
“命令”を絶対に聞かせるための罰。
その効果は絶大で、俺は彼らの命令に逆らえない体になった。
逆らったり、出来なかったりすれば、”お仕置き”が待っているから。
溢れ出す最悪な記憶に、俺の体が支配された。
shk「はッ…はッ、ぁ…はッ」
息が、吸えない。
shk「はッ、は、ぁ゛、ヒュッ、ぅ」
力の抜け切った体に、酸素が回らなくなる。
「──────!」
「──────ッ」
アイツらが何を叫んでいるのか、背中に当たる感触はなんなのか、どうしてこんなことになってしまったのか。
確かめる前に、俺の意識はプツリと途切れた。
to be continued…
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