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ワイワイした昼の教室。
京志は机に突っ伏して目を閉じながら、隣の連中の話をぼんやり聞いていた。
「なあ、“ニトロ”、また来てへんな。」
「……そら来るわけないやろ。今、闇天狗の集会に見習いで参加してんねんて。」
「は?マジなん?、闇天狗て中学生入れられへんやろ。」
「そら特別扱いやろ。兄貴が猛やぞ。あの闇天狗の幹部の。」
「えぐ……あいつもう“裏の人間”やん。」
「最近、校外でも無茶苦茶してるらしいで、こないだなんて因縁つけてきた高校生に逆恨みして高校に火つけたらしいで」
「うわ……」
「校長室まで殴り込みいったん知ってるか? 『退学にせぇや』って叫んで、机蹴っ飛ばして校長のメガネ踏み潰したって話や。」
「こえぇ……頭いってんな……」
「何がスイッチかわからん。前に“目ぇ合わせた”ってだけで無言で指の骨折られたやつおったで。」
「マジで?」
「マジや。**“ムカつく目してんな”って一言だけ言うて、そいつ指折られたあげく転校させられたらしいわ。」
「えぐい。でも竜にはなんも言われへんからな。もう卒業まで学校こんといて欲しいわ。」
京志は目を開けた。
京志の指が無意識に制服の袖を握る。
誰とも目を合わせず、京志はゆっくり顔を伏せた。
その周囲ではまだ、誰もが“ニトロ”の話題に怯えながらも、口を止められないでいた。
京志は目を開けた。
──ムカつく目してんな。
その一言が、どこかひっかかる。