──────いえもん視点──────
「改めまして、お久しぶりです。私の名前は──────メテヲ、と言います。」
「────────────は?」
それは今はっきりと自らのことを『メテヲ』と言った。同時に俺たちは、こちら側で武器を構えていた、メテヲさんの方を見る。
メテヲさんは口を少し開いたまま固まっていた。そりゃそうだ。突然自分だと名乗るものが目の前に現れたのだから。
しかし、メテヲと名乗ったそれは、微かに笑うと、フードをとる。
そこには──────メテヲさんと瓜二つの姿がそこにはいた。鮮やかなオレンジと黄色の髪色に長髪の髪型。目は透き通るようなオレンジ色。まるで鏡写しのようだ。それが違うとわかるのは、表情が異なるからだろう。
メテヲと名乗ったそれは狂気的な笑い声をあげ、俺たちを見下すように見てくる。
「あはははwwwッッ!!!ははwッ!」
口角は吊り上がり、1人を指さして大声で笑う。ひとしきり笑い終われば、笑顔のまま、目に光が消える。
「それじゃあ、ご退場頂こう。──────失敗作には」
それがパチンッと指を鳴らせばメテヲさんは困惑したかのような表情で周りを見る。
しかし、何も起こらない。目に見えてみんなが安堵しているのがわかる。まあ、俺もなんだが。
その時、キラリとしたものがメテヲさんの上ら辺から見えた。よく注視すれば、それが、針であることが分かる。それが、日本、メテヲさんの頭上に動き始めたのだ。
「──────ぇ¿」
メテヲさんの声が漏れる。何故ならば、メテヲさんの足が消えていっているのだ。まるで、服の糸を分解するかのように。
メテヲさんは立てなくなり、そのまま重力に従い、倒れる。
「羽が…!!羽が出せない…!!」
メテヲさんの声に焦りと不安がのる。つ─っと汗が頬を流れ、それが怖がるかのようにすぐに地面へと落ちる。
「嫌だッ!!メテヲはッッメテヲは失敗作なんかじゃッッ──────」
腕を伸ばそうとすれば、既に糸へと変わり、腕をなくしている。胴体も、段々と消えていき、消えたと同時に顔も消える。残ったのは一筋の涙と、先ほどまで着ていた服装だった。
頭上の針は忙しなく動き続け、ひとつのぬいぐるみを作り上げる。それは、メテヲさんの形をしたぬいぐるみだった。
「…ここからは、メテヲとして話させてもらうよ。」
先程までの笑みを全て消し潰し、薄暗く、無表情だった。瞳はまっすぐ、俺達、と言うより、俺以外の村民を見つめていた。
「魂も違う、記憶も違う、ましてや人格も違ったでしょう?それなのに気づかないで、受け入れたんだ。──────『失敗作』を」
ねぇ、とメテヲさんと名乗るものは仄暗い笑みを浮かべる。その言葉ひとつにも重みをのせる。
「ねぇ、なんでよ?メテヲさ、そんなにみんなにとって必要じゃなかったの?──────まあ、別にみんながそのつもりならいいよ。後悔するのはお前らだ。」
「な───────お───に─…」
メテヲさんはそう、誰にも聞こえないような声で呟く。
そう、今までメテヲさんだと思ってた人は本物ではなく、偽物だったということだ。それに、誰も気づかなかったという訳だ。言葉に言い難いがなんともまあ、…可哀想というか、面目ないというか、言葉がつまる。
「ここからは仕事として話そう。我々人外ハンターはこの下界、分かりやすく言うなら、全ての生物を消す。人外、人間、植物…例外なくだ。」
先程までの暗い笑みではなく、貼り付けたかのような微笑を浮かべる。しかし、言っていることは恐ろしく、信じられないものだ。
「あのお方がおっしゃった。この世界は醜いと。ならばこの世界を改革しなければならない、と。ならば我々はその言葉通りに実行する。」
事務的に、無機質な声で淡々と言う。俺達もこの世界が醜いと思っているし、汚いとは思う。しかし、儚くも美しい、もの達もいるのだ。それすらも無差別に殺すと言うならば、それは俺達と違うところだ。
「ここからは、メテヲとしての提案。こちら側につきたい人、いる?今なら仲間として迎え入れるよ!」
ぱあと一瞬で表情を明るくし、こちら側に右手をさし出す。先程から雰囲気がコロコロと変わり、状況についていけない。ただ、これだけは確実、というものがある。それは、この誘いに乗っては行けない、ということだ。
「メテヲさん…もう、こちら側にこれないんですか?」
「…そう。ごめんね。」
めめさんの静かな問いにメテヲさんも静かに答える。しかし、めめさんの意思は強いようで、決して感情が揺らぐことは無い。
俺はめめさんにだけついていく。だからあちら側につくことは無い。
メテヲさんがしばらく待ち、誰も来ないことを確認すると、大きなため息をつく。
「はぁ〜〜〜…。まあ、いいよ。罪人共にとっては最後の審判だったんだけどね。」
「それじゃあ、1人、正義の鉄槌をくだそう。これは見せしめだ。」
ここで切ります!魂が違う、記憶が曖昧などなど…という伏線を回収できた良かったです。驚いてくれると嬉しいですね〜。このシーンずっと書きたかったんですよね!本当に良かったです!次回は1人に正義の鉄槌を下しましょう。お楽しみにしてくださると…。
それと、覚えてますかね?ルカひなの時に登場したモブがメテヲさんのことを『しっちゃん』と、呼んでたじゃないですか。これは失敗作のし、ですね〜。一応これも伏線ですね〜。
それでは!おつはる!
コメント
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ま、まずい全部ボカロに聞こえてくる
通知のやつで失敗作って出た時点でほぼ全てを察した…そうであって欲しくなかった…
うおおおおおおおおお!!人サバの退場方法だ!!! お主いいとこで切るのぉ