吾輩は猫である。名前はまだない。
そんな吾輩は今、とある女性の膝の上にいるのだ。
とてもやわらかくて暖かい彼女の膝の上で、あくびをひとつ。
「眠たいの?」
頭を優しくなでられる。その手つきが気持ち良くて、またあくびが出た。
「そっか」
彼女は吾輩の身体をなでる手を止めない。
「おやすみ」
そしてそのまま、吾輩は眠りについた。
「……ん?」
目が覚めると、そこはいつもの場所ではなかった。
「おはよう」
彼女が笑顔で言う。ここはどうやら彼女の部屋らしい。
「よく寝てたね」
「ああ、すまない。重かっただろう」
「全然平気だよ」
彼女は優しく微笑んだ。その笑顔にドキッとする。彼女の笑顔には不思議な力があるみたいだ。
「……あの、さ」
彼女が少し言いづらそうに口を開く。なんだろうと思って待っていると、意を決したかのように口を開いた。
「……名前、考えてくれてたんだね」
「ああ……うん……」
実は昨日、彼女から名前を考えてくれと頼まれた。
吾輩は猫である。名前はまだない。
……これじゃあ少し長いかなと悩んで、今の「ネコ」という名前になった。
「その……どうかな?」
「うん、すごくいい名前だと思う!」
よかった……喜んでもらえてホッとした。
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みなさん、こんにちは! 初投稿、緊張する〜!! いいなと思ったら♡とコメントもまってます!