『…っ本当?』
「勿論で御座います。」pkt
『ありがとね。』pkt
「いえ、私はお嬢様の従者として当然の事をしたまでですから。」pkt
本当、何処までいってもぐうの音も出ない程完璧な従者だ。
正直、こんなに完璧で顔も良くて気遣いもできてスパダリすぎるのに、私なんかの従者で良いのかとさえ思う。
もっと良い職場とかあるだろうに。
何故ここのアンノーン家…?の従者、しかも、私の従者になったのだろう。
何故か、そんなことが気になっている。
私、らっだぁ以外のことで興味持てるんだ。
自分自身の事なのに、今1番自分が驚いているだろう。
この世界に来てから
『私も変われてるのかな。』
「…お嬢様は十分変われていますよ。」pkt
『っあ、声に出ちゃってた…?』
「えぇ、ばっちり。」pkt
ぴくとさんは冗談っぽく親指を立てる。
その優しい笑顔と、私を安心させてくれるかのようにジョークを混ぜてくるところは、まさにらっだぁのようだった。
「少なくとも、私から見ればお嬢様は変われていると思います。」pkt
「いや、変われています。」pkt
そう断言してくれるぴくとさんに、私はとても安心感を覚えた。
『どうして分かるの?』
こんな事を言ってまた迷惑をかけてしまう自分に心底腹が立つ。
ぴくとさん、きっとこんな事言われたら面倒臭いよね。
嫌だよね。
『ごめんね。』
「何故謝るのですか?」pkt
「お嬢様は何も悪い事はしていないのに…」pkt
『いや、だって…』
『こんな事ぴくとさんには関係無い事だし…迷惑、かなって。』
「…えぇ、迷惑ですよ。」pkt
『…やっぱり、そうだよね。』
「お嬢様が私を頼ってくれない事が。」pkt
『っえ…?』
「私はお嬢様の従者です。」pkt
「何の為に私がいるのですか。」pkt
『…えっ、と。』
思わず言葉を詰まらせる。
「私にとっては、お嬢様が私を頼ってくれない事が迷惑です。」pkt
「優しいお嬢様なら、私なんかにも迷惑をかけたくないと思う筈ですよね?」pkt
驚いた、そこまで私の事を見抜いていたのか。
私は幼い頃から”正しい”事をするのが当たり前だと思っていた。
だから人には迷惑をかけてはいけないし、歯向かってもいけない。
自分が何かしてしまったら自分から謝る。
自分が何かしていなくても自分から謝る。
そう、”思っていた”。
らっだぁと出会ってから全てその認識は変わったが、らっだぁが居ない今、前までの癖が出てしまっているようだ。
「それで、質問の答えは定まりましたか?」pkt
『…うん。』
『私は、ぴくとさんに迷惑をかけたくない。』
『でも、私もいくら何処ぞの令嬢だからと言っても、人間だから。』
『時には失敗したり、挫折したり、迷惑をかけることもあるかもしれない。』
『それでも…私の従者で居てくれますか?』
「勿論、仰せのままに。」pkt
ぴくとさんは、顔色1つ変えることなく、私の手をとって言った。
『…凄いキザな事するんだね。』
「嫌でしたか?」pkt
『う〜ん…』
「そこは嫌ではないと言うところですよ…」pkt
と、ぴくとさんはわざとらしくがっかりとした表情を浮かべている。
やっぱり、そういうところが
『らっだぁに似ているな。』
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