小学5年生の頃だったろうか
一度本気で泣いて怒ったのは…
母が初めて涙を見せて主の眼の前で『ごめんね』と言ったのは…
主は昔から兄に嫌われていた
きっと気に食わなかったのだろう
年上で厳しく育ったから
年下の主に嫉妬を抱いていたんだろう
『どうしてこいつは良くて俺は…』って
5歳から兄の本格的な虐めが始まった
学校でのストレス、母と父に怒られたストレス…
それは主に全て向いた
鋭い言葉も暴力も…兄は言い訳をしながら『お前が全部悪い』と言い放った
毎日毎日…
だからだろうか
自然に夜はいつも涙が出そうで仕方なかった
泣いたって親は気づいてくれやしない
気付いたとしても軽く流されてしまう
まさか友達からとか虐めを受けるんじゃなくて兄からされるなんて思ってもいなかった
そして気付いた
誰も助けてくれないんだって、弱かったら奪われるだけなんだって
幼い頃からそんなことを知るとは思わなかった
人生がこんなに苦しいものだなんて
実の兄が『死ね』何ていうから
主は耐えきれなくなって死にたくなった
生まれたくて生まれたわけじゃない
なんなら産んでほしくなかったて
分かってる、親が一生懸命に産んだのも
苦労してたことも分かってる
でも辛いんだもん…悲しくてしょうがないんだもん…
何度家のベランダから落ちようとしただろうか
何度…包丁で自分を殺そうとしただろうか
でもなぜか…死のうとする時足と手が震えてた
どうしてか分からなかった
死にたいんじゃないの?と心のなかで自分で問いた
主にとって、味方は1人の親友しかいなかった
親友はいつも主の話を聞いてくれた
本当は学校で友達の歩幅に合わせて歩いて、家ではおもちゃのように扱われて
きっと主は言葉を求めてたんだと思う
今の自分をどうにか自分が壊れずにすむような言葉を
でも親友は精神科医でもなければ、そういう言葉を導き出せるプロでもない
それでも親友は気づいてた
そしてゆっくりと口を開いてこういった
『うん、知ってる、__がいつも遠慮してたことも、我慢してたことも』
『ごめんね…私じゃきっと__の求めてる言葉を出してあげられない』
『でも…私の前では沢山泣いていいよ』
『ここには今…__と私しかいないから』
小4の言葉でそこまで出してくれた親友にはほんと感謝してた
例え求めてる言葉が出なかったとしても
主の気持ちに気づいてくれたことを
だから彼女の言葉に…少し甘えてもいいかなって思って…
ちょっとだけ泣いても…許されるかなって…
主と彼女しかいない…二人きりの空間で…
誰もいない…二人しか知らない空き地での小さな思い出…
主は自分が嫌いだ
人を不幸にしてしまうから
人を不快な気持ちにさせてしまうから
何もかも主が悪いんだって言われ続けて
本当にそうなんじゃないかって思い始めて…
もう生きる気力はなかった
愛想笑いも涙も…何も出来なくなりそうになった
死ぬ覚悟もまともに決められない弱いやつなんだって
そしてある日
全てが変わった
主に繋がれてた操り人形の糸がプツンと切れたのは
いきなりだった
家に帰ってきたら、いつも通りに靴を脱いで
小さな声でただいまと言った
そしたら、母が慌てて主の方へ走ってきた
よく見たら母は悲しい顔をして主を見つめてた
そして優しく抱きしめた
いつもなら、成績重視で厳しくて指輪のついた手で殴ってくる怖い母は
『ごめんね…この数年間気づいてあげられなくて…ごめんね…』
と言った、母は泣いていた
きっと、主が我慢できなくて書いたノートを先生に見られたんだろう
主の学校ではまとめノートっていうのがあったからね
よく後ろのページなら誰も見ないからって
書いてた
兄はそれを馬鹿にするように『じゃあどうぞ、死ねよ』と言った
でも…そんな最後のページを担任の先生が見たらしく
その日主は放課後教室に残された
先生は真面目な顔で
『気づいてやれずにゴメンな…助けを求めてたのに…』
『これじゃ先生失格だ』と暗い声で言った
どうして先生が謝るのだろうかと思った
気づいてくれたことすら今まで彼女以外1人もいなかったのに
両親は気づきもせず今でもヘラヘラしているのに
主は正直嬉しかった、だからありがとうございます、気づいてくれたこと、凄く嬉しかったです、とだけ言った
そう思うと、今謝ってる眼の前のこの親が憎くて仕方なかった
暴力もする母親、そして気づきもしなかったその愚かさに
主が一体、成績何かよりずっと心が挫けそうで毎晩毎晩泣きたくて仕方なかったのか
助けて気づいてくれたのは学校の先生と親友だけ
普通は先生よりも早く親が気づかないといけないはずじゃないの?
いつもお兄ちゃんと仲良く遊んでる?
ふざけるな
どれだ痛めつけられて吐きそうなくらいな暴言を吐かれたかも知らないくせに
今更ごめんね?言い訳とか謝るくらいなら
産まなかったら良かったなんてたまに言うくらいなら
金かけるのが嫌だとか、そんなことをわざわざ子供の前で言うなら…
私なんてもういらないじゃんか…
嘘つき…家族は皆嘘つきだ
生まれた頃に必ず守るって言ったくせに
守れてなければ逆に傷つけて
そして言ってしまった
今まで親に逆らったことなかったから
『お母さんなんか大嫌いだッ!』
『何年間待ったと思うッ?』
『6年間ずっと泣かずに待ってたんだよッ?』
『ごめんですまさないでよッ…気づいてよッ…』
今でもそんな言葉を自分でも覚えてる
そして兄はその後泣きながら私に謝った
私は許さなかった
許されないことを…取り返しのつかないことをしてきたから
どうやっても私の心と体の傷は癒えることはない
でも…だからと言って私もこいつと同じ行動をしたらまたそれも一緒
だから決めた
必ず見返してやるんだって、
私のすべての人生を天秤にかけて
長い長い時間を掛けてやり返す
それが私の目標
それが私の今の…
今でもまだ多少にあいつは虐めてくる
でも、それでも私は良い、弱い自分も強い自分も
変なことを言うと愛してる
それでいい…誰にも私からもう二度と奪わせない
私には最高の親友が人生についているから…そして・・・
今日も小説とともに生きる____
Nonfiction…
コメント
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