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(牛沢side)
どうしよう…
俺はキヨの家のリビングのドアの前で頭を抱えていた。
こういう時、俺はどうすれば…
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時は数時間前に遡る。
《今日のTOP4とPーPのコラボ動画、俺の家で14時からでいい?》
TOP4のグループLINEに1件の通知が来た。
前々から今日はPーPとコラボ動画をとる約束をしていたのだ。
久々にみんなと集まれるため、俺はとても楽しみにしていた。
早速LINEを返し、お昼を済ませ、電車でキヨの家へと向かった。
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…予定の時間より20分も早く着いてしまった。
(まあいっか。)
インターホンを押す。
…シーン。
あれ?
もう一度押してみるが、反応がない。壊れているのか?
そう思い、ドアを引いてみると、開いてしまった。
(…入るか、寒いし)
あいつのことだしいいだろ。
「お邪魔しまーす」
俺の声だけが響く。やはり返事は無い。
ふと、玄関を見るとPーPの靴が丁寧に並べてあった。
(あれ?PーP来てんじゃん)
俺が1番に着いたかと思っていたが先にPーPが来ていたみたいだ。
きっと、2人でゲームでもして盛り上がっていて、インターホンの音に気づかなかったんだろう。
そんな浅はかな考えが巡り、リビングの扉の前に立つ。
すると、そこから聞こえてきたのは…
「待って…!キヨくんやっぱ怖い!」
「大丈夫、すぐ終わるから」
「あぁっ…」
「変な声出すなよ…」
…え?
キヨとPーP…だよな?
これってつまり…あれだよな…
思いついてしまった考えを振り払うように頭を振る。
ど、どうすれば…
ガチャ
玄関からドアが開いた音がした。
「あれ、開いてんじゃん。お邪魔しまーす」
TOP4のメンバーの1人であるレトルトが入ってきた。
「あれ?うっしーなんで入んな…」
「しーっ!!」
「え?」
俺はレトルトの腕を引っ張り、リビングの扉の前まで連れていく。
「うっしー?どうし…」
「キヨくん…!無理!怖い…」
「痛くしないからこっち向けって」
「んっ…」
レトルトの顔は真っ赤に染まっていた。
「うっしー…これって…」
「あぁ…多分、そういうことだと思う」
俺らはただ、扉の前で立ち尽くしていた。
(PーPside)
今日は久々にキヨくんの家でTOP4とのコラボ実況だ。
…楽しみすぎて1時間も早く家に着いてしまった。
(キヨくんのことだし、なんだかんだ言って入れてくれるだろう)
そう思い、インターホンを押す。
「はーい…ってPーP!?来るのはやくない!?」
「えへへ、楽しみすぎて早く来すぎちゃった」
「…wwwなんだそれ、まぁ入れよ」
「おじゃましまーす!キヨくんの家、久々だな〜」
「適当にそこら辺座っててくれ、俺編集終わってないからやんねえと」
「はーい」
僕はソファに座り、スマホを見ながらダラダラとしていた。
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数十分後…
僕は目に違和感を覚え、目を擦る。
「PーPどした?」
「いや、なんか目が痛くて…」
「あー俺の目薬貸そっか?」
「え!う、うん、ありがとう」
キヨくんが棚から目薬を取り出し、僕に渡す。
「どうした?ささないのか?」
「あ、いやーえっと…」
「ひょっとして……目薬さすのが怖いとか?」
「いや!ぜんっぜん怖くないし!」
「…www焦りすぎだろ」
「今からさすの!」
僕は目薬のフタを開け、メガネを置く。
うっ…いざさすとなるとやっぱ怖いな…
「…wwwwお前目つぶってて目薬入ってねぇよ」
「うそ!僕目つぶってた!?」
「ww…しょうがねぇな、俺がさしてやるよ」
え、そっちの方が心配なんだけど…
ぽたっ
「おい!目つぶんなw」
「うぅ…だって怖いじゃん!」
「小学生か!」
「ひどい!」
「…こうなったら何がなんでも入れてやる」
「へ…?待ってキヨくん!怖いってば!」
キヨくんは僕の腕をがっしりと掴み、目薬をさそうとしてくる。
僕も負けじと目をつぶる。
そんな、両者引かない戦いを僕たちは何分も繰り広げていた。
この会話を、誰かに聞かれとんでもない勘違いをされているとも知らずに…
(牛沢side)
レトルトと一緒に扉の前に立ち、もう数分が経つ。
「……」
「……」
気まづい沈黙が流れる。
ガチャ
「お邪魔しまーす。あ、2人とももう来てたんだ。」
ガッチさんがやってくる。
そうだ、ここは最年長のガッチさんにどうにかしてもらおう。
「てか2人はなんでリビング入ってないん?」
「あ、えーと」
「これには深いわけが…」
「まあとりあえず入ろうぜ」
「待ってガッチさん!」
俺らの制止も聞かずにリビングの扉を勢いよく開ける。
「…え?」
「…なんでキヨがPーPに目薬さしてんの?」
「お、みんな一緒に来たのか」
「わ!ガッチさん助けて!キヨくんが無理やりさそうとしてくるの!」
「よく言うよ、お前が目薬さすの怖いって言うからわざわざ俺がやってやってんのに」
なんだ…目薬さしてただけか…
「…そういえばうっしーとレトルト氏は扉の前で何してたの?」
ガッチさんが俺らに質問してくる。
当然の質問だ。
「あっ…えーっとそれは…」
「ちょっと、ねー」
言葉に詰まる。
「え、2人とも俺の家でなにしようとしてたの〜?変態」
「…2人ってもしかして…?」
キヨとPーPが俺らの方を向く。
いや、
「お前らには言われたくねーよ!」
「そうだそうだ!変態は2人の方だろ!」
「「え?」」
この日の撮影は俺らだけずっと上の空だった…
これからは人の話の盗み聞きはやめようと思う、牛沢とレトルトであった。