シン……ッ
再び時が止まる。静寂が訪れた。結那はナイフを持ったまま、ライアへと歩み寄る。
「今度こそ終わりだよ、ライア。」
冷たい声が、世界に響く。彼女はナイフを持ち替え、一瞬のうちにライアの心臓を貫こうとする——が。
——ザクッ。
結那の動きが、止まった。
「……な……」
結那は自分の腹部を見下ろす。そこには、ライアの手があった。時が止まっているはずのこの空間で、彼は確かに動いていた。
「……なんで……動けるの……?」
ライアは狂気に満ちた笑みを浮かべたまま、結那の耳元で囁く。
「だって……俺も“覚醒”したんだよ。」
——カチ。
時が再び動き出す。結那の身体が揺れ、地面に膝をついた。ライアはその様子を見下ろしながら、楽しそうに笑う。
「痛い? 苦しい? もっとだ……もっと俺を楽しませてくれよ、結那……!」
結那は歯を食いしばりながら、ナイフを握り直した。
「……ふざけるな。」
その目は、まだ闘志に燃えていた。
「私を……甘く見ないで……!」
次の瞬間、結那のナイフが再び炎を纏い、戦いの幕が再び上がった。
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