あれから、3度目の春が来た。
私は高校1年生。
宮城県立烏野高校に無事合格し、なぜか入学早々体育館にいる。
ダンッ、、、、ダンッ、、、、
勝手にボールを出し、リズムを刻みながら壁打ちをしている影くん。
影くんが烏野に来たということは、制服渡しのときに知った。
白鳥沢を受験していたはずなんだが、、、、、?
まぁそう言ってる私もお兄ちゃんと徹くんの必死の抵抗を免れてここにいるんだけど。
影山『はるか、お前青葉城西に誘われてたんじゃねぇのか?』
はるか『ん、、、、、、うーん、、、、』
足元に転がっているバレーボールの縫い目を確かめるように見て言った。
確かに青城の入畑監督とか溝口コーチとか、マネージャーとしておいでと勧誘はあったんだけど、私はとにかく烏野に来たかった。
その訳を聞いたらきっと影くんは怒るか呆れるかのどっちかだろう。
はるか「それより勝手にやっていいの?きょうくらすのこからきいたんだけど、1個上の先輩にめっちゃ怖い先輩いるって、私目つけられたくないんだけど?」
影くんはその言葉を聞くとすぐに打つ手を止め、目をまんまると開いた。
あれ?流石の影くんも年上ヤンキーは怖いのかな????
影山「もう友達できたのか!?」
、、、、、あ、そっちぃ?
はるか「クラスでレクリエーションとかあったでしょ?なに、まさか友達できてない??」
口に手を当てて小馬鹿にするような仕草をすると、眉間にシワを寄せてボールを両手で抑えた。
影山「今日はとりあえず、、、、体育館の場所を覚えた」
うん。ドがつくほどの方向音痴だもんね、、、、。
まぁそのお陰というべきかそのせいと言うか、こんなにも早く体育館に着いたんだけど。
でもチャイムが鳴ると同時に教室に駆け込んだのは流石の私も驚いた。
それだけ、影くんはバレーがとにかく大好きなんだ。
だからあんな事もーーーーーーーーー。
はるか「影くん。サーブ打ってよ。」
はるか「春休みちゃんと練習してたか見てあげる。何だって私は影くんのより徹くんのサーブを見てきたからね!!」
影くんはジト目で私を見て、でも、ボールを手に持ち、コートに進む。
ダンッ、、、、ダンッ、、、
ブツブツ言いながらも心底嬉しそうにボールをつく
微笑ましいなぁ、、、。
ヒュッ、、、、、
華麗に宙に投げ出されたボールに向かって助走を始めた。
飛び上がり、ボールに手が届く寸前、、、、、。
?「なんでいる!?」
突然の大きな声に流石の影くんも驚き、ボールが手に触れないまま、綺麗に落ちていく
はるか「あ、ちっこい一番、、、。」
影山「お前去年の、、、、。」
影くんと声が重なり、やっぱりあの時の子だと再認識した。
無駄に大きいリアクション。同年代の人と比べ低い身長。
間違いようがなかった。
去年影くんにボロ負けしたあの、、、、。
影山「名前は知らない」
うん。私もだよ。
でもそんな正直に、、、、、、、。
それでもあの影くんが顔を覚えていたことには心底驚いた
それだけ印象深かったのだろう。
?「俺の名前は日向翔陽だ!!!」
影くんの台詞でその表情に怒りの色を見せた彼は大きな声で自己紹介した。
どんな字を書くんだろうと呑気に考えていると、二人の会話はどんどん進んでいく、、。
日向「もっと強豪があっただろ。なんでそっち行ってないんだよ!!」
影山「県内1の強豪校にはーーーーーーーー落ちた」
日向「落ちたぁ!?!?「コート上の王様」なのに?」
、、、、、!!!
影山「っ‼‼その呼び方ーーーーーーーー、」
はるか「やめて‼‼」
おまわず口を抑えた。
日向くんは驚いた顔でこっちを見ている
はるか「あっ、、、、ごめ、、、」
とりあえず謝罪しようと口を開けたのと同時に、数人の足音と話し声が聞こえててきた。
バレー部の先輩かな、、、、?
黒いジャージを身にまとった男の人達が3人、体育館に入ってきた。
すぐに坊主の人と目が合い、その目付きの悪さに思わず影くんの後ろへ隠れる。
やばいよ、、、絶対あの人ヤンキーだ、、!近寄ってきて影くんにどんどん話しかけている。
日向も輪に入ろうとしているのに聞こえないふりをしているのか見えてないのかフル無視だ。 身長の話で盛り上がる中、再度声を張り上げて挨拶した日向に視線が集まった。
影くんの後ろで盛り上がる会話を聞きながら、私はいつでていけばいいのか考え込む。
影山「おまえ、エースになるって言ったからにはちゃんとうまくなってんだろうな?ちんたらしてたら、また3年間棒に振るぞ、、、、、、、ゴフッ」
はるか「こら。そういういいかたしないのっ‼‼」
?「ん?君は、、、、」
予定ではきちんと挨拶したうえでの登場だったのに予定が狂ってしまった。
はるか「あ、、、、、マネージャーになりたいんですけど」
影くんの影からひょこっと顔を出すと、さっきの坊主の人がすぐに食いついてきた。
坊主「ホントか!?!?」 はるか「ひぃっ、、、、、」
いや、、、怖いって、、、、、、。
?「じゃぁ君がこの’’岩泉はるか’’さん?」
大人っぽい人が入部届をひらつかせた。 コクコク頷くと、ニコッと微笑んだ。
?「そうかそうか。ようこそ烏野高校排球部へ!俺は主将の澤村大地だ。よろしくな」
いいひとだぁ、、、、‼‼
はるか「よろしくお願いします!」
?「俺は菅原孝支。副主将だべ!」
目元にほくろのある人は、とても優しく顔を綻ばせた。
はるか「お願いしますっ‼」
こっちの人は優しそう、、。
と、ちらっと視線を送ると、とても嬉しそうにさっきの怖い坊主の人が話し始めた。
坊主「俺は2年の田中龍之介だッ!!ぜひ田中先輩と読んでくれ!!」
はるか「は、、、、、はぁ、、、?」
誇らしげに’’先輩’’という響にきに浸っているようで、すこし怖さが和らいだ
はるか「あの、、まだ先輩っていらっしゃいますか?」大事なことを聞き忘れていた。
澤村「確かにいるが、どうかしたのか?」はるか「私、探している人がいて、、、」
日向「勝負しろよ!おれと!!」 あぁもう!!大事なこと聞こうとしてたのに、、、。
言い合いを続けていた二人は、なぜかバレーで勝負をすることになったらしい。
影山「はるか」 はるか「もう、、、、、、」
左手を差し出される。’’ボール寄越せ’’の合図だ。しぶしぶ渡して離れた所で眺める。
その後勝負をしていた二人は突然体育館に入ってきた教頭先生のカツラをふっとばし、澤村先輩から出禁を食らった。 うん。なんか凄いアウェイ感、、、、、。
わたしは出禁を食らった二人を放っておいて、目的のことを質問した。
はるか「あの、私2年生で探しているひとがいて」菅原「あ、さっきも言ってたね。誰?」
はるか「この部活のはずなんですけど、、、、」???「「「ちーす!!」」」
3人の先輩がまた入ってきた。澤村「お前ら新しいマネージャー。岩泉はるかさんだ」
先輩たちの名前を頭の中で繰り返して、インプットする。
田中「2年だろ?探してるやついたか?」 田中先輩がきいてきたが首を横に振る。
はるか「いや、、、、2年って他にも、?」
尋ねるとその場の空気が重くなった感じがした。
澤村「悪い。今ちょっと調子崩してなすぐくるようになるから、それまで待てるか?」
はるか「はい、、、、」 うそだ、、、そうすぐに分かった、、、、。
ガラッ 次に入ってきたのは美女だった。サラサラの髪。ぱっちり二重の目、スッとした鼻。口元のほくろがまた色っぽい。いや、くっそ美人。
?「はるかちゃんだよね。私、3年の清水潔子。よろしくねっ」
はるか「よっ、、、、、よろしくおねがいします!!」
手汗やばい、、こんな美人の先輩がいただなんて、、田中先輩もメロメロだ。
その後普通に練習を見て、ドリンクとかタオルについて教えてもらった。
練習が終わった頃に、追い出された影くんと日向は案の定先輩に勝負を申し込んだ。
あぁ、、、影くんだ。高校生になっても未だこの子、、、、、。
結局土曜日に入る予定の1年生二人と試合をすることになった。
影くんたちが負けたら影くんにはセッターをやらせないという条件で、
側で影くんのバレーを見てきた身からすれば、それはあまりにも過酷な話だ、、、。
大丈夫かな、、、、、、。
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