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◇◇◇◇
「知念、いる?」
1組をのぞき込もうとしたが、大城の巨体でほとんど見えなかった。
――そうか。こいつも一応生き残ってたんだ。
「あー?知念?」
大城はまだ10時も回っていないのに購買のジャムパンをかじりながら振り返った。
「ええっとお」
そう言いながら避けた向こう側には、
「とか言って、また握手会に行きたいだけでしょ」
「えーいいじゃん。知念、この間も断ったでしょ?」
机に凭れながら友人と笑っている知念の姿があった。
「だって興味ないんだもん、アイドルとか」
「えー?ライブに行けば絶対変わるって!」
何やら楽しそうに話している。
「あーいたいた。呼んでくる?」
大城が言う。
「わかった。その代わり昼はマック奢ってよね」
渡慶次は知念の笑顔を見つめた。
――知念。お前……。
そんな顔で笑える奴だったんだな……。
「……いや、いーや」
渡慶次は短く答えると、1組の教室を後にした。
◆◆◆◆
授業を受ける気にはとてもなれず、渡慶次は昼休み終了と共に、無人の屋上に寝転がっていた。
キーンコーンカーンコーン。
5時間目終了のチャイムが鳴る。
もう誰も来ないだろう。
――不思議なもんだ。
秋の空に想いを馳せる。
それぞれがそれぞれに影響を与えつつ生きているのはわかる。
しかし他人の存在がここまで自分の人生を左右するとは思っていなかった。
知念はけして陽キャとは言えないが、友人と笑っていた。
比嘉は黒髪のまま誰ともつるまず、皆に敬遠されて生きている。
新垣は渡慶次を慕いつつも陽キャの一軍にいて、
前園は渡慶次なんかが呼び捨てにできないようなマドンナで、
そして自分は、
「あー、やっぱりサボり—?」
上から誰かが覗き込んできて、渡慶次は瞼を開けた。
「上間……?」
「新垣くんが、きっとここだよって教えてくれたんだ」
上間は微笑みながら渡慶次の隣に制服のまま腰を下ろした。
「……部活は?」
渡慶次は上半身を起こしながら言った。
「言ったでしょ。明日から強化選手の遠征だから、今日はその準備で部活ないの」
上間は微笑みながら、髪の毛を耳にかけた。
「どうしたのよ。今日の渡慶次くん、変だよ?」
「あはは。だな……」
苦笑いをした渡慶次を、上間はじっと見つめた。
「……しばらく会えないね」
悪戯っぽい瞳でこちらをのぞき込んでくる。
「……さみしい?」
物欲しげな手が、渡慶次の首元に触れる。
「――寂しいよ」
試しに肩に腕を回してみた。
嫌がらない。
怒らない。
驚かない。
――もしかして、この世界線の俺って……。
少しだけ開いた上間の白シャツの奥に見える胸の谷間を見下ろす。
――もう経験済みだったりする……?
恐る恐る白シャツのボタンに手を伸ばす。
「……渡慶次くん……!」
その手は上間の小さな手によって阻まれた。
「あ、ごめん……!俺っ!」
――しくった。まだだったか……!?
内心焦りながら上間を見下ろすと、
「……ここじゃ、イヤ」
上間は上目遣いに渡慶次を見つめた。
「今日、うちのお母さん、帰り遅いから――」
「え……」
「うちで、しよ……?」
◆◆◆◆
「……ぁあッ!は……あん…!アァッ!!」
軋むベッド。
窓から差すオレンジ色の光。
渡慶次は自分の上で、小ぶりな胸を縦に揺らしながら喘いでいる上間を見つめた。
――マジかよ……。
経験があるどころか、16歳の女子が男の上で思い切り腰を振るのに羞恥も躊躇もないほどに、2人の関係は進んでいたらしい。
おそるおそるそピンク色の突起に手を伸ばす。
硬くなっている先端を人差し指で撫でると、自分のモノを包んでいるナカがキュッと締まった。
「もっと……!いつもみたいに乳首吸ってぇ?クリちゃんも指でグリグリしてよぉ!ねえ……!」
潤んだ目で上間がキスしてくる。
その細く温かい舌が、自分の舌に絡んで吸い付いてくる。
……この世界線の俺、殺す……!
渡慶次は奥歯を噛みしめながら、胸の先端に吸い付いた。
接合部を撫でながら、上下する下の突起を親指で強めにこねくり回す。
「ああッ!…ぁアッ!イクッ!イく…!イク!」
高い声を上げながら、上間が細く引き締まった体を痙攣させる。
「……くっ……!」
熱と締め付けに抗えるはずもなく、渡慶次も生まれて初めて装着したコンドームの中に、16年分の欲望をぶちまけた。
「……は……はあ……」
後ろに手をつき、足を投げ出す。
「……上間、だいじょうぶ?」
自分の唾液で光った胸の突起と、赤く勃ちあがった下半身の突起、弾けた粘液に濡れた薄い陰毛を順に見つめる。
――最高かよ。なにこの世界線……。
上間のハジメテを経験できなかったのはちょっと残念だけど。
ふっと笑うと、渡慶次の肩に手をついて呼吸を整えていた上間がこちらを見上げた。
「……なに?」
「いや。よかった……?」
「うん……。最高だった……!」
「そ。よかった」
渡慶次は汗に濡れた前髪を掻き上げると、上間の細い腰を掴んだ。
「でも俺はまだ満足できないから」
「……えっ!?」
上間が驚いたようにこちらを見つめる。
「だって、昨日も一昨日もしたのに?」
――マジで殺す。俺……!
「記憶にないなあ……!」
渡慶次はそのまま上間を後ろに押し倒し、細い足を肩に担いだ。
「……ぁあッ!!」
たちまち硬度を復活させた渡慶次のソレに、上間がまた艶っぽい声を出した。
「ああッ。あ……。アンッ!はぁッ!」
スクールカーストが、なんだ。
「や……あ……!また……イッ……」
陽キャが、一軍が、なんだ。
「イッちゃう…!渡慶次く……んん!」
マドンナが、なんだ。
ファンクラブが、なんだ。
そんなの要らない。
全っ然、要らない!
「アアッ、ああ……!!ぁアッ!……ァアん!」
24人のどうでもいいクラスメイトよりも俺は、
「イクッ!…イクッ!イッちゃう!渡慶次くん…!」
上間美紀、ひとりを選ぶ。