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プロポーズ、(ケーキ)
「マリア、僕と一緒になってください❣️僕は一生君を守ると約束する。そして、どんな時も君を悲しませない。ずっとずっと君を愛し続ける❗️」
ロビンは、心底マリアを愛し想いを告げた。しかし直ぐ、やや有りきたりで、野暮なプロポーズだったと心配になり、日々の彼女の仕草や言葉が去来し、自分の過去も一瞬よぎり、不安を増幅させた。
彼女は、優しく憂いに満ちた眼差しで、彼の方へ体をまっすぐに向き直した。
ロビンは、不穏な思いをなんとか払拭し、腹を括ると、神聖な神の詞を受けるが如く、マリアの返事を待った…。
「ロビン、なんて言ったらいいのか?その、あなたの気持ちはとっても嬉しいし、私も幸せになりたい、あなたを愛しているし、あなたの子供も産みたいワ。でも……」
中央の舞台の照明が明るくなり、マリアの好きな曲、〜(アダージョ)〜が、バイオリニストの演奏で厳かに始まった……………………
「エッ⁉️…OKだと言った?ヨ、ネ」
その時、突然店のライトが消え、(予めの作戦)、テーブルの上にroséのシャンパンとマリアの好きなフルーツババロアのデコレーションケーキが、運ばれてきた。
ケーキの蝋燭だけの灯りの中、突然、マリアは立ち上がり、
「アッ、ウッ……」
声を詰まらせたと思いきや、マリアは目を見開き口を歪ませ数秒間、ロビンを見つめながら、静かに床に崩れ落ちて行った。
ロビンは、直ぐに企てを把握する事は不可能だったが、唯、マリアの背後から走り去って行く、知っている女の後ろ姿を見ていた。
倒れたマリアの手に、日記が握られている。彼女が言いたかったことが、栞のページの中に集約されていた。
〜彼を返して❗️許さない❗️〜
と書かれた不吉なメールが挟まっていた。
ロビンの怒号と嗚咽が店中に響きわたる……。
完