わたしのアールを参考にしてます。
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これは私が自殺する時の話。
私は屋上に行った。もう死のうと考えていた時のことだ。
靴を脱ぎかけた時に三つ編みの先客がいた。私はその子に声をかけてしまった。
「ねぇ、やめなよ」
言ってしまった、と口を手で抑える。口をついて出ただけ
本当はその子のことなんてどうでもよかった。
ただその子に先を越されるのが何となく癪だった。
三つ編みの子は語る。どっかで聞いたようなこと
「運命の人だった。どうしても愛されたかった」と。
(ふざけんな、そんなことくらいで私の先を越そうだなんて…欲しいものが手に入らないなんて
奪われたことすらないくせに…)
心の中でこんなことを思ったその後、
「話したら楽になった」って
三つ編みの子は消えていった。
私は(今日は気分が悪い。今日は辞めておこう)と家に帰った。
さぁ、今日こそは、と息を飲んで屋上に向かった。
私が靴を脱ぎかけた時にそこに背の低い女の子がいた。
「ねぇ…」また声をかけてしまった。なんで声をかけてしまうのか私も分からない…
そう私が考えている時、背の低い女の子は語る。
クラスでの孤独を「無視されて、奪われて、居場所がないだ」って。
(ふざけんな、そんなことくらいで私の先を越そうだなんて…それでも、家では愛されて温かい
ご飯もあるんでしょ…?)
なんで、なんで、と涙目になった。
「お腹がすいた」と泣いて背の低い子は消えていった。
今日も自殺できないな。と思いながら私は家に帰った。
そうやって何人かに声をかけて追い返してを繰り返す。
私自身の痛みは誰にも言えないまま月日が経っていた。
私は初めて見つけた。似たような悩みの子。
何人目かにあった、黄色いカーディガンの子。
「うちに帰る度に増え続ける痣を消し去ってしまうためにここに来たの」と言った。
口をついて出ただけ。本当は、本当はどうでもよかった。
でも、声をかけてしまった。思ってもいないことを。
「ねぇ、やめてよ…」
声にならない声で。自分でも馬鹿らしい。
あぁ、どうしよう。この子は止められない。
私には止める資格がない。
それでも、“ここからは消えてよ”君を見ていると苦しいんだ。
そんなことを思っていると
「じゃあ、今日はやめておくよ」って
目を伏せたまま消えていった。
今日こそ。と私は屋上に向かった。
思った通り、今日こそは誰もいない。
「わたしひとりだけ」と小さくつぶやく。
誰にも邪魔されない、邪魔してはくれない。
清々しい気分で……
カーディガンは脱いで
三つ編みをほどいて
背の低いわたしは
今から飛びます。
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