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[はじめに]
検索避けの為に、名前などはぼかして記載します。
物凄く久々の創作ですがよろしくお願いします。
恋人さのすえ⑱です。
⬇
カチカチと時計のなる音がする。
時刻は夜中の2時。
ぼんやりと目覚めたベッドの中は、なんだか窮屈に感じた。
「んーー···ん?」
少し周りを見渡し、見慣れない風景に段々と記憶が繋がってゆく。
確か昨日は⋯
「仕事終わって⋯皆でご飯食べて⋯」
そうだ。珍しくせーやくんがお酒を呑んで、終電に間に合わなくて面倒になって、ビジネスホテルになだれ込んだんだった。
横からすぅすぅと寝息が聞こえる。見なくても分かる、せーやくんだ。
反対側を見ると、荷物置き場と化したベッドがもう1つあった。
成人男性2人でシングルベッドは、そりゃ窮屈に決まってる。
「んん⋯?!」
薄暗い中、目を凝らすと荷物の中に無造作に脱ぎ捨てられた上着とズボン。
「ズボン⋯⋯⋯⋯履いてる⋯なぁ⋯」
思わず自分の足の感覚を確かめる。
と、いうことは。
「せーやくんパンツやんか!」
「ん⋯ンん、さのぉ?⋯なに⋯」
眠たさ全開といった声が、くぐもって響く。
よく見ると、まだ顔が火照っていて少しお酒くさい。
少しドキッとしてしまう。この人、寝てる時無防備すぎやしないか?
「起こしちゃいました?お水飲みます?」
「んーーーー⋯」
「お酒、気持ち悪くないですか?」
「ン``~うー」
会話になってるのやら、無いのやら。
せーやは、少し体をのばしながら「みず のむぅ」と呟いた。
さのは備え付けの小さな冷蔵庫からペットボトルの水を取り出し、パキリとキャップを開けた。
「はい、せーやくん水やで」
「う、ん、ありがとぉ」
のそのそと起き上がり水を飲むと、再びベッドへ倒れ込んだ。
眠そうだ。
「まだ朝ちゃうから、寝てて大丈夫ですよ」
「んー!」
せーやが、布団からのびた手をバタバタと動かしている。何か要求がある意思表示だろうか。
「はいはい、なんですか」
さのがギッと音をたてながら、ベッドへ戻る。
布団の中からのびた小さな手が、思いっきりさのの服を引っ張った。
「お~おおお?なになに!ぶっ」
勢いで顔面から枕に飛び込んでしまった。
「も~、なんですか」
至近距離の恋人の顔を見ると、ほぼ閉じたままの瞼で笑っている。
あ、これは⋯⋯ちょっともてあそばれてるな?
「せーやくん眠たいんちゃうの?」
「眠たい``」
「寝なさいな」
ポンポンと布団の上からあやす様にリズムをとるが、中からはくすくすと笑う声が聞こえる。
「なぁさの、こっちきて」
少し声が鮮明になってきた。それでもまだ、火照りを感じる。酒が残っているのだろう。
のびた両手が、さのの首に回り甘い声が囁く。
「いま、すーごいしたい」
小悪魔のように、くすくす笑いながら絡みつく。ふっ、と、首筋に息を吹きかけ、舌でなぞる。
そんな事されたら、何もしないなんて無理だ。
さのの理性が、ちぎれかけた。