💜サノス × ナムギュ🖤
若干、別の二次創作品『ゆめで会えるなら』の一部に関連しています。
ソフト(18禁✕)、 ライト中のライト
イカゲームに参加していませんので、台詞はそれぞれの名前で表記しています。
< ざっと設定:ナムギュ→ ギョンスと同僚でナイトクラブの支配人 / サノス→ラッパーになる夢を追いかけている >
もちろん、フィクション(捏造)ですわ。
ほのぼの。癒やされてくださいませ。
『 あなたをみつけた 』
時は夕方。今日も柑蜜に染まった空が、人々をみている。
サノス「あ〜、疲れたーー!おわりおわり!!」
上司「あー、お疲れ〜。….二度とやらかすなよ?」
サノス「…はい。もちろんです。お、お疲れ様っす!!!」
サノスはそう言って、テキパキと作業服から私服に着替えて屋外へ飛び出す。
元気が有り余っているようだが、今日も頑張って、ちゃんとお疲れである。
そんな黒髪ショートのサノスを、空は見守っていた。
サノス「….はぁ」
無意識に大きなため息が出た。
午前は親の会社で働いて、午後から夕方までは配達アルバイト。すっげー疲れる。
特に今日は!….俺、失敗が苦手でさ笑。今日、仕事でめちゃくちゃやらかしたんだよねー。
アルバイトのことは親には言ってない。親は、俺の夢を支持しなかった。今思い出してもすごいムカつく。
だから、副業して夢に向かう。絶対に成功する。根拠のない自信がそう告げている。
サノス(俺のハートの傷が癒えないんだが….あーもう、)
今の状況は、辛い…そういや、最近休めてねーな。夢がモチベーションなのは当然だが、正直、休みたいし、人生を楽しみたい〜!どうやって、時間を確保するかすごく悩ましい。それに、何しようか。
サノス「う〜ん」
宵の口、家に帰りながらそう悩んでいたところ、あるお店が目に入った。
サノス「…Night club?」
そう。俺は、とあるナイトクラブをみつけた。
サノス(そういや、一度も行ったことがなかったな。)
そう思っていると次第に興味が湧いてきた。当然、抑えられるわけはなく、行ってみることにした。
サノス(初めてだから、すげーワクワクする〜♪)
そのお店は、クラブなのだが、他の店とは違ってかなり洒落ている。
店の入口には、イケてる男性店員がいる。女性に囲まれては、穏やかな雰囲気で次々とお店の中へ案内していた。
サノス「有能だね〜笑」
?「あ、初めての方ですか?運が良いですね〜!きっと、楽しめますよ。」
男性の名札には、”ギョンス”と書かれていた。
サノス(あ、俺の名前と韻を踏めるなぁ。)
なんとなくそう思っていると、
ギョンス「せっかくだから、案内しますね〜!」
と、心から仕事を楽しんでいるような笑顔で言われた。
俺は素直に、親切にされたことが嬉しかった。
サノス「ギョンスさん、ご親切にどうも〜!」
ギョンス「任せてください〜!」
クラブの人には良いイメージがなかったため、初っ端から楽しみで仕方がない。
ギョンス「では、どうぞ〜」
中に案内され、すぐ目の前にあった空間は落ち着いた雰囲気が漂っていた。
この空間とは別に、透明なドアガラスの向こうの世界はThe・nightclubって感じの世界が広がっていた。落ち着いた雰囲気があるとはいっても、ガラスの向こうの音楽は低音に聞こえてきたり、色んな人たちがおしゃべりしている。この設計はなかなか面白かった。ここの支配人はどんな人だろうか。
さらに、テンションが上がってきた。
ギョンス「…気に入ったみたいですね?ここは〜〜・・・」
俺の気を察したのか、そう問いかけてざっと、どんな場所かを教えてくれた。
ギョンス「〜ですよ。じゃ、楽しんでね。」
数分してギョンスが説明し終わったとき、
ギョンス「あ!」
突然、彼は視線を特定の場所に定めた。
サノス「…ん?」
気になって、彼の視線を辿って後ろを振り返ると、バーのカウンターの男性に目が止まった。
?「へぇへっ、そんな事ないっすよ〜笑」
サノスの目に止まった男性は、ヘラっとしながら少し困っている表情をしていた。
中年男性「いやいや、絶対にモテるでしょ〜!」
会話が盛り上がっている。
二十代の女性「そうよ、そうよ〜!ハンサムって言われない?笑」
男性は更に照れてみせた。
すると、
そこそこ顔がいい筋肉男「ねぇ、手ぇ貸して。」
?「…はい、なんですか?…あっ」
筋肉男は、男性の手の筋をなぞるように触る。
?「ん、…変な触り方しないでくださいよぉ〜笑」
それでも、筋肉男はやめなかった。それどころか、彼になにかスイッチが入ったのかゴキュっと喉仏が動き、明らかに男性を見る目が獲物を定めたハンターだった。
女性「なぁに、ナムギュ色気やばぁ〜」
流石に嫌だったのか、男性は苦笑しながら、取り繕っていた。
そして、手を握られて逃げられないのか、困っていた。
ギョンス「よし、ちょうどいい丁度いい!」
ギョンスはそう言って、サノスをそのカウンターまで連れて行った。
サノス(なんだ、なんだ〜?)
ギョンス「支配人〜〜!サボらないでくださいよ笑!」
彼らの会話に割って入り、ギョンスに驚いた筋肉男は、支配人らしき人の手を握る手が緩んだ。その隙に、支配人はスっと手を離した。そして支配人は、ホッとしたように、
?「…は、サボってねぇ〜よ笑。あーと、俺にはちゃんと名前があんだよ。」
ギョンス「はいはい、そうですね。ナムギュさん〜。」
ナムギュ「うん、それでいい笑。てか、どうしたんだ?」
ギョンス「実はね、頼みたいことがあるんだけど。」
ギョンスは俺の背中を軽く押して前に行かせた。
ナムギュの顔が近くでよく見える。みんなが話していた通り、イケメンと言うよりかはハンサムに近い人だった。
サノス「…」
ギョンス「ほら、挨拶して〜」
少しぼーっとしていたら、ギョンスの声で俺はハッとした。
サノス「あ、どうも〜はじめまして!」
そう勢いよく行った俺に、ナムギュはほのかに笑ってみせてこう言った。
ナムギュ「ンフッ….随分元気な初めてさんですね?笑」
サノス「はい!笑」
女性客「あら〜イケメンだわぁ」
中年男性「君も、さぞかしモテるでしょう〜。」
正直、褒め言葉の雨に慣れていた。素直に嬉しいものの、めちゃくちゃに当たり前だと感じた。
サノス「そのとおりですよ笑」
ナムギュ「ちょ、みんな目移りですかぁ笑?」
他の客「ジェラシーや笑」
ナムギュ「違います〜〜」
そう客とじゃれているなか、一人紛れて、
筋肉男「俺はナムギュかな。」
ナムギュ「へ?はぁ…そうですかー。」
俺はナムギュの嬉しくなさそうな反応を見て、筋肉男を哀れに思った。
あ、自分の性格の悪さが出た。でも、正直なところ…
サノス「俺もナムギュさんのほうが素敵だと思います〜!」
初めてあった人に言われても嬉しくないだろうと思ったが、案外違う反応を見せてくれた。
ナムギュ「え、そう?照れるわ。つか、全然ため語でOKですよ。」
筋肉男は、俺をひと睨みし、盛り上がっているガラスの向こうへ行った。
明らかにこれは、嫉妬されているな笑
サノス「…わかった〜笑」
ギョンス「話が盛り上がっているところ、ゴメンだけど、このコを案内してくんない?仕事代わるからさ!」
ナムギュ「はぁ…お前は看板役だろ?大丈夫なのか?」
ギョンス「どうせ、暇だったんでしょ〜。お願いだから!このコ、なんか初めてみたいでさ〜!お店に詳しいのは支配人しかいないと思って。」
ナムギュ「それもそうだなぁー。てか、名前!」
ギョンス「んじゃナムギュ、よろしく〜」
そう言ってギョンスは、俺をナムギュに任せた。
ナムギュ「あ、おい、いいとは言ってないぞ….ま、いっか。」
するとナムギュは、俺を見て、
ナムギュ「私はナムギュです。お客様が楽しめるよう、案内させてもらいます。」
ギョンスとの会話と違って、丁寧な口調で言った。
俺はびっくりしつつも、少しものさみしく感じた。
サノス「よろしくお願いします〜」
ナムギュ「はい。」
ナムギュはサラサラとした、首の真ん中まで長い前髪を耳にかけて、ニコッと笑った。
ナムギュ「それじゃ、行きましょうか。」
俺は次々とお店の中を実際に回りながら、ナムギュのわかりやすく興味をそそられる話を聞いていた。
ところどころ、こんな身内の話をしながら。
ナムギュ「お客様、遊び慣れてはいそうですね?」
サノス「よくわかったな。前はそうだけど、最近は忙しくて。」
遊び慣れていることがわかるのに驚きがあったが、
まぁ見た目はともかく、こんだけチャラチャラしていたら、さすがにわかるか笑。
…これで、クラブは初めてとか、ダサいか?
ナムギュ「まだ、今日は時間がありますよ。では、楽しんでください〜。」
いつの間にか、ミニツアーは終わったようだ。
はー、もう少し話したかったんだけどな。
サノス「ナムギュ、ありがとう。」
ナムギュ「いえいえ〜」
ナムギュは、そう言ってこの場から立ち去ったあと、少し遠くのほうで思いっきり背伸びをしていた。
あまりにも、さっきの雰囲気と違って思わず吹いた。
サノス「フハッ!!やべー、おもしれーやつ笑」
薄暗い部屋、カラフルな光、大きな音楽、その音楽に沢山の人が乗って踊る。
かなりの盛り上がり具合にテンションが上がらないはずがない。
これなら、嫌でも疲れがぶっ飛びそうだ。もう、全然大歓迎!
サノス「yeah~~!」
周りの人「yeah~~!!!!」
みんな、音の波に揺られて、自分の精神を開放するように楽しんでいる。サノスはその中で思いっきりはしゃいでいた。
数分もしないうちに、サノスはすっかり場に馴染んでいた。
サノス「あ、そうだ〜」
すると、なにか考えがあるのか、サノスはDJのもとへ向かった。
サノス「あのぉ〜、俺さ爆イケなラップができるんだけど、コラボしねぇか?盛り上がるし、得ばっかだぜ?」
DJは眉をしばらく寄せ、サノスの顔をまじまじと見た。
DJ「う〜ん、….なかなか君イケてんね〜!よろ〜〜!」
サノス「あは、ありがと〜!」
DJとサノスは、数時間最高な盛り上がりを人々に贈った。
どんどん、ステージの近くに人が集まってきている。その中にも、楽しそうにナムギュも参加していた。
サノス(あ、ナムギュだ…楽しそうじゃん笑)
テンションがどんどん上がり、サノスの魅力もどんどん溢れ出してきた。
サノス「いいね〜盛り上がってんね〜!まだまだ行くぜ〜!!」
DJ「ふううううう↗!!」
女性客A「あの人、ほんとにかっこよくない〜?」
女性客B「まじだ!あとで、話しかけに行こう!」
時間が経つにつれて、サノスの認知度が上がっていった。
そろそろ、疲れてきたし飽きてきたなぁー。声が乾いてきたし、休憩すっか!
DJ「お疲れさんだな。ラップ、良かったぜ。才能あるね〜!あとは、任せな!!」
サノス「ありがとうございます!頑張れ〜!」
DJ「おう!」
さーて、なんでもいいから呑むかぁ。
女A「あのぉ、これ!一緒に飲まない♡?」
女B「そうだよ、うちらと、呑もう呑もう〜♡」
露出度が高い服を着ていた女二人が、お酒が入ったグラスを片手に言い寄ってきた。…思っていた通り♡
サノス「君たち、かわいいねぇ!!もちろん、いいぜ〜♡」
好きなラップできたし、奢ってもらえてラッキーだし、女の子たちかわいいし、久しぶりに今日は最高だな〜。
周りを見れば、踊っている人、ナンパされされる人、騒いでいる人がいる。みんながそれぞれ楽しんでいて、殴り合いや喧嘩がなく、ほんとにいい空間だった。久しぶりの新鮮な感覚が、若いあの頃を思い出させる。
サノス「あの頃も良かったな〜」
女性たち「わかる〜〜」
年が過ぎ去った人のなんとなくな話で、なんとなく盛り上がっていた。
そんなところ、周りを眺めていると、案内してくれた支配人・ナムギュがゆるーく踊っていた。
音楽の波に体を任せて踊っている様子が、面白くてなんだかかわいらしい。
サノス(いいね〜笑)
女性たち「何その顔、かわいいんですけど笑笑」
「ナムギュって沼よね〜」
ナムギュを見てたことが明確だったのか、そう言われて少し照れくさくなった。
サノス「んふ、君たちもだよ?」
女性たち「きゃぁぁっ♡」
女の子たちとおしゃべりしながら、遠くで踊っているナムギュを
のほほんと見ていると、ナムギュのもとに、鉄のサビみたいにしつこかった筋肉男が近づいてきた。
筋肉男「ナムギュさん〜、楽しんでるね〜!」
ナムギュ「んふふ、でしょ〜?♡」
ナムギュは、踊りながらあざとくそう答えた。
男にその仕草が響かないわけがなく、すぐに踊りながら前に行くナムギュを、捕らえた。
ナムギュの、上にあがっていた左手首を掴み、彼のお腹辺りに片方の手を後ろからまわし、ナムギュを逃がすまい、と捕らえた。
ナムギュ「なぁに?」
筋肉男「だいぶ酔っているね〜。…んねぇ、疲れたんじゃない?」
ナムギュ「ううん?つかれてn」
筋肉男「うんうん、疲れたでしょう!お仕事は一旦休憩して、別のとこ行こうぜ〜」
男は、ナムギュの腰を引き寄せて連れて行こうとした。
サノス「はっ!?」
その様子を見ていたサノスは勢いよく椅子から離れた。
女性たち「あ、気をつけてねー」
「楽しかったよ〜、ありがとぉ」
サノスには、そんな女性たちの声が届かないほど、怒りと焦りが湧き上がっていた。
サノスは、連れてかれるナムギュのところへ急いで向かった。
ナムギュ「え、あの、やめてくださ…」
筋肉男「あ”?」
ナムギュ「….」
ナムギュはその圧に刃向かえず、流されるようにカウンターのある場所へと男についていく。
サノスはなんとか近くまで追いついて、
サノス「おーい、ナムギュ〜!!先に帰っちゃうのかぁ?約束したじゃん、一緒に帰ろうって!せっかく”今日も”美味しいご飯一緒に食べたくて迎えに来たのに〜〜(?)」
サノスは自分自身にもわけのわからないことを言った。
ナムギュ「あ、あ〜(?)」
筋肉男「お前、なんだよ。こいつの何なんだよ。」
筋肉男は、サノスに低い声でかつ睨みながらそう言った。
サノスはそんな男に対して、チャラチャラとした雰囲気を消して、質問に答えられず黙っていた。
ナムギュ「そっその…」
今にも喧嘩しそうな二人にナムギュが割り込んだ。
ナムギュ「ご紹介しますっ///!この方は、私の人生にゆとりをくださった大事な人なんです…////」
ナムギュは小声でそう伝えた。
筋肉男「え…。」
流石に常識はあったのか、男はショックの大ダメージを抱えつつ、残念そうに立ち去った。
一方サノスは、ナムギュの発言とリアルな反応に戸惑っていた。
男が立ち去ってしばらくして、ナムギュはバーのカウンターへ向かった。
サノスもついて行った。
俺たちはバーの横並びの椅子に座った。
サノス(あ〜、なんだよ。こいつ、演技うますぎてビビったわ…!)
あのとき、自分から何も言えなかったことに申し訳無さを感じつつ、ナムギュの対処の仕方に感銘を受けた。
ナムギュ「ぎょんす〜〜(泣)おさけぇぇ!」
突然ナムギュのしっかりした雰囲気が崩れた。
ギョンス「あらら、またなんかされたのでちゅか?笑」
ギョンスには慣れっこだったのか、ナムギュをそう茶化した。
ナムギュ「….グスッ…ふざけんな。」
明らかに情緒不安定で、俺は吹き出しそうになったがなんとか笑いをこらえた。
ギョンス「あー、悪かったって。はい、どうぞ。」
「お、さっきのお客!ラップすごかったですね?」
ギョンスが俺に気づいた。笑いをこらえていたのがバレてないといいけど。
サノス「ありがとう。楽しかったわ。」
俺達の間を察したのか、ギョンスは空気を読んだ。
ギョンス「で?ふたりとも、なにか話があるようですね。あっちに行ってますので、ごゆっくり〜。」
ギョンスが去ってから、ほんの少しの間沈黙が続いた。
しばらくして、少しずつお酒を飲んでいたナムギュが、
ナムギュ「グビッ…ゴクゴクゴクっっぷはぁ〜」
お酒を美味しそうに一気飲みした。
サノス「いい飲みっぷりですね笑」
ギョンスは、ナムギュがおかわりと言う前に、お酒をスッと渡して、また何処かに行った。
ナムギュは、その酒の入ったグラスを引き寄せて俺に話しかけてきた。
ナムギュ「…なんか、助けてくれてありがとう。」
ナムギュは酔いが濃くなっているのか、とうとうタメ口で俺に話しかけてきた。
不思議と、嬉しくなった。
サノス「あぁ。恩返しだよ。とはいえ、あん時何も言えなくてゴメンな?」
ナムギュ「気にしないで兄貴〜」
”兄貴”…ってよばれるのも、悪くはないな。
サノス「なんだか、俺、びっくりしたぜ。嘘がうまくてな。」
ナムギュ「… 」
顔が暗くなっている様子を見て俺は察した。
サノス「…もしかして訳ありか?」
ナムギュは軽くため息を付いて、
ナムギュ「まぁ、そうかな。自然と慣れたんですよ。」
彼の目はどこか遠くを見ていた。
サノス「深く探らないでおくよ。」
ナムギュ「兄貴はやさしーですね。」
突然の褒め言葉に、ドキリとした。
サノス「だろ?笑」
ナムギュ「自意識過剰〜笑!」
サノス「なんだと!笑」
そうして場が和んだところ、ナムギュから話題を振ってくれた。
ナムギュ「そういや、ラップ上手かったね。」
サノス「んふふ〜だろ〜♪」
なんだかナムギュに褒められるとムズムズした。
それに、また自意識過剰って言われるかと思ったのだが、ナムギュは、
ナムギュ「ほんとにねぇ〜」
そう言って、ニコニコしていた。そんな彼の瞳は俺をまっすぐ見ていた…ような気がした。
サノス「実はな、ラッパーになるのが夢なんだ。だからね、叶えるために頑張ってるんだー。」
普段誰にも話さないこの話。この人になら、と、簡単に自分の口からどんどんこぼれてきた。ずっと、語りたかった。
ナムギュ「でしょうね。上手だったし、誰よりも楽しそうでしたよ。兄貴なら、すぐに叶えられますよ。」
俺はその時気づいた。
夢に向かう道は険しいけど、辛いこともあるけれど、今この瞬間のように自分を認めてくれる人と出会えたことが、自分は案外いい道を辿ってんだな、と。
なんてことない事なのかもしれないけどな。
サノス「夢への道は本当に愉快だな笑。新しいコトがいっぱい。」
俺はそう小さく言った。
ナムギュ「?」
サノス「まぁ、すぐに叶うのもいいけど、たまには寄り道して、ナムギュみたいな人をみつけることが、夢への道でも悪くないよ。辛い事もたっくさんあるけどな。」
ナムギュ「へぇへ。確かにね〜。」
彼は素直に照れてみせた。俺も釣られて、照れてしまった。
こうして俺達は、単行本の縦の長さぐらいあるグラスの、酒がなくなってしまうまでゆったりとした時間を過ごした。
しばらくして。
ナムギュ「なんだか眠くなってきたなぁ。…いやだぁ、寝たくない〜。兄貴ともっと話したいよ~…。」
サノス「ははっ、なにそれ笑。…俺もだけど笑。」
よく見たら、ナムギュの目の下のくまがひどいことに気づいた。
あまり、寝てないのだろうか。俺ももう少し話したいが、寝させてあげたい。
サノス「…少し寝たらいいんじゃないか?閉店時間まで時間あるし。そばにいてやる。だから、ぐっすり寝てな。」
俺は、ナムギュのクマを優しく指でなぞりながらそう言った。
ナムギュ「そう…すね…んぅ」
ナムギュは軽くあくびをして、俺の方に顔を向けて、重たそうなまぶたを閉じた。
その様子が、ただただ愛おしくて。
サノス「good night〜。良い夢をみてね。」
俺はナムギュの頭を軽く撫で、そう囁いた。
そして、穏やかな顔で眠るナムギュを静かに彼の横で見守った。
このあたたかい気持ちはなんだろうか。しばらくは、このあたたかさにお世話になりたい。
そんなことを思いながら、”今日”は”明日”へと変わっていく。
とても愛おしい時間が俺達を包み込んでいた。
深い深い夜の色がはじまりを静かに語った。
やっと、あなたをみつけた。
end.
一言あとがき:みてくれてありがとう、みつけてくれてありがとう!!
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天才だ!!