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テラーノベルの小説コンテスト 第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで
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目が覚めるとそこは、探偵社の医務室だった。…与謝野さんの治療を受けたのか、傷だけでなく、貧血気味だった身体も血が行き届いていて気だるさを感じなかった。


唯、1つ言うとすれば、目の前にいる探偵社員の皆への言い訳が思い浮かばなかった事だ。


治療するためには与謝野さんに見せなければならない訳で、そのため、此処には太宰さんが運んでくれた事になる。その過程で、探偵社寮内の皆が何事かと目を覚まし、傷が塞がれる前の腕を見られたに違いない。


やっちゃったな。

もうどうにもならない。


太「敦くん、目が覚めたかい?」

敦「……」

太「話してごらん。」



…もう言い逃れは出来ない。

僕を気遣ってか、部屋には与謝野さんと太宰さん、乱歩さん、僕、の4人しかいない。

社長は他の用事で席を外しているようだった。



敦「迷惑かけてごめんなさい」

太「迷惑だなんて思ってないよ、だから話して、敦くん」


敦「厭だ、…厭です。…こんな、」

太「こんな?」

敦「…馬鹿みたいな事……、言えるわけない」

ベッドの上で1人俯く。

乱歩さんの視線が僕の頭上をついた。



乱「ねぇ敦、あの傷のことだけど、あれは自分でつけたもの?」

敦「…、はい」

探るような目の奥に優しさを感じる。





乱「敦、院長先生は憎い?」




確信をつくような言い方に思わず身震いする。今まで、乱歩さんにこうやって真意を見抜かれてきた人達の気持ちが分かる気がする。


敦「…院長先生は…憎いです。でも、…完全に憎むことなんて出来ない。…あの人は僕の唯一の父親だから」

太「…父親、か。…君は院長先生が…、父親が好きだった?」



敦「…そう、、なりたかった。

僕は、院長先生の愛情を確かめたかった。僕が院長先生に貰ったのは、傷だけだったから。あの傷は、あの痛みは、僕の為で、愛故のものだと信じたかった」


僕がどれだけあの人の言葉を聞きたくても、聞きたい言葉が帰ってくることはない。

何故なら彼はもうこの世に居ないから。

僕に残るのは、彼が残した傷跡だけ。

それに縋って、勝手に傷ついて、苦しんだだけ。

敦「……誰も何も悪くないんです。院長先生も、何も悪くない。…もう一度苦しい痛みを味わって知りました。そこに隠れる院長先生の感情に。」



敦「結局悪いのは全て自分なんです。この社会に置いて不適合者の自分が。自分だけが。」


乱歩さんは矢張り未だ目線を逸らさない。

太宰さんと与謝野さんは悲しい顔をして僕から視線を逸らしていた。

乱「、院長先生はもう居ない、ね。でもさ、敦くん。」

乱「未だ生きてるじゃないか。…君を苦しめる元凶が未だ心に住み着いてる。」

乱「“其れ”を辞めないと、内側から君を壊して、もう二度と元通りにならなくなる。」


それでもいいの?


僕の答えを待つように悲しい声でそう問う。


探偵社の優しい声に耳を背けて、ずっと院長先生との過去から抜け出せずに、生きた死骸のような生活を過ごす?


敦「…そんなの、厭ですよ…、ッ、」




敦「でも、ッ、僕はどうしたらいいんですか?!僕が求めている答えを、ッ!言ってくれる人はもう居ない…、!もう居ないんですよ…?」


暴れるように、苦しい気持ちが全て言葉になって出てくる。訳もなく涙が止まらなくなった。


敦「う、うぁぁあ…」

ぼろぼろと流れる涙がベッドを濡らしていく。一生懸命に拭ってもそれは次から次へと出てくるから無意味に等しい。

敦「院長、せんせ、ッ、僕は…どうしたら」

…助けを求めても、道しるべをしてくれる人は居ない。

助けて。僕をこの暗闇から。

解放してください










………突然、僕を痛いくらいに強く抱きしめる感覚が伝わる。

暖かい体温が、涙で冷えた僕の体温を温めていく。

腕の隙間から乱歩さんと与謝野さんの様子だけが映る。




乱「太宰、あとは任せたよ」


そう言って2人が部屋を出ていった。







誤字脱字等あったらすみません💦

殆ど殴り書きというかなんというか…

リクエストいつでも〇です!むしろ嬉しいです…!

♡等も押してくれたら嬉しいかぎりです…泣

ここまで見てくださってありがとうございます!

次も見てくれたら嬉しいです( .ˬ. )

痛みが僕を僕にするから

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