「あ…」
その者は名を与えてすぐに現れた。まるで、スーパーヒーローが現れたように…
ただし、めちゃくちゃムキムキのヒーローではなく…白髪の老人。ヒーロースーツではなく…執事服を着てメガネをかけているどう見ても…よく漫画でもある執事の爺やだった。それも、殺気に溢れた
(登場シーンはヒーローなのに…)
(拳で戦うんだ)
放った拳は鈍い音を立てながら頭を貫通していった。その光景は血まみれのグロテスクだ。妹には見せられないので抱きしめたままにした。
「お兄ちゃん…もうはなしていいよ」
「…だめだ」
不満顔をしている。すると、上からハンカチがきた。驚きのあまり上を見ると
「ご無事ですか。我が主様」
先ほどの殺気に溢れた雰囲気から一変してにこやかな老人へとなっていた。
「あ…ありがとう」
「いえ」
この笑顔はまるでどこか懐かしむような笑みだ。
「無事か…すまん身を離した隙に」
「クローバー!」
「クローバー怪我はない?」
「怪我はない」
笑真は隙間から顔を出して言った。クローバーは無事なようだ。俺たちを心配してすり寄ってきた。
「こしょばい」
「よかった」
「ところでお前は誰だ」
確かに爺やの存在をそのまま受け止めていた。俺の異能の力で式神だったかな。それが開化されて現れた
「クローバー大丈夫だよ。味方だよ…たぶん」
「お初目お目にかかります。我が主様より名を頂きルティと申します。どうぞよろしくお願いいたします。」
バッチリ敬語で執事感爆上げだ。主様って言葉にはなんか緊張する。きっと似合わないんだろうな。
「…よく分からないが帰ってこいつのこと主に聞こう」
「そうだね」
「かえろ〜」
「失礼ですが、魔物はどうしましょう」
忘れてた。そのままにしておくのは危ない。この世界の魔物は倒したら消えるとか鉱石に変わるのではなく死体として残ってしまう。片付けなくては魔物が集まって大変なことになる。
「大丈夫だ。俺に任せろ」
クローバーの影から一気に闇魔法が出てきて魔物を包み込み吸収するように消えていった。Theファンタジー
帰り道は一人と一匹が護衛のように周りに警戒しながら行ったので安心だった。
「ただいまー」
「おかえり」
「戻ったぞ」
外からでも分かったがめちゃくちゃ美味しそうな匂いがする。早く食べたい。疲れたから腹ぺこだ。
「…冬真この人」
「母さんこの人は…」
なんて言おう…変な人ではない…味方…どこから現れたと言われたら説明できない…
「異能…月開ね」
「…わかるの」
「もちろん…食べてから話しましょう」
母さんなんか知ってるようだ。もしかしたら、この力は転生者だからとかではないのかもしれない。
(飯はうまい…けど聞きたいことが多すぎる)
この子も受け継いだようね。冬真がそうだということは笑真もそのうち現れるでしょうね。嬉しいようで悲しいできごと…
時間が足りない…生きたい
「母さん…異能について教えて」
ご飯を食べたて片付けが済んだ後、真っ先に聞いた。
「もちろん」
「笑真もおいで…大切なことだから」
「うん」
「私の一族はね。代々受け継いでるものがあるの。一つは異能。二つは約束。三つは物語。これが主な受け継ぎものでね」
「すごいね」
「そうね」
「他にもあるの?」
受け継ぎものか
「特徴で言えば…五感の一つが他の人とは違い冴えているの。私は耳がいいの」
「俺はたぶん目がいいと思う。遠くまで見れた」
「笑真は母さんと同じ耳だよ」
母さんは俺たちの頭を撫でながら聞いてくれる。ほんとに素敵な人だ。
「その力は遠くまで知ることができ…嘘を見抜く力があるの」
(嘘を見抜く…)
そんなすごい力だったんだ。遠くまで感じることだけではなく、嘘も見抜けるんだ。…だけど母さんは嬉しくなさそうだ
「母さんはこの力…嬉しくない」
「…そうね。私は…この力嬉しくない」
「なんで…母さんはうれしくないの?」
「私はね…この力と共に誰も信じる事が出来なくなったの。私…感情が薄いでしょその理由の一つ」
確かに、この力はすごい。だけど…人間不信になってしまう。表では良くしてくれるけど、本音…つまり裏では悪く言っている。信じたいけど信じられない。誰も信じれなくなるのもおかしくない。
「笑真は…母さんは笑顔が綺麗だと思うよ。薄くないよ」
「俺も」
「ありがとう。今こうして笑っていられるのも…彰のおかげよ」
「父さんの… 」
「私が辛い時…真っ暗な中で一人だった時…いつも一緒にいてくれ明るい方へ導いてくれてね。まっすぐで…嘘が下手くそで…考えてることがすぐ行動や顔に出ちゃって…優しい人」
父さんは母さんの事が大好きで、母さんも父さんの事が大好きだとはっきりと分かる。父さん…母さんのことずっと支えていたんだな。あったかい家族だな。
「父さんすごいね。笑真も好きだよ」
「私も大好き」
母さんの今の笑顔は美しかった。今まで見てきた笑顔よりも美しく輝くが満ちていた。月のようだった。そしたら、父さんは太陽かな
「俺も三人のこと大好きだよ」
「ありがとう」
「好きー」
「冬真と笑真…あなた達の髪色、目の色は私と彰の特徴を分けてある」
「えへへ」
「私の一族は皆ご先祖様の影響で…髪が白いのよ。ノアも白いでしょ」
「確かに…お兄ちゃんは白だね。…笑真は茶色」
笑真は白じゃなくてしょんぼりしている。
「笑真の色は私が大好きな人の色よ」
「綺麗だよ」
「そお」
「ふふっ…ほんとに笑真も冬真も綺麗な白ね」
「笑真は白じゃないよ」
「さっきと矛盾してる」
「今はね。でも…月夜に光り輝き美しく白く輝き溢れ紅く変わる… 」
どういうことだ。月夜に色が変わる…
「でも…色が変わった際は気をつけなさい。それは…美しい輝きに溢れているけど飲み込まれやすくなるから」
「食べられるの?」
「力にね」
笑真が怖がるのも無理は ない。もし、そうなら注意しなければならない。
「だからこそ、二人がいるのよ…二人は一つ。…陰と陽」
「二人は…一つ」
「このことは異能に繋がるから…そろそろ貴方の事について話しましょうか」
「お願いします」
まだ、この一族には秘密が多くありそうだ。知りたい…その思いを繋ぎたいそう思った。それにもっと…両親のことを知りたい
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