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小さな小さな家柄の子が居りました。
彼女はとある人へ恋い慕う気持ちを寄せたのですが、
彼はとても情けなく、一から十まで大人しい正確なのです。
彼女はかなりの暴れん坊。よく言えば、かなりの努力家で、
何もしてない様に見える彼に、こんな例え話をしました。
何処かに誰かの袖下に咲く惑わす様な花が在る。
その花がある世界では、闇を作り出せば、悠に派手な夜になる。
一体どんな辛さがあったって、もうウンザリになったって、
その先を自分が選べば良いじゃない。
その言葉は、やや難しく、彼はよく意味が分かりません。
とある日。彼女は酷い熱で亡くなったそうです。
最後に会ったのは、その言葉を伝えてくれた当日。
つまり、満月から満月の日の間の出来事だった。
そこでまたいつもと同じ様に涙が溢れて止まない。
それなのに、どうしてか、彼女が生きていた世界をこの目に通したくて、
今日に限って、このよく映える明るい街は、遠くまで良く見えて。
同じ涙なのに、透き通り方が違って、心の重さも違って。
今までと違って。たった1人になって、とても寂しくて。
いつもの来ている服装も、こんなどうでもいい筈の帯も、
彼女の贈り物だったのを思い出して。
彼女は特別美しくも無かったが、
どうしてもあの尊い素振りに惹かれた。
そんな彼女は、自分から見ればどんなに派手派手しく咲く花よりも、
ずっと美しい色で、匂いが香る。
この先、何が辛くても、口先ばかりで小言を言わずに、
彼女を想って、胸を張れる様に、今までの思い出を全て巡って。
「彼女を愛したのは、逃げる為じゃあ無いだろう・・・!!」
選べなければ・・・ 選べば、良い。
彼女は、あの日も熱で喉の痛みを訴えていたらしい。
それなのに、枯れても咽かけても、呼び掛けてくれたその“花”の様に、
暗い思いも輝かせたなら、半端で困った正しさも、あくまでの教訓に。
その当日から、指を折るこの瞬間も、これから明るくなっても、
彼女の思いを誰かに詠える様、どんなに狂いそうな後悔にも、
どんなに異常な限界にも、全てに勝る、彼女の・・・
残響を。