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下北通りは、夜人通りの少ない場所だった。だから殺しにはちょうどいい。 現場はクラブ「スペードハート」と「ロイヤルハイツ」というマンションの間の狭い路地。街灯が一つ。
これらをすべて観察した後、遺体に目を向けた琉真。
五十代前半、スーツ姿。
「財布は残っている。」身分証明書を見ると、被害者は黒田喜崎だと判明した。
「会社員か?」ボソリと呟く。
「隣のクラブのオーナーらしいです。」
隣を見ると心涼が真剣に遺体を見ていた。
「……そうか。」独り言に入ってこないでほしいというのが本音だった。
「死因は頭部への打撲、ですかね?」
「喧嘩して、押し倒されたってところか?」
「その割にはスーツが整ってますね。」
「……」
琉真は心涼を睨む。
「じゃあお前はどう思う?」腕前を見せてもらおうじゃないか。
「被害者は昨晩、何者かによって頭を後ろから殴られた。あとこれは私の憶測なんですが、」
「なんだ?」琉真が興味深く聞く。
「被害者は座ったまま殺されたんじゃないでしょうか?」
琉真が顔にシワを寄せる。
「なぜそう思った?」
「頭の傷の角度からして、被害者よりも身長が高い、もしくは被害者の頭の位置が低かった、というのが考えられます。でも被害者の身長はおよそ190センチ、なので後者の方が可能性は高いかと…」淡々と述べる心涼を深く見つめる琉真。
「……お前、交番勤務の割にはいい腕だな。」怪しむように尋ねる。
「あっ、私、刑事ドラマ見るのが好きだから」えへへと笑う心涼。
「ふん、そうか。」
2人が立ち上がり、第一発見者に話を聞こうとすると
「おやおや、これは二流一課の人じゃないですか?」
狐のように目を引きつった男と、隣に若い偉そうな男が近づく。
「捜査一課の人たちだ。」
琉真から説明を受ける。
「彼女が噂の新人か?」キツネ男が尋ねる。
「噂の?」
「二流一課を希望してきた人がいるって噂だよ。お前、名前はなんだ?」
「月宮心涼です。あなたは?」
「北条拓、こっちは高村亮太、警視正の息子さんだ。」ドヤ顔で紹介するキツネに照れるお偉いさんの息子。心涼は彼をウサギと名付けた。
上司の性格が移りそうだ。
「補助班のことは先輩から聞きました。事件解決に向けて、一緒に頑張りましょう。」いかにも清々しい笑顔で挨拶する彼。
*さすがエリート*と思いながら軽く会釈する心涼。