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食べ終えてカフェを出ると、私が眠いと言ったからなのか、やっぱり今日は止めようかと心配してくれる夏輝。
心配してくれるのは嬉しいけど、今ここで別れたら次なんてある訳が無い。
だって私たちは連絡先を交換していないもの。
それに、
勿論眠気もあることはあるけど、私は夏輝と一緒に居たいと思っているから、帰りたくない。
でも、ここで「大丈夫だから部屋に行きたい」なんて言葉を口にしたらしたで、無理してでも家に来たいのかと思われても嫌だった。
何だかエッチがしたいだけだと思われるかもしれないから。
どうすることが正解なのか、なかなか決められずにいると、
「――まあ、俺としては、未來ちゃんと一緒に居たいよ? 本音は帰って欲しくないし、まだ、帰らせたくない」
私の心を見透かしているのか、それとも単に夏輝自身がそう思ってくれているのか、そんな台詞を言われたものだから、それを聞いた私が、
「……私も、まだ、帰りたくない……夏輝と、一緒に居たい……」
思っていることを素直に言葉にして伝えると、
「そっか、なら問題ないな。それじゃあ、行こうか」
私の指に自身の指を絡めて手を繋いできた夏輝。
流された訳でもない、
お酒に酔って正常な判断が出来ない訳でもない、
自分で考えて納得して、
彼に付いていく。
傍から見れば恋人同士に見えるかもしれない私たち。
手を繋いだまま繁華街を抜けて住宅街へ。
そこから少し歩いた先にマンションがあって、そこに夏輝は住んでいると言った。
彼氏でもない男の部屋に入るなんて初めてで、
マンションの敷地に入った瞬間から私の心臓はずっとバクバクと大きな音を立てていた。
着いた先は10階建てのマンション。
夏輝の部屋は8階の角部屋らしい。
エレベーターで8階まで上がっていく間、
「――っん、」
視線を感じて夏輝の方へ顔を向けると、顎をクイッと持ち上げられてキスをされた。
「……こ、こんなところで……」
「ダメ? 未來ちゃんが可愛過ぎて我慢出来なくてさ」
「……もう。そういう言い方、狡い……」
「本心だよ。ほら、行こう」
ちょうど8階に着いてドアが開くと、再び夏輝に手を引かれて彼の部屋の前まで歩いて行き、鍵を開けてドアが開かれ、中へ入ってドアがしまったタイミングで、
「――っんん!」
ドアに背を押し付けられ、夏輝が手をつくと、先程よりも強引に唇を塞がれた。
「……っん、……はぁ、……なつ、き……、まって……ッ」
「――無理。ホテル出てから今までずっと我慢してたんだよ? エレベーターの中ですらヤバかったのに」
「……っ、や、……ここじゃ……こえ、……きこえちゃぅ……」
「平気だよ、未來ちゃんが声上げなきゃいいだけでしょ?」
「……あっ、……そんなの、……むりッ」
キスが止むと今度は耳朶や首筋、鎖骨辺りに顔を埋めると、舌を這わせたり甘噛みしてくる。
こんな、玄関先で……。
いくら角部屋って言っても隣の人が居たら聞こえてしまうかもしれないし、セールスとか宅配とか来訪者が来るかもしれないのに。
だけど、こういうスリルがある方がより興奮するから気持ちも高まるのかもしれない。
駄目だと思いながらも私は夏輝の首に手を回して、自ら彼を求めていく。