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学パロ
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nk side
今日もまた夢を見た 。
“ にき 、 ! ”
“ はよこっちきてーや ! ”
“ いっしょにあそぼ ! ”
最近よく見る 、 小さい頃の夢 。
顔も名前も思い出せないけど 、 関西弁で話していて 、 うちの近くにある三角公園で良く遊んでいた 、
… 気がする 。
「 … ん 、 」
「 … やば 、 」
今日は早く学校に行かないといけない日だと言うのに 。
ばたばたと急いで準備をして慌てて家を出ていった 。
がたんごとん 、 と電車の揺れが体に響いてまたもや眠気を誘う 。
朝早くからの委員会の為にいつもより30分ほど早い電車に乗って学校へ向かう 。
朝の30分はとても大きいもので 、 電車の中にはいつもよりも人が大分少なかった 。
電車が一時停車し 、 ドアが開く 。
俺はその乗ってくる人達をぼーっと眺めていた 。
すると隣の男子校の制服を着た 、 黒縁メガネの真面目そうな男が乗り込んできて俺の目の前に座った 。
… 初めて見る顔だな 、
なんて思いながらいつの間にかじっと見つめていた相手の顔から視線を外す 。
最寄り駅に着くまではあと15分程 。
眠気には勝てず 、 目を瞑ると直ぐに眠りへと落ちていった 。
すると直ぐに最寄り駅の名前が聞こえた気がして目が覚める 。
重い瞼を必死に開き 、 ぼや 、 とする視界を目を擦ってはっきりさせる 。
慌ててカバンを持って電車から降りる 。
すると目の前にはさっきの隣の男子校の生徒 。
… まあ隣の学校だから最寄り駅なんか同じか 。
なんて思いながら後ろを歩く 。
すると 、その男子が定期券を取り出したのと同時に何かが落ちて 。
反射的に拾い上げてしまい 、 どうしようか 、 なんて思ったけれど 。
良く見ると学生証のようなものだった 。
拾ってしまったものは仕方が無いので声を掛けた 。
… 失くすと困るだろうしね 。
「 … あの 〜 、 」
『 … はい 、 』
そう言って彼は後ろを振り向く 。
「 … これ 、 落としましたよ 、 」
落としていた学生証を差し出しながら言う 。
『 … ああ 、 ありがとうこざいます 、 』
俺の手から学生証を受け取ると 、 彼は改札で反対の手で持っていた定期券を通して早々と歩いていってしまった 。
俺は彼を見送るかのように立ち止まってしまった 。
… 甘ったるい匂い 。
彼が振り向いた時にふわ 、 と香ったあの匂いは 。
なんだか嗅いだことのあるような 。
そんな気がしたけれど 、 もう気付けば委員会の時間には間に合わなさそうで 。
「 … やっば 、 ! 」
さっきの香りのことなんか直ぐに頭から抜け落ちて 、 学校へと走って向かっていった 。
「 おっつ 〜 ! 」
「 また明日 ! 」
クラスメイトに手を振りながらそう言って 、 いつもの電車へと乗り込む 。
いつもの時間 、 いつもの電車 、 いつもの席へと 。
そのいつもの席へと座って
“ あ〜、 疲れた 。 ”
なんて思いながらぼーっとしていると 、 また朝のあの匂いがして 。
前を見るとそこには朝の男子生徒が立っていた 。
俺が相手の顔を見たと同時に相手も俺の顔を見てきて 。
目が合ってしまった 。
「 … あ 、 うす 、 」
つい会釈してしまった 。
『 … え 、 あ 、 ども 。 』
相手も困惑してしまっていた 。
「 … ここ 、 座ります ? 」
なんて言いながら隣の空いている席をぽんぽんと軽く叩く 。
『 … あ 、 良いすか 、 』
「 ああ 、 どうぞどうぞ 。 」
俺がそう言うと少し遠慮がちに座る 。
… 会話が無い 、 気まずい 。
いつもならスマホをいじって時間を潰すのだが 、 こんな日に限ってスマホの充電は切れてしまっていた 。
沈黙に耐えれなくなり 、 思わず声を掛ける 。
「 … その制服 、 そこの男子校すか 、 」
急に話しかけられた彼は驚きながらも返事を返してくれた 。
『 … え ? 』
『 あ 、 はい 、 』
『 そちらは 、 ? 』
社交辞令かのように聞き返してくる 。
「 あ 、 隣の学校すよ 、 笑 」
『 … あ 、 そうなんすね 。 』
会話 、 終わった 。
いやまあそうだよな 、 こっからあんまり話広がらんよなあ 。
失敗した 。
『 … 部活とか 、 入ってるんですか ? 』
受け身っぽいのに 。
気使ってくれたのかな 、 悪いことしたなあ 、 なんて思いながら質問してきてくれたことに嬉しくて 。
「 入ってるけど 、 今日早く帰んないといけなくて 、 笑 」
『 … なんの部活なんですか ? 』
「 あ 、 バスケっす 。 」
「 … なんか入ってるんすか ? 」
『 あ 〜 、 普通に帰宅部すね 、 』
「 へぇ 、 そうなんすね 、 笑 」
「 … てか何年すか ? 」
『 ああ 、 2年っす 。 』
「 え 、 同い年 ! 」
同じ歳なことが嬉しくて 。
ついテンションが上がってしまった 。
『 … え 、 そうなん ? 』
『 ふは 、 良かった 、 笑 』
そう言ってふっ 、 と笑った 。
その笑顔を見て 、 小さい頃の記憶がぶわ 、 と蘇ってきた 。
話してみるとイントネーションが関西弁で 、 夢に出てくるあの子と共通点があった 。
それに今の笑顔 。
なんだかそんな気がして聞いてみる 。
「 … ねえ 、 小さい頃さ 。 」
『 … ん ? 』
「 あっちの方にある三角公園でよく遊んでたりした 、 ? 」
『 … え 、 うん 、 なんで ? 』
やっぱりだ 。
小さい頃一緒に良く遊んでいた 、 夢に出てくるあの子 。
「 … ねえ 、 俺ニキ 、 ! 」
「 … 覚えて 、 ない 、 ? 」
『 … に 、 き … ? 』
彼はそう言って暫く眉間に皺を寄せて考え込んでいた 。
『 … あ 、 』
「 … 思い 、 出した 、 ? 」
『 … うん 、 思い出したわ 。 笑 』
「 … 、 !! 」
嬉しかった 。
ずっと探していたような気がしてたから 。
『 … なんで泣いてんの 、 ニキ 笑 』
気が付けば目からは涙が溢れていて 。
裕太はそう言って頬に伝う涙を優しく手で取ってくれる 。
「 … だって 、 ずっと会いたかったからあ 、 」
『 なんかしたっけ ? 笑 』
「 いゃ 、 わかんない 、 わかんないけど 、 ! 」
「 ずっと 、 会いたくて … 」
『 … はいはい 、 もう分かったから 笑 』
そう言って優しくぽんぽんと頭を撫でてくれた 。
「 … 裕太 、 」
久しぶりに彼の名前を口に出す 。
『 … なに 、 笑 』
涙に濡れた顔で今の俺なりの一生懸命の笑顔を作って 、
「 … 久しぶり 。 笑 」
そう言って誰も居ない車両の中で 、
今度は俺から裕太の事を強く抱き締めた 。
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