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30 - 第30話 薬物中毒

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2025年03月20日

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船の甲板。


荒れ狂う波の音が響き渡る。


主は巨大な絵筆を構え、詩音は手にしたナイフを軽く回しながら笑っていた。


「へえ、お前が相手してくれるの?」


「……あんたを止める。」


詩音は肩をすくめた。


薬が切れかけているのか、わずかに震える指を見せながらも、不敵な笑みは崩さない。


「止める? 私を? バカじゃない?」


「……バカでもいい。」


主は一歩踏み出し、絵筆を振るう。


「信仰。」


「憲章。」


「慟哭。」


筆先が宙を滑り、文字ではない、何か原始的な”力”が渦巻く。


水が形を成し、巨大な波が詩音へと迫る。


しかし――


「甘いねぇ。」


詩音は懐から小瓶を取り出し、一気に煽った。


目の焦点が一瞬揺らぎ、そして――彼女は笑った。


「ほら、私の世界にようこそ。」


彼女の体がぶれた。


次の瞬間、詩音は主のすぐ背後にいた。


ナイフが閃く。


主は咄嗟に筆を盾にするが、詩音の動きが速すぎる。


「悪いなぁ、私は普段から幻が住処なんだよ!」


詩音のナイフが主の肩をかすめる。


痛みが走るが、主は必死に筆を振るった。


「盟約。」


「制裁。」


「終焉。」


主が描いたのは、巨大な鎖。


それが詩音の足元から伸び、一瞬の隙をついて絡みついた。


「っ……!?」


詩音の動きが止まる。


「今だ!」


主は全力で筆を振り下ろし、海そのものを操るように波を作り出した。


水の壁が詩音を包み込み、一瞬で飲み込んでいく。


甲板が静まり返る。


……しかし、次の瞬間。


水の中から、不敵な笑い声が響いた。


「ははっ……いいねぇ……!やっぱり、こうじゃなくちゃ!」


詩音が再び立ち上がる。


血を流しながらも、狂ったように笑っていた。


「もう一回やろうぜ、主!」


戦いは、まだ終わらない。

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