コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
鏡にうつる自分の姿にふっとため息を吐き出してTシャツを頭から被る。
「ずっとさ、ずるいと思ってんのよ」
「何が?」
「っ…耳もとで喋んないで」
勇斗の足の間に座らされ後ろから包み込み肩に顔を乗せられている状態で話すのは耳にも心臓にも悪くて立ち上がって勇斗と向き合う。
「なにが、ずりぃって?」
ベッドに座ったまま上目遣いで問われる。
「これも、これもこれもさ、やりすぎだと思うの」
肩、脇腹、二の腕、自分の身体についた傷跡をなぞっていく。
「見えるとこじゃねぇし、ほんとはもっと…」
「見えなけばいいって問題じゃないないでしょ?」
「じゃ、仁人が他の奴に触らせなければいいじゃん」
横柄な態度にため息がこぼれる。
「はぁ…てか、別にもういいのよ。隠すのにも慣れたし、ただね」
そう。あなたのこの行動にはもう慣れましたよ。
「勇斗ばっかりでずるくない?って話で」
「…なに?ずりぃって……ぇっ!」
やばい…恥ずかしくなってきた…
「いいよ。俺も仁人にしてつけて欲しい」
「でもあなたすぐ脱ぐしそういうシーンがあるかもで…衣装だってっ!」
恥ずかしくて捲し立てるように早口喋る。
「そういうシーンはなかったはずだし、俺は仁人に脱いで欲しくねぇからつけてるし、衣装はインナー着ればいいだけだし…な、仁人つけてよ」
「っ!」
俺の傷跡を愛おしそうに撫で俺に目線を持ってくる勇斗に跪く。
「仁人の好きなところに好きなだけ」
自分の目の前にある勇斗の胸板に そっと手を伸ばせば 伝わってくる心音。
そっと口付けを落とし歯をたてる。
「ぃっ…」
思ったよりも小さな傷跡をなぞれば、勇斗に手を取られる。
「この跡が消えるまででいいから。脱がないで」
俺たちの関係は曖昧で、だから、少しの間だけでも自分だけと特別が欲しい。
END
『吉田コード無くなる日は俺の身体から傷跡が消えた時』
『お前の身体に直接触れれるのは俺だけだと今日も刻む傷跡』