「マリトーナちゃん、仕事ある?出来れば戦闘系」
「リトナさん、今回はそんな戦闘だーい好きな貴方にしか頼めない依頼が届いています」
「依頼?」
私は驚いた
こんな私に依頼する人が居るのかと
戦闘狂のこんな少女に
「詳細を説明致しますね、依頼の内容は王都にある魔法高等学校に潜入し、とある先生を殺す事、どうやらその先生は体罰や暴言が酷いそうで、でも貴族であり、更に強いので辞めさせる事も出来ないそうです…」
話が右から左に流れていく
長い話を聞くのは苦手だ
それに遠出をしたく無いしめんどくさい
「その学校、強さが1番で他は二の次なんです、つまり…」
「戦えるの!?」
「は、はい…」
私は喜びを隠せなかった
戦えるならば話は別だ
今すぐにでも向かいたい
「ならばこちらの任務も…!」
マリトーナは奥から大量の書類を持って来た
「あ、あの…マリトーナさん?」
「その学校、治安がとても悪いんです!だからリトナさんはその学校のトップになり、平穏な学校にして欲しいのと、また生徒にも犯罪者が何名か居まして、周りの生徒に無理強要を押し付けたりしていると言う事もあるそうなのでその生徒達を粛清して欲しいのです!出来ますよね?」
話が長い
なんも頭に入ってこないのがわかる
「怖いですマリトーナ様」
「リトナさんがいつも戦ってる魔物よりかは怖くありません!」
納得出来るわけが無い
こうゆう状態のマリトーナが何よりも怖い
「とりあえず粛清対象の生徒と暗殺対象の先生の情報と何をしたかが書いてある物を渡します、何かあれば手紙を出してくださいね」
そう言われて王都に半ば強引に行かされた
魔法高等学校 ーウェーカルト学園ー
「まず入学試験か…これ落ちたら元も子もないから合格しないと、 マリトーナちゃんに怒られたくないし」
「こんにちは、私は本日の試験官のファイトナール・ルーフェルトです。試験内容はこの学校で1番大切な戦闘、森の中に私の魔法で魔物を放ちます。その魔物の討伐に掛かった時間で合否を決めます。何か質問はありますか?」
そう言う試験管の若い男の瞳は緑色で美しい目をしている、少しクルッとしてる黄緑の髪は太陽に照らされる
「はい」
1人の真面目そうな長くて青い髪を後ろで結んでいる男の子が手を上げた
黄色い瞳と四角のメガネを掛けていて制服の着方も美しく、手には大きな杖を持っている
どうやら魔法使いのようだ
「最低限のルールなどはございますか?」
「無いよ、待機中の人達に危害を加えなければオールオッケー、でも多少の手加減はしてねー」
ファイトナール先生はそう言って緑の瞳を私の隣の人に向けた
チッと舌打ちが聞こえ隣を見るといかにもやんちゃそうな癖っ毛で短髪の赤髪の少年がいる、失明している右目は白くボヤッとしている、見えているであろう左目は水色に輝いている、半袖から見える所には火傷跡は腕に所々ある、手には大剣を持っている
見た感じ剣士だろう
「今回の試験人数は500人だから…合格は100人だよ、頑張ってね」
ファトナール先生はそう言うと微笑んだ
「始めるよ、まずは…」
ー1時間後ー
流石名門校、相当な実力者が勢揃いだ
最小記録は1分32秒58
「次、リュートル・フェイスナル」
前に出たのは先程の真面目そうな男の子だ
「先生、後ろの人達に危害を加えなければ何をしてもよろしいのですよね?」
「ん?いいよー」
「…その言葉、撤回しないでくださいね?」
彼は始まりの合図が始まると同時に大きな杖を振るう、すると森の中が水に覆われた
その中にサメのような魔物を放ち、先生が放った魔物を捕まえさせた
タイムは驚きの38秒12
彼の顔は笑っているように見えた
「次、ファイアール・ヌーヴェルト」
先生がそう言うと隣のやんちゃそうな男の子が森へと足を運ぶ
「先生、火傷したらすんません」
彼は笑いながら重たそうな剣を森に向けると剣の先に炎の柱を発生させ、森に放った
するとすぐに先生が放った魔物が出て来て彼はすぐにその魔物に剣を刺した
記録はまた前後して23秒84
「次、リトナ・クルイバナ」
皆の視線が刺さる
まぁこっちの世界からしたら珍しい名前だろうし仕方ないかと思いながら歩き、双剣を腰の鞘から抜く
「あんなボロっちぃ刀で戦うのかよ、危ねぇんじゃねぇの?」
そんな剣士の声を無視して森へと進む
森からモヤっと熱い風が吹いてくる
始まりの合図が鳴ると同時に謎の音が遠くから聞こえてくる
私にしか聞こえないぐらいの小さい音がすると思ったらそれが近づいてくる
出て来たのは大きなサメ型の魔物だ、一部火傷をしている
「下がりなさい!こいつは先生がやるからすぐに別の先生を呼んで…!」
「先生、質問です」
私は先生の声を遮った
「こいつを倒せば合格にしてくれますか?」
私の口角は少し上がってる
「そりゃ倒せたら合格級ですけど…A級の魔物ですよ!倒せるわけが無い!」
「力の差わかんねぇのか!このたわけが!大人しく下がって来いよ!そんなん俺じゃなきゃ倒せねぇわ!」
「それは僕が召喚した魔物です!責任とって僕が倒します!だから貴方は離れて下さい!一緒に殺してしまいます!」
そんな声を無視して私はサメ型の魔物の元へ歩いてゆく
「身体能力上昇、五感能力上昇…」
「攻撃力低下!」
私はそう叫びながら魔物の元へ走る
私の目は真っ赤に染まる
「は!?あいつ馬鹿じゃねぇの!?」
「自分で自分に攻撃力低下を掛けるなんて…相当なクレイジーですよ…?」
魔物の目の前まで来たらジャンプで頭に刀を思いっきりぶっ刺す、暴れ狂う魔物から刀が抜けないよう私は掴み続けた、私の顔には魔物の血がかかる
刀の向きを変えて頭から尾まで滑り、切り裂く、暴れはするけど死なない
「いいねいいね!それぐらい図太く無いつまらない!もっともっと遊びましょ!」
私の頬は返り血と嬉しさで頬を紅色に染める
その返り血をペロッと舐めて私は笑う
私は魔物の腹の元に回って思いっきり蹴る、魔物は森の方向へと吹っ飛ばされていった
すぐにそこに向かい、目の前まで走ると魔物は私に噛み付こうと牙を向ける
私は飛び上がって刀で頭と胴体を真っ二つに切り裂く
その場に居た全員が目を丸くしている
「合格でいいですか?」
私の目は緑色に戻っていく
『合格でいいの?』『あんな化け物学校に入れていいのかよ…?』
背中の方向からヒソヒソと声が聞こえる
だから人は嫌いだ
「リトナ・クルイバナ…入学試験一位にしたいのですが…」
「いいぜ、別に」
ファイアールがそう言って先生の言葉を遮る
「僕も賛成です、この学校は戦闘力が1番なのですよね?反対する方はあの魔物に勝てたのですか?」
リュートルが後ろの受験者に言うとザワザワしてした声が止んだ
「参りました、今回は貴方に一位を譲ります、ですが次は貴方を越してみせましょう」
「はっ!なら俺はそのお前の上に行ってやるよ!」
「…誰ですか貴方」
「はぁ?タイム23秒の炎使いじゃボケ!」
そう言い合う2人に歩み寄る
「ありがとう」
「…頭に来ただけですよ、お気になさらず」
「守ったわけじゃねぇよ、勘違いすんな」
「…そっか!」
そう返事する私の心は晴れていた