『 雨音と共に 』
オリジナル作品
アニメキャラ、漫画キャラ不在。
蝉の声が鳴り響き渡る頭の中。暑さに負け汗が止まらなかった。気温は31度を指していた。
早く帰りてぇと思いながらも足を止めず歩く。
着いたところは古い小さなカフェ。微妙に本屋という形もあるが、カフェらしい。照明は一つ小さな電球。俺はここでバイトをしている。
ドアを開けると涼しい風が体を包み込んだ。
クーラーがついているため、店内は涼しい。
暑いためか客もいつもよりはいる。こりゃぁ今日のバイトは忙しいな、と内心思いつつも従業員室に入る。
「 あぁ、隼人くんきたか 」
「 お疲れ様っす。 」
「 お疲れ様。隼人くん、お願いしたいことがあるのだが… 」
「 なんすか? 」
「 実は今から出なくてはいけなくてな、店番頼んでいいか? 」
「 はい、いいっすよ 」
「 この調子じゃ今日はお客様も多いみたいだが… 」
「 大丈夫っすよ 」
「 そうか、なら頼むぞ 」
「 はい 」
店長は支度をしながら店を出て行った。何か急ぎの用事と思いながらも今の仕事に没頭した。
「 今夜中に東京には台風が西を通りー… 」
「 まじかよ… 」
台風が来ると言っているテレビキャスター。
梅雨の時期だし仕方ねぇか…にしても宮崎にいるばあちゃん大丈夫かな。今はもう台風きてるようだしな。俺も家の外にあるもん全部しまうか。
「 すいませーん 」
「 今行きまーす。 」
仕事して3時間は経った頃、客は1人残らず帰った。休憩を取れると思いレジの前にある椅子に腰を掛ける。一つため息をつきながらスマホをチェックする。台風のニュースの通知が来ていたことに気づきその通知を消す。三男テレビで見れればいいと思い消した。その時、ドアが開く時に鳴る鈴の音がし、それに目を向けると綺麗な女の人が1人。
「 いらっしゃいませー. 」
「 … 」
何も言わずカウンター席に座る。それも俺の目の前。なんでこんなタイミングに…、そう思うも、水を注ぎカウンター席に置いた。
「 ねぇ、雨音って綺麗よね。 」
いきなりのことに驚くも返事をした。
「 まぁ、綺麗なんじゃないすか? 」
「 … 」
何か辛そうに俯き顎に手の甲を置き肘を立てた。
「 私、雨音がすきなの。後、雨も 」
「 そうなんすね。 」
俺は雨なんて嫌い。ジメジメする空気と濡れるとこも含め全部。雨のどこがいいのだろう。
「 だからここの本屋に来てる。窓が大きくて…、まどのそとには紫陽花が咲いてるから。」
「 まぁ他のとこはあんま花が窓の外に咲いてるとこなんてほぼないっすもんね.」
「 うん。」
2話へ続く
打ち切り悪くてすいません