「ねーみちるー」
「……何?」
「あとどのくらいで終わる?」
「……しばらく終わんないからひかりはもう帰れ」
「えーじゃあずっと待ってる」
「……」
木ノ崎ひかり。俺、深谷みちるの同級生で幼なじみ。明るくて、笑顔が眩しい。授業の時はあまり関わりがないけど、放課後、美術部の時だけは毎日一緒。そうは言っても、ひかりは部員でもなんでもないんだけど、俺が美術部に入ったらいつの間にか遊びに来るようになっていた。
俺は、ずっとひかりと一緒にいた。小学校、中学校、高校ときて、やっとわかった事がある。俺はひかりの事を描きたいと思っている。絵に描きたい。ひかりの全てをキャンバスに収めたい。俺が今までずっと絵を続けてきたのはそれが理由だ。と言っても、絵に描きたいと言ってもキモがられるかもしれない。ずっと一緒にいたのに、俺はひかりのことを全然理解できていない。それを自覚するのが嫌だから、まだ言えずにいる…。
「もう結構一区切りついたぞ」
「やったー!早く帰ろー」
「おれ道こっちだからまたなー!」
「おー、また明日。」
………無理だ。何の発想も思い浮かばない。この絵、提出日再来週なのに、よりにもよって苦手な部類の水彩画の課題だし………散歩でも行くか。もう10時だけど、何かいい発想が思い浮かぶかもだしな。
ふぅ…なんとかいいものが見つかってよかった…あれを描くか。…にしても寒いな。まあ雪降ったしな。サンダルで来るんじゃなかった……ん?公園に誰かいる?暗くてよくわかんないけど…
「すみません、風邪引きますよ?」
うわ、この人メイド服…?マジで風邪ひくぞ…?
「あのー、どうしたんですか?こんなところで…」
「え…?あっ…」
え、なんか聞き覚えがある声…
「…みちる?」
「え」
あー、ひかりだ…ど、どうしたらいいんだこれは…本当に…
「……」
「……」
「あのさ、みちr」
「ご、ごめんちょっと」
「え!?まって!」
とりあえず逃げた後考えよう…
「ま、まってってば!」
「うわ! 」
「な、何…?」
「あのさ、みちる…」
「うん…」
「誰にも言うなよ!?」
「え?えっと…」
どうしよう…言うつもりもないけど…でも、今こそ描かせてもらう時では…?今なら言える気がする…!
「なら、絵のモデルになって」
「え?」
どうしよう本当に言ってしまった…なんでこんなに緊張しなくちゃいけないんだ俺は!
「い…いいけど…それでいいの…?」
「別に俺はいいけど。」
「そっか…じゃあ、これからも仲良くしてくれる?」
「当たり前だろ 」
「はぁ…良かった…」
「じゃあ、これからもよろしくね?」
「おー、よろしく」
第1話 おわり
コメント
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やりますね、私好みの最高な設定だ…。 続き楽しみにしてます。