ミルゼが魔物ガラを追い、廃区画へ踏み込んだそのとき。
瓦礫の向こうから飛来した鋼の槍が、彼の行く手を遮った。
――シュン。
着地した影は、ウィスだった。
手には斬痕の残るボーラ、背には護井会特製の短剣。息は乱れておらず、表情も無機質。
「……通すわけには、いかないんで」
ミルゼは一瞬、理解が追いつかなかった。
目の前の少年は、自分の援軍として送られたはずだった。
「ウィス、お前、命令を……」
「受けました。魔物の発生源を“消せ”って」
ウィスの目が一瞬だけ鋭く光る。
その視線はミルゼの背後を捉えていた。
つまり――
「俺が、発生源だと?」
「少なくとも、可能性があるって。白階の判断ですよ」
「ふざけるな」
ミルゼが歯を食いしばる。
「ガラを討つ、それが俺の責任だ。貴様のようなガキに――!」
「だったら……試してみてください。責任の重さってやつ」
ズン、と空気が揺れた。
魔物ガラが遠吠えを上げ、天井の鉄管をなぎ払う。だが二人は、それを背景に、まるで時間が止まったかのように対峙していた。
冷たい視線と、理知的な怒り。
ミルゼの手に魔導銃が宿る。ウィスの足元には既に展開された補助陣形。
二人は互いに「正しさ」を抱えながら、相容れぬ剣を交える。
──これは、正義と命令の衝突。
──これは、友情と疑念の試練。
ウィスは低く、冷たく言った。
「……どいてください。じゃなきゃ、あんたも“処理対象”です」
そして、火花が散る。
コメント
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今回も神ってましたぁぁぁぁぁぁあ!!!!! とうとうこの2人の戦いも始まるのか...? ってかウィスたん、ミルゼサァンまで対象にしてしまうなんて...ウハァ...(?) 今回ちょっと短くてスマソ...(( 次回もめっっっっさ楽しみいいいいいいいいぃ!!!!!!