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こでまり保育園から徒歩十分。
WKスケートパーク。通称WKパークが見えてきた。
高架下の一角に作られた、広いとは言えないがいつもスケーターで活気付いている場所だ。
WKパークを囲む金網の外にいると、シャーっとウィール(スケボーのタイヤ)が転がる疾走感のある音が聞こえてきて、カンカンとスケボーが地面やセクションに当たる軽快な音が聞こえてくる。
WKパークの中に入ると、何人かのスケーターが会釈をしたので、私も会釈をして返す。
たまに悠のスケボーについて来るので、みんな私の顔を知っているのだ。
もちろん、運動が苦手な私はスケボーに乗ったことなどない。
スケボーというと、世間ではガラの悪いイメージがあるが、このパークにいる人たちは話してみると礼儀正しいスポーツマンような人が多い。
以前、ここのスケーターの人たちが、パーク周辺のゴミ拾い清掃をしていたのも見たことがある。
私は、ベンチに腰を下ろす。
悠を探すと、セクションから飛び出した空中でデッキ(スケボーの板)を蹴って回転させようと、何度も挑戦していた。
転んでもすぐ立ち上がり、何事もなかったかのようにまた挑んでいく。
スケボーで空中に飛ぶ姿は、そこだけ重力がないのかと思うほど軽く、まるで自由に飛んでいるかのように見えた。
夢中になっている悠に声をかけるのも悪いと思って、座って見ていることにした。
すると、悠がセクションから空中に高く飛び、見事にスケボーを空中で回転させ技を決めて着地する。
「おぉっ!」と歓声が上がる。
周りのスケーターが、持っているスケボーを縦にコンコンと地面に当てて音を出した。
これが技を決めた人に対する「ナイス」など、称賛の意味らしい。
私は、スケボーを持っていないので拍手した。
すると、悠と目が合い、あっ、と気づいた悠がスケボーに乗ってこっちにきた。
「晴、来てたんだ!声かけてくれれば良かったのにー」
私の横に座って、持っていたペットボトルの水を飲みながら悠が言った。
「集中していたし、声かけるのも悪いと思ってね」
「もう終わろうと思ってたとこ。一緒に帰ろう」と、悠が帰り支度を始める。
WKパークを出る時に、私たちが会釈をすると、気づいた数人のスケーターが会釈をして返した。
私たちは、WKパークを後にした。