コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
王国の廃墟と化した王城、その玉座の間。
崩れかけた柱の影から、異魚天は静かに姿を現した。
対峙するのは、野望を抱く男──アレクシス・ヴァンガード。
彼は微笑みながら、静かにグラスの酒を傾けていた。
「……笑ってる場合か?」異魚天は刀に手を添えながら睨みつける。「お前の企みも、そろそろ終わりだ。」
アレクシスは肩をすくめ、興味深そうに異魚天を眺めた。
「終わり? いや、始まるのさ。」
彼はゆっくりと立ち上がると、王座の横に掲げられた龍神陛下の肖像画を見上げた。
「これはな、異魚天……ただの復讐ではない。俺の計画は、王国の再生だ。」
異魚天の眉がわずかに動いた。
「再生? 王国を崩壊させた張本人が、今さら何を言ってやがる。」
アレクシスは口元に笑みを浮かべたまま、淡々と語る。
「王国は腐りきっていた。貴族は無能で、民は奴隷、龍神陛下でさえ、それを変えられなかった。」
「だからって、こんなやり方でいいのか?」
「いいも悪いもない。」アレクシスは冷たく言い放つ。「必要な犠牲 だ。王国は滅びるべきだった。そして新しい秩序を築く。それが、俺の計画だ。」
異魚天は鼻で笑った。
「笑わせるな。じゃあ、“救世主”にでもなるつもりか?」
「いいや。」アレクシスは微笑を深める。「俺はただの “影” さ。だが、影が動かねば、光も生まれない。」
異魚天は舌打ちし、ゆっくりと刀を抜いた。
「くだらねぇ。」
アレクシスはその様子を見て、満足げに笑った。
「お前らなら、わかると思っていたがな。まあ、いい。」
彼は腕を広げ、異魚天に向き合う。
「なら、力で証明しろ。計画が間違っていると、お前の刃でな。」
──王国の運命を賭けた戦いが、いま始まる。