この作品はいかがでしたか?
52
この作品はいかがでしたか?
52
1日目。
〜翌日の放課後〜
♪キーンコーンカーンコーン
空がオレンジ色に染まったなか、
おのおの部活動に向かう者もいれば、
すぐ下校する者もいれば、
過ごし方は様々だ。
僕と山口とちょうど帰ろうと
準備をしていると僕の
背後から声の高い女子の声がした。
「月島くんっ」
「…どうしたの?」
「これ受け取ってくださいっ!」
…知らないな。
他クラスだろうか、直接手渡されたのは
包紙に包まれた箱状のなにか、だった。
「これ月島くんの為にがんばって作ったの。良かったら受け取ってください!」
まただ、デジャブだ、と
思いながも丁寧に受け答えをする。
「ツッキー!かえろー…あ」
一瞬、山口が僕に向けて声をかけたのが
なんとなく聞こえたが
会話を見て察したのか
自席に戻り、終わるのを静かに待っていた。
彼が何を話したいかは分からなかったけど
なにかを伝えようとしたのには気がついた。
〜☆
「(ツッキーモテモテだな~♪)」
身支度も終わってようやく帰ろうとした時、
俺は、教室のドア付近で 女子数人に
囲まれているツッキーを見つけた。
囲まれる彼を見て俺は今日も確信する。
ツッキーは物知りだし、勉強も、バレーも、できるし、身長高いし、カッコいいから、
みんなにモテるんだろうな~!
すごいなぁ、ツッキーは、…。
羨ましく思う日もある。
けど…俺とツッキーは根本的に違うから…
…
「山口」
「わあっ!?」
「なにしてんの、帰るよ」
今聞こえた声は紛れもなく、
ツッキー…月島蛍本人で、
頭一つ分ぐらい背の高い彼が
急に自分の前方に現れたので、
吃驚して俺は声を少しあらげてしまった。
「山口、僕に何か隠してる?」
「えっ?なにも隠してないよ…?」
「ふーん」
…
「さっきのは終わったの…?」
「さっきの?、あー…うん」
「そっか!女子から貰うって流石ツッキーだね!ツッキーはかっこいいもんね!」
「…本当にはっきりそう思ってる?」
「ごめんツ…えっ?」
うるさい、山口。
そう言われると思ってた、
いつもだったら確実に言われてる。
なのに、なのに今だけは違った。
明らかな真剣な眼差しを向けられ
俺は一瞬考えを巡らせた。
怒らせた?それか何かに勘づかれた…?何だろう…なんかいつもとは違う…
「ツッキー…?あのさ、さっきは…」
「山口さ、
僕に嫉妬とか、しないの?」
「…!!」
〜♪
僕に嫉妬とかしないの?
何を言ってるんだ僕は。
山口は何も悪くない、なのに
なんて人聞きの悪いことを
訊いてしまったんだろう。
すぐ我に帰り、謝ろうとした。
「ごめんっ山口、そんなつもりは…」
「思うよ」
「えっ」
その一言に
僕は一瞬血の気が引いたような気がした。
「ツッキーはいつもすごくて、
みんなから頼りにされるし
頭も良いし、かっこいいよ!」
〜☆
ツッキーは全部かっこいい。
本当にそう思う。でも…。
いつも心配になるんだ。
俺がツッキーの隣にいていいのか、
ツッキーの隣が相応しいのか、
本当の幼馴染みでいてあげれてるのか、
いつも不安なんだ。
「俺っ、ツッキーの隣にいて良いのかな…」
「なに言ってんの?いていいんだよ。
僕が、昨日の告白にどれだけ気持ち
込めたか分かって言ってるの?」
「え……」
「僕がわざと仮病使ってまで、告白したのは、山口ともっと一緒にいたかったからなんだよっ?」
「仮病を、使った…?あのツッキーが…?」
「そうだよ、具合悪いなんて嘘。本当は普通に元気だったよ」
ツッキーが仮病を使うなんて
むかしから一度も…なかった…。
ツッキーが俺と一緒にいたいから、
あの時初めて仮病を使ったの…?
「僕の隣にいていいか心配?いてよっ!ずっと!」
「っ!」
「まさか僕のこと、信用してないの…?」
「なわけないよっっ…!!」
「昨日の言葉も、全部嘘だった…?」
「っ!?嘘じゃない!俺はツッキーとなら何でも乗り越えていきたいって思ってるよっ!」
「良かった」
そう言うと俺に近付いて、
深呼吸し、耳元に囁いた。
「僕もだよ、忠」
「っ!?ツッキー、今、名前で…」
「そう。だから僕の事も呼んでよ」
名前…今までになかった。
本当に隣にいていいんだ、
これが自信を持てた瞬間だった。
「けい…蛍!大好きっ!」
「お互い様。愛してるよ、忠」
〜♪
幼馴染みに境界線なんて必要ない。
僕らがそう思えば、
新しい明日が待っているんだと、
楽しいと思える日があるんだと教えてくれた。
「付き合って1日で、別れ話にならなくて良かった」
「だよねっ」
「忠、もっと自信持って良いんだよ?充分僕より…かっこいいから」
「…////!」
「ツッk…ううん、分かったよ蛍!」
お互い微笑みながら
手を繋いでゆっくり、ゆっくり、
僕たちは帰路についた。
1日目終了。続く…?
コメント
3件
うわああああああ月山だああああ😭😭😭😭😭主さん天才です、、、