死表現あり/snowman/BL要素あり/何でも許せる人向け
佐久間「はぁ…」
楽屋の隅で大きなため息を吐く。
向井「どしたん。なんかあった?」
いつもは助けられてる康二の気遣いも今となっては邪魔でしかない。
佐久間「ん〜、別にー笑それより康二は次の収録に行ったら?スタッフさん待ってるよ」
そんな事言っても康二は俺の隣に座ったままで動こうとしない。
向井「生きるの…疲れたんやろ?」
佐久間「…!」
驚いて康二の方を見ると爪をいじりながら呟いていた。
向井「最近さっくん多いねん。ため息だったり独り言が。」
佐久間「っ別にそんなこと無いから…」
向井「分かんねん。俺も同じや」
俺と目を合わせ真剣な顔で言う
佐久間「…なんで」
康二は昔から気遣いが上手い人だった。優しくて皆を笑わせてくれて気分が落ちやすい俺の傍を絶対に離れなかった。同じグループ、snowmanとしてデビュー出来てやっと康二の笑顔も増えたというのに何故そんな事を言うのか。
向井「俺な〜、ずっと考えてん。俺の生きる意味。皆に言わなかっただけで俺やって人間や。落ち込む事もあるしなんなら他の人より多い方。でもキャラが出来上がってしまった以上、誰かに弱音を出すことが出来なくなってしまったのよ笑」
そう俯きながら話す康二はまるで昔の俺だった。オタクを馬鹿にされた時、1番初めに話を聞いてくれたのは康二だったなぁ。こんなに沢山助けられてるのに確かに康二からの相談はされた事なかった気がする。
佐久間「俺たち、仲間?」
向井「まぁ、さっくんにも消えたいって気持ちがあったらな。」
余裕を感じさせる康二の話し方は前と変わらないのに目元にはジュニアの頃には無かった大きなクマ。
佐久間「いいよ、一緒にいこう。」
そう言った瞬間、康二の前髪の隙間から少しだけ笑顔が見えた。
ー数日後ー
あれから俺たちは色々準備した。お互い目黒・阿部というメンバー兼恋人が居たが、心配かけたくなくてあえて手紙は書かなかった。2人は気付いていなかったからこのままスっと居なくなろう。そう康二と話し合った。
阿部「大介〜、そろそろ行ってくるね!」
佐久間「はーい、行ってらっしゃい!」
いよいよ今日が予定日。阿部ちゃんもめめも飲み会があるらしくて都合良くこの日になった。夜中じゃないと面倒くさそうだったから阿部ちゃんが出ていった1時間後に家を出た。
佐久間「今家出た。向かうね。」
向井「おけ。待ってるわ」
メールでやり取りしながら集合場所へ向かう。人通りのほとんどない橋。下には汚れて濁った川が流れている。
佐久間「お待たせ。」
向井「…ん。」
改めてその川を見るとなんだか心が締め付けられるように痛んだ。
向井「…この川に飛び込んだら死ぬんかなぁ」
佐久間「…まぁ流れも早いし濁ってるから間違いなく。」
向井「この濁り様、俺の心みたいや笑」
佐久間「そんな事ない。康二は俺の事ずっと支えてくれたんだよ。胸張ってよ」
向井「その割には誘った時止めなかったやん笑」
佐久間「仲間がいて嬉しかった。俺1人だけだと、思ってたから…」
向井「…」
しばらく沈黙が続く。誰にも声をかけられない、邪魔されずボーッと出来るこの時間がとても居心地いい。
向井「…あかん。そろそろいかんとめめ達帰ってきてまうで。」
佐久間「…そうだね。手、繋ぐ?」
向井「…いいや?このままで。怖くなったら飛ばなくて良いから。死なないんが1番やし。」
佐久間「そんなつもりないよ笑。」
佐久間「…康二、今までありがと。」
向井「こちらこそ」
これだけ。最期にこれだけ伝えたかったんだ。こんな会話が出来たのなら俺は幸せだ。
向井「…よし、せーのでいくで。」
佐久間「…うん」
目をギュッと瞑り、膝に力を入れた瞬間、
誰かに腕を引っ張られ後ろに座り込んだ。隣を見ると、康二も同じように尻もちをついていた。
佐久間「……だれ」
深澤「…あなた達のグループにいる、最年長」
後ろを確認するとそこには深澤が立っていた。他には誰もいない。アイツ1人で止めに来た。
向井「なんで止めるん…笑。別にええやんか」
深澤「残念ながら良くないのよ。気付いちゃったからねぇ。」
佐久間「いつから?」
深澤「貴方達が楽屋で話してた時から。目黒も阿部も知ってるよ。」
向井「っなんで!」
目黒ってワードが出てきた瞬間、康二は目の色を変えてふっかに問い詰めた。
向井「なんでめめが知ってるん?!俺はめめのこと1番警戒してたのに!」
深澤「あ〜…知ってるっていうか今知った的な?」
佐久間「どういうこと…」
深澤「今日の飲み会、それなのよ。岩本が2人に話す会。たまたま照も気付いて、俺が止める係、照が話す係になったってこと」
向井「……..」
康二はもう声も出ていなくて膝から崩れ落ち、ただ絶望するだけだった。俺も絶望のあまり呼吸するのを忘れていたらしい。気付くと俺は阿部ちゃんに、康二はめめに抱き締められていて。
岩本「佐久間、康二。今まで独りにさせて気付かなくてごめん。でも今はファンの皆や彼氏がいるだろ?それは佐久間と康二が頑張ったからだよ。皆を幸せにしたからその皆が2人の傍にいるんだよ。大丈夫、佐久間も康二も強くて優しいから。胸張って生きろ」
照はそれだけ言うとふっかと一緒に帰ってしまった。阿部ちゃんとめめは怖いくらい何も話さず、ただ背中をさすられてる大きな手が暖かい事と阿部ちゃんの鼓動の早さから心配をかけてしまった事だけが確かな事実だった。
佐久間「阿部…ちゃん…ごめん…」
阿部「…よく頑張ったね」
向井「めめ…..」
目黒「…生きててくれてありがとう」
そんな一言で今までの消えたい欲、疲れ、生きる意味がほんの少しだけ消えた気がした。その代わりに俺と康二の目には大量の涙が流れていてその間も阿部ちゃんとめめは俺達の頭と背中を撫で続けてくれた。
数日後、俺達2人は少しの間活動休止をもらってカウンセリングをしながら少しずつ心の曇りを取り除くことになった。阿部ちゃんはあれ以来も変わった様子は特になく、康二に聞くとめめも同じみたいだ。特別扱いしないことをモットーに2人は対応してくれてるのだろうか。そんな優しさに感謝しかない。
佐久間「阿部ちゃ…亮平!いつもありがとう」
阿部「え?!…大介!こちらこそ。大好きだよ」
向井「め…れ、蓮っ!いつもありがとうな…」
目黒「…ふふっ可愛い。こちらこそありがとう康二」
これで良かったんだ。あの日に止まるはずだった俺と康二の脈は今でも元気に生きている事を証明している。
“さくこじ復活最高!”
“なんか2人共笑顔が増えた気がするー!”
“2人は永遠にsnowmanの太陽だね!”
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